湯・つれづれ雑記録(旧20世紀ウラ・クラシック!)

※旧ブログの一部コラム・記事、全画像は移植していません。こちらのコンテンツとして残します。

ストラヴィンスキー:バレエ音楽「ペトルーシュカ」~第4部謝肉祭の市(夕景)

2019年04月12日 | ストラヴィンスキー
作曲家指揮LAフィル(DG)CD

めずらしく「アメリカ式」ブラヴォが入る演奏で、11分弱ではあるが終幕まであるのでけっこう聴きごたえがある。ロスフィルは劇音楽に向くのかもしれないが、バレエにはどうだかわからない。リズムより音楽そのものに耳を傾けさせる。自作自演では低音楽器でどんくささが出ることもあるが、これはそんなことはない。すこし即物的すぎるあっけない終わり方。ステレオ。
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ストラヴィンスキー:バレエ音楽「妖精の口づけ」よりディヴェルティメント

2019年04月12日 | ストラヴィンスキー
作曲家指揮LAフィル(DG)CD

フルトヴェングラーが記録を残すだけある懐古的な作品でロマンティックだがけしてロシアでもない。チャイコフスキー的聴きやすさはあり、ストラヴィンスキーがこのオケと「小ロシア」を記録したのを思い出すが、適度に猥雑であるからこそ生気ある演奏となっている。25分きくのはしんどい。ステレオ。
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ストラヴィンスキー:兵士の物語組曲(ヴァイオリンとクラリネット、ピアノのための)

2019年03月03日 | ストラヴィンスキー
ロスバウト指揮バーデンバーデン南西ドイツ放送交響楽団のメンバー(Artis他)1952/5/5・CD

ロスバウトは現代ものに限らず夥しく広範な録音を残しているが、ほとんどモノラルのためペイが見込めず復刻がされない、されても一回限りバラバラのレーベルからという状態が続いていた。それがDGのボックス以来の大箱となってArtisから廉価登場した。CDであればstradivariusからicaまでという古今カバーの仕方が凄まじい。廉価盤なりの質だが元の録音が良くないので大して違いはないと考えていい。この録音は手兵バーデンバーデンとのものなのでwergoかどこかのメジャーレーベルだと思うが(整ったセッションゆえ放送録音でもないだろう)、盤として記憶にないのでレーベルはATとしておく。ストラヴィンスキーがトリオ編成で書いた編曲でスコアを持っているが非常に巧緻で、原曲にひけをとらない聞き心地だ。ただこれはロスバウトが複雑な現代曲をやるときによくあったのだが、ものすごいローカロリーだ。意識して気を抜いてスコアを正しく発音していくような調子である。ただ曲想的に、また時代的に奏者に気が入ってくる場面もあり、「三つのダンス」あたりはロスバウトらしい不思議な愉悦感がかんじられる…正確さを極めたうえで音を適切に打ち付ける。それもまたカロリーを失うのは早い。だからといって現代的な精緻さの獲得まではいかず、正直半端な聞き心地のまま終わった。
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ストラヴィンスキー:バレエ組曲「プルチネルラ」〜本番とリハーサル

