rock_et_nothing

アートやねこ、本に映画に星と花たち、気の赴くままに日々書き連ねていきます。

ピカピカ光るブラックベリー

2011-08-04 23:09:17 | 植物たち
ブラックベリー

我が家のブラックベリー。
作り物みたいに光沢のある実が、重そうにぶら下がっている。
その名の如くに、実が赤から真っ黒に熟すまでじっと待つ。
口に頬張ると、弾力のある実から爽やかな酸味のある果汁が、ジュワッと弾けて広がる。
酸のしっかりとあるものが、ジャムにすると大変美味しくなる。
一度にジャムが出来るほど収穫できないので、きれいに洗って冷凍保存をする。
今しばらく待たないと、まとまった量にはならないようだ。

あの日から、毎日排出される放射線物質。
直ちに健康被害が及ぶ線量でないとされているが、日常的に空間に存在する放射線物質と、植物や土壌に付着し積算されていく放射線物質がある。
ここは、首都圏の食を支える農村地帯。
おそらく、安全基準値以下の放射線量なのだろうが、自分の家の畑で採れる自家用の野菜たちを食卓に乗せるとき、少し胸がちくちくと痛む。
子供が、喜んで自ら熟した実を採り食べるブルーベリーやイチゴ、ラズベリーにブラックベリー、それらを食べる姿を手放しで見守っていられない。
「大丈夫」「安全」といわれていても、100パーセントの確証などないのだから。
この先、何十年となく放射線に晒されていく、子供達。

今では、もうこの状況を受け入れ共に生きていくしかないのだと、深い悲しみと諦めを持つようになった。
時間をあの日以前に戻すか、地下1メートルより上の全ての土・植物など存在するものを取り払うか、そんな不可能なことが出来ない限り、この放射線禍を逃れることは出来ないだろう。
全ては起こってしまったこと。
人は、その業禍と共に、生きていかなくてはいけない。
子孫に負の遺産を残しながら。

ピカピカ光るブラックベリーは、尊い天の恵みであるにもかかわらずに汚染された。
その無垢さが、人間の罪深さを糾弾しているように感じる毎日である。