湯・つれづれ雑記録(旧20世紀ウラ・クラシック!)

※旧ブログの一部コラム・記事、全画像は移植していません。こちらのコンテンツとして残します。

☆ボロディン:弦楽四重奏曲第2番

2018年03月14日 | ボロディン
○ボロディン四重奏団(BBC,IMG)1962/8/31live・CD

ボロディン弦楽四重奏団はメンバーチェンジによってその特質をかなり変えてきている面もあるが、基本的なイメージとしてある「ノンヴィブラート奏法の多用>オルガン的な分厚い和声表現」「オイストラフ張りの技巧と太く安定した音」「感情的にならない現代的な解釈」の部分はステレオ時代のイメージであり、この演奏はライヴということもあるがノンヴィブを多用してもよさそうな曲なのに(音質に萌芽は見えるものの)余り特徴的に聞こえてはこない。ただ、恐ろしく演奏レベルの高いものであることは確かで、これがステレオであれば十分◎に値するものである。個人的にはどうも、特徴の二点目として挙げたオイストラフ的な安定感が逆に感情を煽られない、集中力も表現力も十二分なのにどこか中に入ってこない感じがする。3楽章の夜想曲などかなり起伏のある解釈をつけてきていて特徴にあげた三点目は余り当てはまらないが、音質がどうも金属的で(これはそういう団体だったが)民族音楽的側面を強調する意味もある「ノンヴィブ」をもうちょっと前面に押し出したらハマったのだろうが、ちょっと中途半端で入り込みにくい。集中力とスピードと解釈の起伏という意味では繰り返しになるがライヴなのでスタジオとは比ぶべくもないすさまじさはあるのだが、「迫力」を感じない。現代的な演奏ではないけれど、モスクワ音楽院弦楽四重奏団の演奏、という一種優等生的な感じもする。もちろんたぶん今録音媒体で聞きうる最高レベルのボロ2のひとつであることに変わりはなかろう。

※2007-01-25 09:49:54の記事です
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☆ボロディン:中央アジアの平原にて

2017年09月15日 | ボロディン
○アンゲルブレシュト指揮パドルー管弦楽団(RICHTHOFEN:CD-R/PATHE)1930年代

パテ原盤にしてはSPの抜けのよさがなくノイズはかなりひどい。盤面状態の悪いものから起こしたように思われる。しかし演奏はすばらしく、壮年期の情緒的なやわらかさを含んだスケールの大きい高精度のもの。同時期フランスにいくつかあった同曲の録音でも最上位に置けよう。フランス的でもロシア的でもない、スコアから読み取ったものをそのままに、しかし即物的にではなく描写的な意図をしっかり汲んだ表現をなしており、遠くから近寄りまた去っていく隊列を目のあたりに描く。この人はフランスでは図抜けている。○。稀少盤で知られたものを裏青復刻した一枚。

※2008/12/2の記事です
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☆ボロディン:交響曲第2番

2017年07月11日 | ボロディン
○クエスタ指揮ローマ交響楽団(ROYALE)LP

非常に盤質の悪いいわゆるLP初期の乱発盤の一つだと思う。じっさい覆面オケであることは間違いないだろう。イタリア的な放埓さと高音や旋律への偏重ぶりはきかれるので「国まで偽っていることはあるまい」。迫力はない。アマチュアの演奏と言われても聴けてしまうくらい、レベルは・・・・。だが、解釈に時折「普通ロシア人がやらない」奇妙な音量操作や表情付けがなされているのが面白い。音質的にとても鑑賞にたえうる盤ではなかったが、解釈の特異性・・・アマチュアだけに許されるたぐいのものをプロがやったもの・・・としては特筆すべきものだ。○。

※2006/11/30の記事です
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☆ボロディン:弦楽四重奏曲第2番

