rock_et_nothing

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ジャック・カロ、線の妙技

2013-10-11 20:59:08 | アート

The Miseries of War

ジャック・カロは、フランスのロレーヌ地方出身で17世紀のバロック期に活躍した版画家。
エッチングの技法を確立した功績も然りながら、そのジャーナリスティックな主題『戦争の惨禍』は、人間の変わらない本性を暴いている。
シラノ・ド・ベルジュラックとほぼ同時代に活躍し、おそらくジャック・カロは彼らの話題に上っていたと想像する。
カロの作品は、時代を超えて古びることのない斬新さと芸術性を備えていて、実のところ長らく自分はカロが17世紀の作家だと思っていなかったくらいだ。
ゴヤも『戦争の惨禍』シリーズの銅版画を制作しているが、カロの影響がないわけではないだろう。
モノクロで地味と思われがちであるが、線の美しさを堪能できるエッチングの世界は、なかかどうして奥の深いものである。
秋の夜長に、カロのエッチングを楽しんでみてはいかがか。


La tentation de St. Antoine


Gravure Les Deux Pantalons (1616)


Les Misères de la guerre