rock_et_nothing

アートやねこ、本に映画に星と花たち、気の赴くままに日々書き連ねていきます。

孤独なマンボウの時速50キロ

2013-12-19 11:17:12 | 随想たち
今日は冷たい雨が降っている。
しばらくぶりの雨は願ってもないこと。
先日、家が揺らぐほどの強風が吹いたとき、季節外れの土埃が舞って、掃除に追われていたから。
畑で作っている白菜なども乾燥で育ちが悪い。
しとしとと降る雨は、土によく浸透するから理想的なのだ。

雨の日は子供たちを学校へ送っていく。
その帰り道、交通量の少ない田舎の道を、時速50キロで車を走らせた。
細く見通しの悪いところは40キロ以下で慎重に走る。
歩道のある太い道を、時速50キロで走っていると、周りの景色がよく見える。
とりたてて風光明媚でなくとも、景色を見渡しながら進むのは、とても気持ちがいいものだ。
新緑の頃、樹に萌え出る若葉の色の違いを愛でながら、真夏の強い陽射しに照りつけられて出来る濃い影の形を楽しみながら、秋の紅葉をオレンジ色に染める夕陽の移ろい、冬枯れの枝が澄んだ青空を突き刺すように上を向く様、二つとして同じ美しさは存在しないその瞬間に出会える、田舎道ならではの豊かな時間。
スピードは、アクセルを踏めば誰でも簡単に出すことが出来る。
速度を楽しむのも自動車の醍醐味といえるけれど、ゆったりとした速度で走るのもまた良い。
ゆっくり時速50キロで走っていられるのならば、運転するのも悪くない。
どこまでもマイペース、人のスピードに合わせるのが苦手なのだ。
流れの中に滑り込み、周りに合わせながら泳ぐことが出来ない孤独なマンボウ。

また帰りの迎えも待っている。
ゆっくりと車を走らせながら、子供たちの元へ向かおうか。