2017年06月23日 | ボロディン
○ポルトロニエリ四重奏団(columbia)SP

この楽団の国民楽派録音では他にドヴォルザークのアメリカ全曲、チャイコのアンダンテカンタービレがあるというが未聴。しかしpristineで復刻されたマリピエロが余りに素晴らしかったので盤面状態を顧みず買ってしまった。ノイズリダクションの課題はあるものの演奏自体はやはり素晴らしい。トスカニーニのようだ、という表現が正しいか。歌心を保ちながらもオールドスタイルからは一歩抜け出したテンポ設定。ボロディン2番はグズグズになりがちなので即物的なスタイルになる演奏も多くプロ奏者には決して受けない印象があるがこれは、ほんとに細かいところで作為がうまく組み込まれており、とくにソリストとしても活躍したポルトロニエリの全体の流れを乱さないフレージングの独特さ、ルバートのかけ方が素晴らしい。細かい指摘をするのが好きではないので所を明確にはしないが1楽章の「この二度目は付点音符を切ってくれ!」と常々思っていた個所、4楽章の「ここの付点音符はよたったように詰めてワルツ感が欲しい!」と常々思っていた個所が悉く解釈として提示されているのに瞠目した。俺100年前の人間だったのか。そうじゃなくて、これは決してでろでろではないが、確かに「音楽を解釈することで人を楽しませた時代のアンサンブル」なのだ。スケルツォの勢いも素晴らしい。ノクターンは全体の中ではいささか長い感じがするがSP奏者にありがちな音のヨタりがなくかといって単調な美観をはっするでもない、イタリア四重奏団の古い録音の音を思い出す良さを発揮している。◎にしないわけはハッキリ、私の盤の状態の悪さが邪魔して真相が見えないところがあるから。あと、4楽章序奏部フレーズの繰り返しがカットされているのも痛い。4楽章はどうも急いて終わってしまう(盤面にして僅か一面)。夜想曲の人気が高かったからと言ってこれは全体構成上おかしい。○。
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☆ボロディン:歌劇「イーゴリ公」~韃靼人の踊り

2017年05月16日 | ボロディン
○スヴェトラーノフ指揮NHK交響楽団(KING,NHK)1999/2/26、27live・CD

ソリストの美音表現に傾聴。N響木管素晴らしい。落ちついたテンポに重量感ある安定した響きの管弦楽、N響のメリットが晩年スヴェトラの指向と合致して、偏った臭いの無いしっくりくる表現を生んでいる。舞踏表現が激しくなると往年の激しさを取り戻さんとするように派手な音響とテンポが煽られるものの音色は醒めて明るい。フレーズの収め方やアゴーギグなどわりと節度を感じるのも晩年らしい。設計が崩れず明確なのだ。爆発的に突っ走る力は過去ほどには無いが、意外と厳しい縦の整え方にはイワーノフのような西欧指向が感じ取れる。イワーノフのベートーヴェンを思い出させられた。弦楽器の音はいいのだがテヌートが短く伸びが無いのが気にはなる。でもこれは楽団特性だし恐らく音符を短く切りリズムを明示する指示だろうのでこれでいい。ボロディンの構造性がよく浮き彫りにされているところはこのオケをもってだからこそだろう。いつのまにか派手な太鼓にのって音楽は熱狂していく。もちろん制御はきっちりなされている。スヴェトラルバートとクレッシェンドで終わり。観客はまあまあの反応。聞きやすくていいと思う。○。合唱は無し。
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☆ボロディン:弦楽四重奏曲第2番

2017年04月07日 | ボロディン
◎グラズノフ四重奏団(supraphon他)LP

なつかしい表現というか、民族色が自然に内面から浮き出てくるような演奏だ。ルカシェフスキーを始めとして各奏者決してローカルな音ではないのだが(ある意味無個性)スタイルが戦前のもので柔らかく、曲調にとてもマッチしている。今まで聞いてきたこの曲の演奏の中でいちばんしっくりきた。ここまでボロディンらしいボロディンもあるまい。民族的なのに洗練もそなえ民族音楽になりきることもない。特にゆったりとしたテンポで情緒纏綿に歌い上げるスケルツォが素晴らしい。この遅いテンポで初めてわかるロシアン・ロマンチシズム。ショスタコの1番(初演団体)の録音にも言えるのだが全般に遅く決して技巧派ではないものの、しっとりした美しさの面で今は聴き得ない特別な郷愁の篭った音楽を紡ぎ出すことが可能な団体だったのだということを改めて実感させられた。ちなみに名前を連ねるモギレフスキーはチェリストのドミトリさんでピアニストともモギさんとも違います。
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☆ボロディン:歌劇「イーゴリ公」よりだったん人の踊り

