湯・つれづれ雑記録(旧20世紀ウラ・クラシック!)

※旧ブログの一部コラム・記事、全画像は移植していません。こちらのコンテンツとして残します。

レスピーギ:ローマの松

2007年01月31日 | その他ラテン諸国
○ケルテス指揮ロンドン交響楽団(london)CD

困った。「どこにも欠点が無い」のだ。何を突っ込もうにも、どこにも欠けたところがないのだ。スタンダードで中庸といってもいいが寧ろ端正でかっこいいと言ったほうがいいだろう。たぶんこの曲を知らない人に薦めるのに一番いいたぐいの演奏と思う。どこかケレン味の欲しい人には物足りなかろうがそれでもこの演奏のどこをとっても「欠点が無い」ことには同意していただくしかない。従って◎にはできない。○。
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マーラー:交響曲第2番

2007年01月31日 | マーラー
○ワルター指揮NYP、シュターダー(s)フォレスター(a)ウェストミンスター合唱団(WME:CD-R/M&A)1957/2/17カーネギーホールlive・CD

既出(協会盤?)と同じ可能性がある。ただこの力強さはただ事ではない。トスカニーニの洗礼を受けたワルターというのはよく語られることだが、ここにはその勢いをまさに借りたかのような勢いとドライヴ感が満ち溢れており、表現の起伏も決して頻繁ではなく自然にここぞというところでしっかりつけられている。NYPがいかにこの指揮者を信頼しきって力を出し切っているかがわかる演奏でもあり、悪いがソリッドで耳に届きやすい音と共に轟音で終始圧倒してくる。終わらないブラヴォーにも納得。録音さえよければワルター屈指の名演としてもいいくらいだ。もっとも静かなマーラーが好きな向きには薦められないが、安心して「マーラーとして」聞ける板についた安定感も兼ね備えている。
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バルトーク:弦楽四重奏曲第2番

2007年01月31日 | 北欧・東欧
○ブルガリア弦楽四重奏団(HARMONIA MUNDI)

苦手です、バルトーク。いきなりそれはないだろうと思われるかもしれないが、よその国の、しかもかなりアクの強い暗い民謡音楽を、無調的に再構築しなおしたような作品と言うのは、私にとってよその音楽でしかないんだなあ、と思った。無調を聞きたいときでも、この構造的に整合し演奏的に整然とした綺麗な音であっても聞きたいと思わないだろう。確かに弾けば面白いと思う。しかし・・・ショスタコ晩年より聞きづらい・・・ちょっとまだバルトークというよりは同時代の無調作品の香りがする。
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スクリアビン:交響曲第4番「法悦の詩」

2007年01月30日 | スクリアビン
○モントゥ指揮サンフランシスコ交響楽団(DA:CD-R)1947live

実に明るく音響的な演奏だ。このオケの硬質で開放的な響きが確実な技巧に裏付けられているさまは表現の奇矯さを除けばストコフスキの法悦を思わせるところもある。オケの実力が発揮されたシカゴ並の機能的な演奏として特筆される演奏であるが、反面「機能」が前面に出てしまっているがために情緒的な部分が金属質のアンサンブルに払拭されてしまいがちなところもある。しかし「音」としてこれは理想に近いものを表現できており、モントゥの構築性と計算ずくの推進力にめくるめく色彩の渦に巻かれてしまう感覚を覚える。惜しむらくは途中で録音の継ぎがあること(別日のつぎはぎかもしれない)、あと継ぎではないと思うのだが、ストコのような妙なパウゼが挿入される箇所があるところで、モントゥらしくもなく、不思議な感覚をおぼえた。○。
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クレストン:交響曲第2番

