真夜中、外に一人佇む

ふたご座流星群を見たくて、一人真夜中の外に出る。
遠くを走る車の音が微かに聞こえ、時折どこかの飼い犬が吠える声が聞こえるほかは、静寂の世界。
月明かりに照らし出される冬枯れの木の枝や杉の木の黒いシルエットが、藍色の空に浮かび上がる。
空には煌々と輝く月と瞬く星たち、そしてツウッと最後のきらめきを放ちながら落ちる流れ星がある。
流れ星がなくても、真夜中の外には人を魅了する何かがある。
全てのものが静まりかえり、時間が止まった錯覚をあたえるのだ。。
音は暗闇に吸収されて、無音の世界が立ち現れ、宇宙の最初の萌芽を思わせた。
出来ることならば、月が沈み闇夜となり、空が白み始めるまでそこに立っていたかった。
夜がこれほど美しいと思ったことはない。
動物にとって、夜は安息や死をイメージするのが一般的だが、夜にしかない秘めた力がある。
真夜中の外に立っているとき、大地から足を通って伝わる重く強いエネルギーを感じたから。
寒さが厳しくなってきているけれど、真夜中の外に出てみたい。
たった一人で静寂の世界へ入っていくのだ。