猫/しゝ・みゝづく・はんにやあめん
「美の巨人たち」歌川国芳”絵鏡台合かゞ身」猫/しゝ・みゝづく・はんにやあめん”。
猫好きの国芳が、幕末に生きる江戸っ子の心意気を猫に託して描いた団扇絵。
国芳の描く猫は、妖怪じみた表情をしたものもあれば、妖艶な色香を漂わせたもの、おどけたもの、なんとも多彩で見ていて飽きない。
ついつい猫萌えしてしまう。
今日、自宅前の古い公民館の軒下に、大きな三毛猫がどっしりと座っていた。
顔の真ん中辺りが真っ黒い、ちょっとブ猫であった。
猫に合図を送ってみたら、知らない奴にはなびかないぞとばかりに、のそりと建物の縁の下へともぐり込んでいった。
その風情が、国芳の猫そっくりに思えた。
我が家も一時期、野良猫の集まる猫屋敷になったことがあった。
あの強烈なマーキングにほとほと困ったものだが、いつしか一匹、また一匹と減っていった。
野良猫も多かったが、野良犬も相当数いたので、きっと猫たちは野良犬との戦いに敗れ去ったのか、我が家にいついた捨て犬のせいなのか、どちらともわからない。
今は、ねこを定期的に訪ねてくる野良猫が2~3匹いるくらいか。
とにかく、国芳の猫の凄さは、猫まみれで暮らした国芳ならでは。
藤田嗣治の猫も、なかなかの猫っぷりだが、洒落がきいている国芳に利があるように思う。
国吉の猫、実に蒐集したいのであった。