rock_et_nothing

アートやねこ、本に映画に星と花たち、気の赴くままに日々書き連ねていきます。

メルヘン街道の終着点ブレーメン

2013-07-13 11:35:00 | 街たち
「にじいろジーン 地球まるごと見聞録」ドイツ北西部、ヴェーザー川に面した中世の街並みと緑豊かな町ブレーメン。
ライン川からエルベ川、北海から南ドイツに向かうまでの重要な交易の位置にあり、中世以前より貿易港として栄えた。
市の中心にあるマルクト広場の近くには、中世の英雄ローラント像や荘厳なゴシック建築の市庁舎、グリム童話でおなじみの「ブレーメンの音楽隊」像がある。
ブレーメンの音楽隊像のロバの足には、触ると願いがかなうという言い伝えがあるので、ご利益を願う像のご多分にもれずブロンズがピカピカに光っている。
この街を有名にした「ブレーメンの音楽隊」は、毎日曜日、野外演劇で上演され、子供たちの娯楽となっている。
シュノーア地区は、木組みの建物が並ぶ界隈で、興味をそそるさまざまな店が多い。
”ペーパーモデル”は、ドイツの子供なら誰しも作って遊んだことのある紙のおもちゃ。
動かして遊べるタイプもあり、その動力部に当たる歯車やリムなどもすべて紙で作るのだから、驚きだ。
日本でも、そのようなペーパーモデルキットを買うことができる。
子供だけでなく、大人も十分に楽しめる優れものであることお勧めする。
ブランタージュ・ノインは、ブレーメン市所有の建物で、多くのアーティストたちがここで工房を開いて制作することができる場所だ。
ある工房は、もともと演劇の衣装を手がけていた女性が、個性的な演劇の衣装をリサイクルして、一点物のカバンを制作販売していた。

ブレーメンのグルメ。
「シューフリヒター」は、”カリー・ヴルスト”カレーソーセージの店。
焼いたソーセージにケチャップと店ごとに調合の違うカレーパウダーをふりかける。
”ブレーマー・クニップ”は、豚肉にタマネギ、挽き割り麦で作るハンバーグ。
挽き割り麦は、その昔、少しでもお腹一杯にしたい庶民が増量目的で入れたという。
味付けは塩コショウのシンプルなもので、ピクルスをアクセントにトッピングし、挽き割り麦のプチプチとした食感がいい。
それに甘めの地ビールは格別の組み合わせという。
「ベックス・イン・ノーア」は、ニシンの塩漬けマチェスを使った伝統料理を出す。
半レアのニシンのマチェスをサワークリームのソースで食べる、初夏の味覚。
白ワインとともにどうぞ。

ブレーメンから車で東に1時間半、リューネブルクは、赤い屋根の中世に反映した町。
近郊の地下から良質な岩塩を産出し、その塩の交易で富がもたらされた。
今もその塩は、人々の生活を支えているようだ。
塩を使ったチョコレート”プラリューネ”は、塩とバター・ミルクを熱し、チョコレートに混ぜ込んでつくられる。
リューネブルクのシンボルのイノシシが、チョコレートの表面に印刷されているのが目印。
塩テルメというリラクゼーションがある。
32度の水温の塩水プールや、塩を使ったマッサージがある。
塩は、血行を促進させ老廃物を排出させたり美肌効果があるとされている。
人気なのは、大きな貝の浴槽に、死海と同じ濃度の塩水がはられ、その塩水にゆったりと浮かび、貝の蓋が閉まると室内は鎮静効果のあるブルーに染まり、心行くまでリラックスできるという。

酒飲みの考えること、やること成すこと万国共通なのだろうか。
「シュピッツェン・グーベル」では、ランタンの形をしたものをビールサーバーとして使っている。
かつてこの店の場所にあったオフィスでの出来事、お酒の好きな従業員がランタンにお酒を隠し入れてちびりちびりと飲んでいたのが由来だという。
店側も、お客側も、その話には共感すること多いだろう。

街全体が、古の御伽噺の舞台のような街ブレーメン。
物を作ることができる人間であることを誇りに思い、謳歌しているように伺える。
生きることを肯定して楽しんでいる様子に、うらやましさを禁じえないのであった。