2007年01月30日 | アメリカ
モントゥ指揮NYP(DA:CD-R)1955/11/20放送live

ややオケのデップリ感が出てしまったか。NYPらしい暗く重いロマンティックな芸風がこの曲の半音階的で暗い側面を引き出してしまっている。ストラヴィンスキーのバーバリズムの影響が強い楽曲でもあり、整理して綺麗に響かせればモントゥだからうまくきかせられるはずなのだが、シェフが同じでもタイミングによってはこうも印象が変わるものかと思った。終楽章の激烈な舞踏音楽は確かにNYPの威力が発揮されているがどこか揃わない感もある。何より音がくもって悪い。相対的に無印。
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ラヴェル:亡き王女のためのパヴァーヌ

2007年01月30日 | ラヴェル
○ゴルシュマン指揮ラムルー管弦楽団(PHILIPS)

意外としっとりした繊細な音楽を作りあげている。音色がいい。ヴォルフやエネスコのような震えるような音でロマンティックな気を煽ることはもちろんしていないが、すっと入ってくる。そんな演奏。
Comments (2)
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ラヴェル:ボレロ

2007年01月30日 | ラヴェル
○ゴルシュマン指揮ラムルー管弦楽団(PHILIPS)

やはり構造の見えやすいクリアな演奏ぶりで、直線的で情緒的な揺れのなさ、曲そのものの持っている力だけで聞きとおさせる啓蒙性には、アメリカで活躍したのがうなずける。「棒吹き」にはやはりどうも違和感があるのだが、各ソロ楽器の名技性を数珠つなぎしていくだけが能の曲でもないだろう。こういう演奏のほうがラヴェルの理想に近いのかもしれない。けっこういいです。情緒派には薦めないけど。○。
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ラヴェル:道化師の朝の歌

2007年01月30日 | ラヴェル
○ゴルシュマン指揮ラムルー管弦楽団(PHILIPS)

突き進む感じ、クリアで立体的な音作りが曲に非常にあっている。リズムどりも素晴らしい。中間部の幻想的な情趣もこの人にしてはうまく描いている。○。
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ラヴェル:マ・メール・ロア組曲

2007年01月30日 | ラヴェル
ゴルシュマン指揮ラムルー管弦楽団(PHILIPS)

現代的な演奏であり、直線的で揺れの無い構造的な演奏である。中音域以下の木管の「棒吹き」がどうにも気になってしようがなかった。演奏的には別に悪くは無いのだが、リリシズムの表現がどうも足りない。チェレスタなどの鮮やかな響きなど細かい構造の見えやすい諸所には耳新しく感じるほどの局面もあるにはあるのだが。5曲版でパヴァーヌから始まる。○にすべきなのだろうがちょっと相対性を考えて無印。
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ファリャ:三角帽子第二組曲

2007年01月29日 | その他ラテン諸国
○モントゥ指揮サンフランシスコ交響楽団(MUSIC&ARTS)1946/2/24live・CD

録音はめっさ悪いが非常に楽しめる。モントゥの颯爽とした指揮振りとオケのからっと明るく技巧的な表現力が噛み合って、ローカル臭もロマン派臭もしないまさにこの曲いやファリャの汎世界的な音楽がここに浮き立つリズムにのって表現されている。録音がよければねえ。バレエ指揮者にしかできないことがある。バレエ指揮者にはできないこともまたあるのだが。○。
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チェイコフスキー:弦楽セレナーデ

2007年01月29日 | チャイコフスキー
○ミュンシュ指揮ボストン交響楽団(RCA/BMG)1957/3/13・CD

録音は初期ステレオで安定せずぼやけておりはっきり言って悪い。1楽章はとくに雑然としながらもさっさとあっさり進んでしまい何ものこらない。2楽章ものこらない。3楽章あたりでロマンティックな暗い情念がミュンシュらしいうねりとなってあらわれてやっと聞けるようになってくる。4楽章はボストンの威力とミュンシュのチャイコといった趣の楽しいものになっている(雑然感は変わらないが)。総じて無印でもよかったのだが、後半楽章を買って○にしておく。殊更に取り立てる演奏ではない、ミュンシュとしても。
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ボロディン:歌劇「イーゴリ公」よりだったん人の踊り

