○ミュンシュ指揮フィラデルフィア管弦楽団(DA:CD-R他)1961live
左右のチャネルが分かれすぎだが良好なステレオ録音。現代の放送エアチェック録音に近いクリアな音質なので却ってミュンシュのライヴが「現代ならどう聴こえたか」がわかる・・・わりとメロウだったりするのだ。各パートの厳しく統制されたさまは聴き取れるものの、音楽総体は徒にアグレッシブなものを指向してはいない。あれ、こんなライヴ今もありそう、というような響きの中庸さはホールが音を丸めているせいだろうが、フィラ管の開放的な響きはブラスにこそ聞き取れるものの弦は一歩引いて聞こえる。もちろんこれもホールとマイクの問題が大きいだろう。実演の音量バランスなどこんなもんだし、フランクの単純な書法なら尚更である。ミュンシュの下品な音が下品な演奏も得意とするオケをしても目立って聞こえないのは長所と言うべきだろう。ほどよい娯楽性がわりと端整なテンポに乗ってブラスを中心に語られてゆく限り、この曲の押し付けがましさが苦手な私にも、清清しく聴き通せる。中間楽章の、あーフランスだー、というような典雅な落ち着いた表現にも着目すべきで、ドイツ・オーストリアやらロシアやらの方法論で解かれうるガチガチのこの曲に、和声以外にもフランス派を見出す要素があったんだなあと思う。本来は血湧肉踊になるべき三楽章においてもこの「整った録音」のせいでスタジオ並みの端整なフランクに収まっている。テンポの落ち着きぶりに顕著だ。相変わらず響きのバランスはいいし表現はメロウで爆発的なものはない。最後のファンファーレも下品さがかなり抑制されている。どうしちゃったのか。こうしちゃっただけか。○。
左右のチャネルが分かれすぎだが良好なステレオ録音。現代の放送エアチェック録音に近いクリアな音質なので却ってミュンシュのライヴが「現代ならどう聴こえたか」がわかる・・・わりとメロウだったりするのだ。各パートの厳しく統制されたさまは聴き取れるものの、音楽総体は徒にアグレッシブなものを指向してはいない。あれ、こんなライヴ今もありそう、というような響きの中庸さはホールが音を丸めているせいだろうが、フィラ管の開放的な響きはブラスにこそ聞き取れるものの弦は一歩引いて聞こえる。もちろんこれもホールとマイクの問題が大きいだろう。実演の音量バランスなどこんなもんだし、フランクの単純な書法なら尚更である。ミュンシュの下品な音が下品な演奏も得意とするオケをしても目立って聞こえないのは長所と言うべきだろう。ほどよい娯楽性がわりと端整なテンポに乗ってブラスを中心に語られてゆく限り、この曲の押し付けがましさが苦手な私にも、清清しく聴き通せる。中間楽章の、あーフランスだー、というような典雅な落ち着いた表現にも着目すべきで、ドイツ・オーストリアやらロシアやらの方法論で解かれうるガチガチのこの曲に、和声以外にもフランス派を見出す要素があったんだなあと思う。本来は血湧肉踊になるべき三楽章においてもこの「整った録音」のせいでスタジオ並みの端整なフランクに収まっている。テンポの落ち着きぶりに顕著だ。相変わらず響きのバランスはいいし表現はメロウで爆発的なものはない。最後のファンファーレも下品さがかなり抑制されている。どうしちゃったのか。こうしちゃっただけか。○。