rock_et_nothing

アートやねこ、本に映画に星と花たち、気の赴くままに日々書き連ねていきます。

遅い決断

2013-10-30 11:55:26 | 随想たち

ツゲの根方で丸くなる 30/10/2013

福島の原子力発電所事故による被災地のなかでも汚染が深刻な地域の扱いが、長いこと保留状態となっていた。
このたび政府与党が、全員帰還を断念して、線量に応じて3つの区域に分類し、帰還の可能性のある地域の速やかな除染と、帰還困難地域の移住援助に方針を転換するべきだという案を取りまとめ、政府に提出する運びとなるようだ。

生まれ育った場所を離れること、生計の基盤を失うこと、自分が築き上げたコミュニティーが離散すること、どれも失くしてしまうにはダメージは計り知れない。
この2年7ヶ月、元の場所に帰る望みを抱いて辛抱してきた人たちの落胆は、いかほどなものか。
被災者の心情のある一面を鑑みれば、スパッと帰還困難と紋切り型で宣告するのが躊躇われるのも理解できるが、しかし、だらだらと決断を先延ばしにすることにより、被災者が希望と絶望の間で身の振り方を決めかねて、新たな生活に踏み出し送れるという負の面も持ち合わせている。
2年7ヶ月が、被災地の行く末を決めるのに、長いか短いかと考えれば、遅いという感を抱いてしまう。

日々の生活と、人の命は待ってはくれない。
被災した人たちは、皆が若くてどこでも生活の糧を得て暮らせる適応能力があるという同じ条件ではないのだ。
いま、政府にこの提案が提出されたからといっても、提案が受け入れられ実際に動き出すには今しばらくの時間がかかるだろう。
この成り行きを注意して見ていきたい。




健気に 30/10/2013


戸惑える薔薇 30/10/2013