2007年01月25日 | ボロディン
○マルケヴィッチ指揮ソヴィエト放送交響楽団(lys/MELODIYA)LIVE・CD

オケ、とくに木管あたりにかなりほつれがみられるものの非常にスマートでスピーディでいかにもバレエ指揮者に向いてそうな揺れの無い演奏である。「らしい」演奏であり、そのぶん正直食い足りない気もするがまあこのスピードでさっと通されるとああそうですか、というくらいには楽しい気もする。なんかネガティブだなあ。ロシアオケなのになんかロシアオケらしくないんですよ表現が。
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ベルリオーズ:幻想交響曲

2007年01月25日 | フランス
○シェルヒェン指揮ロンドン交響楽団(TAHRA)1953/9/21,22・CD

コンドラシンを聴いた後だから尚更この演奏には感動した。重量感溢れるドイツ的な音響に責め立てるリズムの機関銃。このての底からくる推進力はフランスのバレエ指揮者には少なくとも無い。クレンペラーのようなごく一部の「ドイツノリ」指揮者にしか無いような響きと力強さが聞こえてくる演奏で、まったくシェルヘンと意識しなくても十分に楽しめる。表題交響曲は特にベルリオーズのように概要と主題の意味を説明してビラ配って廻ったような作曲家においては単純に音だけで楽しむ態度は誤解を産む側面もあるのだが(洋楽の歌詞を無視して音だけで楽しむのと同様)これだけの情報量の演奏であれば他に知識は要るまい。デモーニッシュと言わなくても十分に暗黒舞踏が繰り広げられる終楽章に戦慄。◎にしたいが古いし一般的な演奏というに躊躇もあるので○。
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ベルリオーズ:幻想交響曲

2007年01月25日 | フランス
コンドラシン指揮ロス・フィル(harvestclassics:CD-R)1979/7/12live

コンドラシン亡命後の外様オケ客演ライヴにはろくなものがないと誰かが言っておかないと伝説だけが一人歩きしそうな気がする。苛烈な要求(おおむねスピードとテンションにかかる部分)についていけるゴリゴリの技巧派オケだけが「伝説」を残しえたといえよう。いえようって言葉は誰かの専売特許でもないと思うので敢えて言う。「いえよう」。コンドラシンのグダグダな記録というのもアメリカ方面にはけっこうある気がする。特にあまり慣れない曲目はどうかというところもある。まずもってまぬけな演奏としか感じられなかった。木管はいいのだが(唯一聴けるのはロシアっぽい響きの聞ける3楽章くらいだ)弦あたりになってくると2楽章旋律冒頭のような合って当然のザッツすらあわないアマオケ状態であり、テンションで引っ張っていくのも無理があると考えたのかテンポやリズムすらグダグダなままスカスカな響きで最後まで突き通している。田舎っぽい演奏。シンシナティとかピッツバーグあたりの軽くて明るいオケだと思ってレーベル面見たらロスフィルだったのか・・・ちなみにコンドラシン晩年はこの曲でいえば3楽章のような情緒的な緩徐楽章の表現がやわらかくなり聴き易くなる一方、テンションやスピードに対しての迫力がやや失われていったようにも思う。これは振っているオケに逆に影響されたということなのかもしれない、かつてのロシアオケを想定していたらどこでも失敗する可能性はある。
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シベリウス:交響曲第4番

2007年01月25日 | シベリウス
○アンセルメ指揮スイス・ロマンド管弦楽団(DECCA)1963/9,10・CD

アンセルメの国民楽派は清清しくも盛り上がる名演が多い。これも非常に楽しめた。ほんとは基本は印象派的に沈潜し続けるべき曲なのかもしれないが、研ぎ澄まされた音できちんとスコアから組み立てると「盛り上がってしまう」ことを抑えられない。まずは美しい、そして気持ちがいい。それでさらに熱気が伴うところがこのコンビの録音した国民楽派交響曲のすばらしいところである。○。
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