2019年02月12日 | ストラヴィンスキー
作曲家指揮トロント交響楽団(vai)1967(6/17?)live・DVD

「85歳のストラヴィンスキー」というDVDにおさめられている。ややこしいのは本番とリハーサルが有機的に切り貼りされているところだ。チャプターを参照にすると1,2が本番、3楽章スケルツィーノが途中でリハーサルに切り替わり、4、5ときてリハーサル休憩、6,7ときて8楽章メヌエット&フィナーレからリハーサル終了となると急にフィナーレ本番に切り替わる。一楽章、雑然とした弦の響き、切れないリズムなど最初の方ははらはらする。これはオケがストラヴィンスキー向きではないのかもしれないと思う。このてのストラヴィンスキーは平準化された音がスコア通りデジタルに音量を変え織り上げられていくことで成立する(弦や低音金管楽器は絵面的にも不利、楽器の性格と逆の指示になるなどで、全てを制御して1部品たらんとせねばならない)。この曲は新古典主義の初期でイタリアの古楽に材をとっており、擬古典主義とも言うべき音楽にはなっているが各曲それぞれストラヴィンスキーの刻印が押された新しい難しさを抱えている。この映像は7割方リハーサルなのでよくわかるが、それぞれの曲でストラヴィンスキーの穏やかな檄が飛んでいる。リズムは数学的に複雑(正しく数えるよう指示を重ねる場面がある)、装飾音を多用するのに非感情的に主音の明確な表現を擦弦楽器に要求する難しさ等々。リハーサル休憩では酒をあおり機嫌良く始めるが、後半の方が厳しい。リハーサルで無観客なのに拍手が入ってから終曲の本番映像、のちストラヴィンスキーを椅子に座らせてのコメンターのカナダ芸術協会メダルの記念「朗読」まで入っている(トリビュートバースデーコンサートというから6/17か)。この終わりの方はストラヴィンスキーの表情同様どうでもいいとして、リハーサル、英語字幕が出るらしいのだがうまく出せず物凄い訛りのストラヴィンスキーの言葉をわかる範囲で聞いていくと、上記等々の揉める場面はあるもののまあ、おおまかには普通のリハだと感じる。ストラヴィンスキーの独特さを掴むのも難しいうえに、掴んだとしても根本的にスコアの誤読を指摘される(とにかくスコアだ)。後半で調性のことで困惑が広がる場面はこの老いた異才の未だ鋭敏な耳の凄みを感じた。ただ、どうしてここは引っかからず、どうしてここはこだわるんだろう、とか、出来の良さとリハーサルの軽重がシンクロしてなさげとか、そういうところはあるが、そもそもリハーサルとはそういうものである。さらにストラヴィンスキーは理詰めの人だが根本的には情に依っているように思う。この人の自作自演の独特で掴めないところである。今の目で見ると85歳にしてはかなり衰えているように見えるが、座って指揮をするスタイルで問題はなく、リハーサルにいたってはよく喋る。まだ命はつづく。
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ストラヴィンスキー:バレエ音楽「火の鳥」組曲

2018年12月23日 | ストラヴィンスキー
クリップス指揮NYP(forgottenrecords)1961/12/9live

オネゲル2番と同時演奏だが遥かに素晴らしい。瑞々しさ、華やかさ、フランス音楽的な美しさがクリップスの火の鳥観を示している。オケも作曲家の指揮で演奏した経験があり知見があったのだろう。でも自作自演よりのめりこませる要素がある。ロシア臭希薄なのが良い。録音は良くはないしモノラルだが、意図しない拾い物だった。
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ストラヴィンスキー:花火

2018年11月22日 | ストラヴィンスキー
ヘンツェ指揮ACO(RCO)1968/10/31live放送・CD

堅さが残るのは作曲家指揮者の演奏らしいところ。フォルムはがっちりしているが響きはそれなりにそれらしく、この曲の綺羅びやかな響き、描写性とは遠いが、同時代の録音で聴かれたような少し解析的なものも含む演奏。
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ストラヴィンスキー:バレエ音楽「ペトルーシュカ」(1947年版)

2018年10月19日 | ストラヴィンスキー
作曲家指揮コロムビア交響楽団(sony/columbia)1969・CD

イメージのように四角四面でもなくこなれていて、軋みは僅か。リズム感とそれと違和感のない旋律表現が出色。このオケだからこそ変な色もつかないが、まだ往年のアメリカオケのヨーロッパ的な意気というか艶というか、そういうものが残っていてとても耳なじみよい。もちろん主情的な演奏にあるようなものは「ない」し、全曲は長いので飽きる向きもあるかもしれないものの、構造や響きに重点をおいて聴くと、ドビュッシーの驚嘆した理由がわかる。スケスケではないが透明度の高い演奏。
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ストラヴィンスキー:バレエ音楽「ペトルーシュカ」組曲第2番(1925)