2017年02月22日 | ボロディン
○ストコフスキ指揮アメリカ交響楽団(DA:CD-R)1966/12/19LIVE

こういう通俗名曲においてストコはじつに巧い。もっともボロディンはこれを通俗曲として作曲したわけではないし、ストコは立派なロシア国民楽派の解釈者であり短曲をびしっと振ってみせるわざを持ったプロであるということだ。中低音域が強く響きに独特の安定感があるが、リズムが主体になる後半では騎馬民族的な疾駆のさまを引き締まった音響で煽情的に描ききっており、リズムが弱く拡散的な音楽を作る人というイメージを覆す。低音が強いために大地を踏みならす強靱な蹄のさまを想像させスポーティな軽さすら感じさせる。高音のゴージャスさはその上に飾られる。素晴らしい。
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☆ボロディン:交響曲第2番

2017年02月01日 | ボロディン
○コンスタン・ランバート指揮ハレ管弦楽団(columbia)1943/3/26・SP

LPもしくはduttonあたりでCD化されていたかもしれない。オケはややアバウトだがランバートの引き締まった指揮ぶりはそれなりに聞かせる。いかにもイギリスのノーブルさといったものがロシア臭を払拭しており、終楽章にそれは顕著だが最後は盛り上がる。テンポは生硬なところもあるがリズム感は抜群。リズム感の有無は指揮者の能力に帰するのでこの作曲家が指揮者としても有能だったことの証左の一つと思う。中間楽章も聴き応えがある。部分的に変な箇所もあり(終楽章で音が一つ多いのか休符の数を変えているのかという箇所が気になった)やはり古い演奏であることには変わりない、ノイズもそういうものだと割り切って楽しんでください。
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☆ボロディン:歌劇「イーゴリ公」抜粋(舞曲とだったん人の踊りから終幕)

2016年11月27日 | ボロディン
○チェリビダッケ指揮トリノ・イタリア放送交響楽団(ARKADIA)1962/1/9live・CD

最初の舞曲は随分と俊敏で驚いた。そういえばまだこの時期チェリは俊敏だった。しかし統制もかなり厳しくムラヴィン的ですらある。韃靼人に入ると音響指向が出てきて、横の流れより縦の美しさを重視したタテノリな演奏になってくる。さすがに美しい。弦楽器が構造的に絡む箇所などこのへんの神経質な整え方はあきらかにチェリだ。テンポは安定して遅く、ただリズミカルである。弾むようなバス音域のリズム感に乗れる程度にカンタービレを抑えた表現が独特の美観をはなつ。場面転換してくるくる舞う場面に入っていくとまた最初の舞曲のノリに近くなってくるが、以前の演奏スタイルにくらべアグレッシブさをやや抑え少し引いた整えられた響きをもったドイツ的だったん人をもって、格調高さと興奮を共に煽るオペラティックな表現が面白い。響きはとことん磨かれ乱れの少しもないように厳しく統制されている。聴くぶんには何度でも聴くに耐えうる最高のものだが演奏するのは面倒だろうな。個性の面でどっちつかずな感じはあっても、後年の完全に引いてしまったチェリよりは好きだ。管弦楽としての演奏ではなく恐らく歌劇としての演奏を繋いだのではないか、曲間がいちいち開く。もしくはチェリの意向か。踊りの迫力はドイツの重低音に援護され、しかし再び踊り子が出てくると分裂症的にがらっと場面が切り替わって先ほどの遅いテンポでしっかりしたリズムの上に音楽が極めてメカニカルに整えられる。そのメカニカルというのが現代のメカニカルじゃなくて、蒸気機関の時代のメカニカルというか、すこぶるリズミカルな血の通ったものになっている。スネアに煽られて戦闘状態に畳み込む部分の迫力も凄い。強弱のコントラストがはっきりしていて、いかにもバレエだ。ちょっと速すぎてキッチュなオッフェンバックになってしまったりブラスがこけたりするところもあるが、楽しい終幕はちょっとロシアの迫力とも違って面白い。◎にしてもいいが、まあ○でしょう。
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ボロディン:弦楽四重奏曲第2番~Ⅲ

