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アンソール”首吊り死体を奪い合う骸骨たち”

2011-12-21 23:24:23 | アート

首吊り死体を奪い合う骸骨たち

ベルギーの19世紀から20世紀にかけて活躍した画家、ジェームズ・アンソール。
同世代に、ベルギー象徴主義のフェルナン・クノップフがいるが、社交的にも経済的にも成功していたクノップフと違い、アンソールは屋根裏部屋に引きこもって制作に精を出していた。
アンソール自身、自分のカリカチュアに甲虫の姿をとって描いている。
それを見て、アンソールのことを、美男子で華やかに成功を収めているクノップフに対して勝手に敵視して、いじけているいじけ虫に思うようになった。
そんなアンソールは、屋根裏部屋の裏窓から世間をこっそり覗き見、だからこそ、人の愚かさ醜さを感じ取り、絵にできたのかもしれない。
そして、何より自分の心の中をじっくりと観察できる環境にあっただろう。

この”首吊り死体を奪い合う骸骨たち”、風刺が効いている。
彼が意図したのと違うだろうが、昨今の世情と重なり見えてしまう。
おや、そういう自分も引きこもりのいじけ虫。
関東の辺境から、世の動きを眺めているのであった。