○クリュイタンス指揮トリノRAI交響楽団(ARTS)1962/5/4live・CD
クリュイタンスらしい透明で繊細な抒情が漂う演奏で、同曲の暴力的な面は強調されないが、2楽章や終楽章終盤の優しく感傷的な旋律表現がとてもすばらしく、心惹かれる。ミュンシュの「禁欲的な凶暴さ」とは違い、感情的で人間的だ(だが精度は高い)。この時期にしては驚異的に良いステレオライブ録音(復刻)という評判どおり、微妙な色彩の揺れや緻密な構造がよく聞き取れ、楽曲理解の意味でもメリットがある。弦楽器に強靭さが足りないと感じる向きもあるかもしれないが、コントロールを全般に行き届かせるうえで、各セクションを抑制しつつトータルでオネゲルの意図をよく伝えようという指向に沿ったものといえる。過剰なアゴーギグでアンサンブルに乱れ(もしくは聴く側の「誤認識」)をもたらすことがない。かといって結構テンポは揺れているのだが。とてもカラフルでオネゲルの六人組時代の作風を連想する部分も多い演奏。○。同日の「放蕩息子」とのカップリング。
クリュイタンスらしい透明で繊細な抒情が漂う演奏で、同曲の暴力的な面は強調されないが、2楽章や終楽章終盤の優しく感傷的な旋律表現がとてもすばらしく、心惹かれる。ミュンシュの「禁欲的な凶暴さ」とは違い、感情的で人間的だ(だが精度は高い)。この時期にしては驚異的に良いステレオライブ録音(復刻)という評判どおり、微妙な色彩の揺れや緻密な構造がよく聞き取れ、楽曲理解の意味でもメリットがある。弦楽器に強靭さが足りないと感じる向きもあるかもしれないが、コントロールを全般に行き届かせるうえで、各セクションを抑制しつつトータルでオネゲルの意図をよく伝えようという指向に沿ったものといえる。過剰なアゴーギグでアンサンブルに乱れ(もしくは聴く側の「誤認識」)をもたらすことがない。かといって結構テンポは揺れているのだが。とてもカラフルでオネゲルの六人組時代の作風を連想する部分も多い演奏。○。同日の「放蕩息子」とのカップリング。