2018年10月12日 | ストラヴィンスキー
ピエルネ指揮コンセール・コロンヌ管弦楽団(SLS/ODEON)1929/12/16

マーチ、ワルツ、ポルカ、ギャロップの4曲からなるもので抜粋版とは別録。演奏はよりこなれている気がする。録音場所も違うそうだが、自然に聞けてしまう分、曲の魅力の薄さもあいまってあまり印象には残らない。
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ストラヴィンスキー:バレエ音楽「ペトルーシュカ」(1911年版)組曲抜粋

2018年10月12日 | ストラヴィンスキー
ピエルネ指揮コンセール・コロンヌ管弦楽団(SLS/ODEON)1928/11/23、1929/1/17

SP原盤は稀に中古市場に出るが、SP復刻から出発したSLSのCD-Rによる待望の復刻だ。針音を残しているものの原盤状態を考慮するとコアとなる録音部分を最大限聴こえるようにしている。一般には向かないしリリカルな曲に必要な透明感も音色もへったくれもない堅いノイジーな音だが資料として意味はあろう(むかしピエルネこそペトルーシュカの初演にして初録音者と読んだがそうではない)。「ロシアの踊り」から始まる八曲15分前後、ほぼ俯瞰的に聴けるが、冒頭ロシアの踊りの四角四面でヘタクソなリズム取りは当時のモントゥーもかくやと思わせ、ピエルネ自身も現代曲を好む一方メカニカルな構造に棒がついていかない録音もままあったから、これは予想の範囲内だ。オケも同様で個別の楽器は美しく弾けているのに、セクション同士が衝突するようなギクシャクもある。ピアノが冴えていて聴かせるが、そのテクニックに劣らず絡む木管などのソロも雰囲気よく、室内楽的編成なら問題はないようである。後半になるに連れこなれてきて、聴きやすくなってくる。参考には良い演奏。組曲2番もある。
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ストラヴィンスキー:デュオ・コンチェルタント

2018年10月10日 | ストラヴィンスキー
オークレール(Vn)ジョワ(P)(meloclassic)1967/4/10フランス放送LIVE・CD

これは録音は貧弱だが演奏はハマっている。協奏的に古典的にやるのではなくあくまで現代曲の1曲目として、かつ聴けるように楽しく弾いている。もともと楽しくやるソリストではないと思うけれど、ライヴということもあるのだろう。なかなかわかりにくくも感じる同曲の魅力を引き出している。
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ストラヴィンスキー:バレエ組曲「火の鳥」

2018年10月07日 | ストラヴィンスキー
クリュイタンス指揮ORTF(ORTF,ina)19 56/1/30・CD

瑞々しい指揮でシャンシャンしたオケの響きを綺麗に響かせ聴かせてゆく。このオケらしく速いテンポの不規則なリズムは完全に乱れてしまうが、そこを除けばこの年代にしてはかなり美しい演奏で、クリュイタンスの棒はものすごく上手いとは言えまいが、力と技術で押し切るスタイルではないぶん、ストラヴィンスキーをリムスキーよりドビュッシー寄りに聴かせることができている。響き重視の向きはまあまあの印象を受けるだろう。生臭さゼロ、でも現代的な冷たさはない。
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ストラヴィンスキー:バーゼル協奏曲(弦楽のための協奏曲(ニ調))

2018年09月27日 | ストラヴィンスキー
ブール指揮ストラスブール室内管弦楽団(forgotten records他)1950年代

室内交響曲的な迫力をもつ新古典主義のスタイルによる戦後作品。ストラヴィンスキーのマンネリズムから脱して汎世界的な聴き応えある作品に仕上げようというブールの意思を感じる。やや古めかしく曇った楽想を重心の低いリズム表現で、スピードは失わずに表現しており、ブールがマーラーなど指揮したのも頷けるドラマが内包されている。ベルクを想起する艶めかしいフレーズも出てきて、また、リズムは不規則でストラヴィンスキーそのものではあるが、小洒落た響きとあいまってオネゲルのように聴こえてくるところもある(ザッヒャーの委嘱)。三楽章はバルトークなど連想させる駆け巡るヴァイオリンは同時代性だろう、ブールはかなりまとまりよく仕上げ、この楽団がけして下手ではないことを証している。巧妙な響きの変化を小気味よく不協和なものを交えて自然な流れのうちに聴かせる。
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ストラヴィンスキー:ダンバートン・オークス協奏曲

