薔薇垣の聖母
シュテファン・ロッホナーは、15世紀ドイツの後期ゴシックを代表する画家の一人。
御伽噺のようなメルヘンチックな画風に癒される。
黄金の地に高価なラピスラズリの青がこの世とは隔絶された夢の世界を、どこかあどけなさを宿す面持ちの人物表現が相乗効果となっているのだ。
いつの世でも争いの耐えない世界ではあるが、限定的なものではなく、幾重にも絡まり広範囲で起きている今の世界の救えなさにうんざりとしているものにとって、束の間の幻想を抱くのは必要だ。
だから、ロッホナーの幻術にかけられてみようか。
今夜の夢に、おとぎの甘美な世界が降臨してくれるよう、これらの絵を網膜に焼き付けよう。
キリスト生誕