2014年03月25日 | ボロディン
◯フロンザリー四重奏団(victor)SP

即物的で速くあっさりめの演奏だが、古い録音にありがちな技術的アバウトさがまったく感じられず、胸のすくような気すらさせる。
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ボロディン:弦楽四重奏曲第2番~Ⅲ.

2014年01月08日 | ボロディン
○ガルネリ四重奏団(polydor)SP

落ち着いた大人の演奏。変な力みや外しがなく、かといってつまらない客観的な演奏にもなっていない。音も美麗で高潔な印象。夜想曲にふさわしい音楽になっている。
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ボロディン:弦楽四重奏曲第2番

2013年04月26日 | ボロディン
○リムスキー・コルサコフ四重奏団(ARS)CD

一楽章はこんなものかなという無難さ(けして激烈上手くはない)があったが二楽章は素晴らしかった。ジャズでも使われる魅力的なワルツ主題の表現が夢見心地、サンクトペテルブルグの弦楽の伝統を感じさせる細かいヴィブラートが耳を打つ。ちょっと硬い音ではあるが録音が余りよくないせいもあろう。三楽章もその流れで美しいが無難といえば無難。四楽章はそのまま盛り上がる。○。
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ボロディン:歌劇「イーゴリ公」よりだったん人の踊り

2012年08月10日 | ボロディン
シュヴィヤール指揮ラムルー管弦楽団(pathe/hindenburg:CD-R)1922

ドビュッシーの初演などで知られる伝説的指揮者シュヴィヤールによる人気曲。しょうじき鑑賞に値しない録音再生状態ゆえ○は控えるが、SP期の録音によくみられる縦線のズレや前のめりすぎるテンポでなし崩し的な進行になってしまうところもあるけれども、勢いと力強さは素晴らしい。ほとんど音色というものは聞き取れず楽器の分離すらはっきりしない録音だが、骨董好きは聞いておいてもいいかもしれない。楽想の切り替えが鮮やかでかっこよかった。
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ボロディン:弦楽四重奏曲第2番~Ⅲ.夜想曲

2011年12月08日 | ボロディン
○レナー四重奏団(COLUMBIA)SP

よく穴埋めに使われていた曲だがレナーのすっきりした演奏は甘い音色(とフィンガリング)を除けば古びることなく届く。もともと楽器同士の絡み合いが単純な曲ではあるのだが、よくアンサンブルが組み合っていて、響きも美しい。録音環境もよかったのだろう。○。
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ボロディン:イーゴリ公~序曲、だったん人の踊り

2011年09月16日 | ボロディン
○コーツ指揮ロンドン交響楽団(HMV/PASC)1926/10/26、1927/10/24・SP

pristine他からweb配信されておりそれぞれのレストアでノイズが除去されているが、電気録音時代のロシア音楽と銘打ったこの仮想アルバムの音源はさすがにどれも聞きづらい。録音のせいだけではなく、オケはメロメロ、指揮は一方的に音楽を押し付け、縦がずれても音揃わなくても構わない、ポルタメントは不規則に入る、、、出来不出来もすごい。韃靼人の踊りはほとんど記憶に残らない。速すぎて耳に残らないのだ。序曲はだるい。グラズノフのオーケストラ丸出しだからだ(序曲は没後に完成され、グラズノフの「記憶」に大部分拠っている)。曲に反し演奏はむしろこっちのほうが及第点だろう。○ぎりぎり。
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