2018年09月27日 | ストラヴィンスキー
ブール指揮ストラスブール室内管弦楽団(forgotten records他)1950年代

録音が古びているのと、楽団のせいなのか指揮のせいか、雑味が入る。ギクシャクして軋んで聴こえる箇所が多い。リズムの複雑な箇所など楽曲起因と思われる。前衛音楽指揮でならした技巧家でこの新古典主義の楽曲の数学的な構造と白い響きに合っていると思われるが、この時点ではやや力んだ若々しさも残っていたか、演奏スタイルを使い分けるほどこなれていなかったか、ちょっと生乾きで、厳しさが徹底しない感もある。
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☆ストラヴィンスキー:ヴァイオリン協奏曲

2018年01月17日 | ストラヴィンスキー
○スタンスケ(Vn)作曲家指揮バーデンバーデン南西ドイツ放送交響楽団(M&A)1955/4/22放送live・CD

重音進行ばかりで一縷の隙も無い、ストラヴィンスキーのヴァイオリン曲特有のトリッキーな技巧のつぎ込まれた曲ではあるが、このソリストにとっては決して難度が高いわけではないと思う。しかし1楽章でどうもハイポジの音程が悪い。これは演奏自体の「色調」の変化に着目すると理由がわかるように思う。1楽章から2楽章第一部にかけてどうも、特にワルツふうの主題において「色気が出すぎている」・・・ウィーンふうというか、ベルクの協奏曲のような艶があらわれ、それはそれでこの無味乾燥な曲を非常に効果的な「音楽」に仕立てて魅力的な表現なのだが、ストラヴィンスキーの意図から外れていることは言うまでもない。

とにかく冒頭より四角四面のリズムが厳格に指示されているようで、もともと無理な運指が必要な書法であることもあり、ソリストの表現にかなり「窮屈さ」を感じさせる軋みが生じているのは、一方でよく感じ取れる。重音表現も荒々しく濁るが、アリアも後半になると抜けていく。そして音程も的確に、ただの「音」として、正確に表現されていくようになる。3楽章だけ冒頭の重音表現が短縮され単音による狂詩曲に変化するせいもあるが、音楽が軽くなり、新古典主義の曲であることが改めて印象付けられる。結果としてよくまとまった演奏になっており、雑味はあるが聴きやすい。四角四面と言ってもストラヴィンスキーの指揮には独特の野趣がありオケも非常にこなれている。環境雑音あり、○。

※2009-01-27 17:40:37の記事です
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☆ストラヴィンスキー:兵士の物語(上演版全曲)

2018年01月05日 | ストラヴィンスキー
◎マルケヴィッチ指揮アンサンブル・ド・ソリスト、コクトー(語り)他(PHILIPS)1962/10/4-8・CD

予め「音盤」として聴くように仕立てられた「演劇」であり、種々の道具立て含め万全の作りなのは当然、録音も最高、音楽部分だけ聴いてもスリリングなアンサンブルを楽しめるが、やはり「劇伴」として演者と効果音の中に聴くのに適している。音楽は演者と不可分に絡み合い丁々発止にやり取りしているのだ。フランス語なので私はいささか聞きづらいが、それでも情景の手に取るようにわかる盤で楽しめた。演奏者の技量も高く、室内楽の鋭いアンサンブルがギスギスせずに音楽的に渡り合い響くのは指揮者付であるせいだろう。ロシア的というかアゴーギグきつめだが不自然にはならない。まさに情景に付けた音楽であり、音楽単独で聴くべきではないのだが、最後のドラムがやや軽くメロウなのは好みか。演劇音盤の見本。◎。

※2008-01-29 19:50:25の記事です
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