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昨夜9時ごろから、本格的に降り出した雪は、ときどき小休止をはさみながら明け方まで降り続いた。
朝の7時前、厚い雲が空を覆っていて、まだどんよりと薄暗い。
子供は、雪が大好きだ。
小さい人は、食事と身支度を済ませ、外へ飛び出していった。
まだ、人の足跡がついていない雪は、ベルベットのように美しい。
カメラ片手に、小さい人の後を追う。
中くらいの人の声が、その後からさらに追いかけてくる。
”足跡をそこらじゅうにつけるんじゃないぞー”
誰もが、積もったままの雪を愛している。
コンクリートの玄関先は、少し凍りついていて、危なっかしい。
そろりそろりと歩く先に、ねこの姿。
冷たい雪は、嫌いだろうに。
きっと、みんなの弾んだ声を聞きつけて、様子を見に出てきたのだ。
こちらを見て、くるりと向きを変えた。
そして、ねこは、一歩一歩ゆっくりと、雪の上を歩いていく。
雪ではしゃぐ人のことを、半ば呆れながら。
10時ごろから射しだした太陽に光で、雪はどんどん溶け出した。
今では、北側の屋根の雪も、ほとんど消えてしまった。
いくら寒くても、春の雪なのだ。
残念に思うのは、子供たち。
雪で、一喜一憂する姿、いつまで続くのやら。
ねこは、乾いた居心地のよいところで甘い眠りを貪っていることだろう。
雪なんか、真っ平ごめんとばかりに。