湯・つれづれ雑記録(旧20世紀ウラ・クラシック!)

※旧ブログの一部コラム・記事、全画像は移植していません。こちらのコンテンツとして残します。

ラヴェル:バレエ音楽「ダフニスとクロエ」第二組曲

2012年02月29日 | ラヴェル
○モントゥ指揮イスラエル・フィル(helicon)1964/3/7live・CD

イスラエル・フィルの驚異的なライヴ録音を指揮者単位で出し続けているheliconのモントゥ盤のおまけ録音。しかしなかなかいい。オケに中欧臭い響きの重さやアタックの重さがあるもののモントゥならではのリズム感は決して損なわれず、もたれも乱れもしない「全員の踊り」は出色と言っていい。こういう種の演奏のわりに浮き立つような昂揚感がある。私は余りモントゥを好まないが、フランスものではしばしば感じられる適性のようなものが生きている。○。
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レスピーギ:ローマの松~Ⅰ、Ⅱ、Ⅲ

2012年02月20日 | その他ラテン諸国
○クラウス指揮VPO(M&A他)1942/8/27ザルツブルク音楽祭live・CD

アッピア街道の松が欠損しているという信じられない状態ではあるのだが、シャンデリアを揺らすような一楽章の冒頭よりゴージャスな(やや違和感もあり)響きの音楽が展開されてゆく。重いテンポで噛み締めるように進むのと、ソロ楽器の音にどうにもラテンの風は吹かないものの、ジャニコロの松はとても美しい。いかにも往年のウィーン・フィルの演奏であり、こってりねっとりと、でもあくまで明るく透明で、壮麗壮大であり、クラウスの腕が光る。いやこの指揮者は近現代に向いていたと思うのだが録音は少ない。ドイツ語によるフィガロの録音のおまけ。ファリャも収録されている。録音状態も環境雑音もひどい。melodiyaのLPに収録されている音源と同一と思われる。
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ラヴェル:ピアノ三重奏曲

2012年02月17日 | ラヴェル
○チェコ・トリオ(SUPRAPHONE)

120年の伝統を誇るチェコ・トリオ(ピアノ三重奏団)による演奏だが、メンバー全員140歳とかそういうことはなくって室内楽団にありがちな「名前だけ維持」の団体なわけである。とはいえチェコを代表する室内楽の大御所、という位置づけに変わりはなく、このモノラル期の録音においても揺らぎのないしっかりした演奏を提示している。そこが逆に曲にそぐわないと思えるところもある。即物的でリリカルさに欠けるというか、特に気になったのはピアノの「強さ」であり、弦楽器も東欧特有のはっきりした表現をとり、アンサンブルの妙技は魅せまくりだが、曲はそういうところを要求しているのだろうか、とふと頭をひねることもある。3楽章は清新な同曲の中では扱い方の難しい「伝統的な緩徐楽章」であり、ロマンティックで鄙びた民謡風主題を地味に奏でていくものだが、逆にこの楽章ではロマン派音楽のようにしっかりとドラマを作り上げていて、ふだん飛ばして聴いてしまう楽章でも、聴かせてしまうといったところ。4楽章はなかなかリリカルな面も出てきていて、音量バランスが上手くとれており、入り組んだ構造、和声展開の面白みが明瞭に浮き彫りになっている。ラヴェルは弦楽器では横に流れる音楽を描くが、しっかり縦があわないと精妙な和音の変化がちっとも浮き立ってこない。チャイコ以上にピアニスト的で、細かい変化をきっちり正しく表現しなければ単なる旋律音楽になる。ここではそこがしっかり意識されている。重みがあり、ヴァイオリンなどやや線が不安定になるところもあるが音程感に揺らぎはなく、模範的演奏であり、プラスアルファは無いが、そういうふうに楽しめる、そういった演奏。
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ローソーン:曲がり角序曲

2012年02月09日 | イギリス
○コンスタン・ランバート指揮フィルハーモニア管弦楽団(HMV)1946/3/29・SP

ローソーンでも有名な作品で同時代(40年代の作品)の録音もそれなりにあるものだ。中でもこの演奏は屈指のものと言っていい。シンフォニックジャズの作曲家でもあったランバートの、崩れず堅くならずの絶妙のリズム感が曲のわくわくするような雰囲気を盛り立てる。こういうウォルトン的な曲をもっと振ってほしかった人である。○。
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ローソーン:交響的習作

2012年02月09日 | イギリス
○コンスタン・ランバート指揮フィルハーモニア管弦楽団(HMV)1946/3/28,29・SP

半音階的な進行が目立ち晦渋な傾向がみられ、映画音楽的な作風が魅力的な作曲家であるものの、ここではバックスやアイアランドの作品に近い呪術的な世界を描こうとしているように感じる。6つのパートからなりそれぞれやや光景は変わるものの一貫して職人的な作曲技術の存在を感じさせ、聴きやすいが中身はいくぶん空疎であり、終盤ではちょっとヒンデミットのマンネリズムを思わせる盛り上げ方もみられる。演奏は達者だが作品が作品だけに魅力を引き出しあぐねているのか、音符を音にする作業の範疇に収まってしまっていると言ったら言い過ぎであろうか。○。音は良い。
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