大橋むつおのブログ

思いつくままに、日々の思いを。出来た作品のテスト配信などをやっています。

やくもあやかし物語・151『チカコを捜す・天守台』

2022-08-01 14:40:34 | ライトノベルセレクト

やく物語・151

『チカコを捜す・天守台

 

 

 アカミコさんと天守台に向かう。

 

 そもそもが日本一大きな天守閣だったそうで、石垣だけになっても、その迫力はすごい。

 大奥の裏口っぽいところを出ると、もう目の前に天守台。

 おお……

 ゆるく間の抜けた感嘆の声しか出ない。

 小さいころから感激するのがヘタだった。クリスマスやお誕生会でプレゼントもらっても「おお……」だった。

 おともだちみたいに、キャーキャー言ったり、ピョンピョン撥ねるのは苦手。っていうか、反応が遅れるんだよ。

 おともだちが、キャーキャー、ピョンピョンやりだすと――あ、よろこばなくっちゃ――っておもうんだけど、ワンテンポ遅れてしまうと、もうダメになる。

 お父さんが居なくなってからは、先生とかも事情を知ってて――やくもちゃんは事情があるから――って深読みされて、そっとされた。

 だから、感謝とか嬉しさは、別の事で表すようになったよ。ラッピングの紙やらリボンやらは、きれいに巻いたり畳んだりしてファイルに入れたり、カバンに仕舞ったり。ラッピングの包装紙や梱包の紙くずとかで溢れたゴミを捨てに行ったり。でも、普通の子はそういうことしないから、オヘンコってことになる、なってしまう。

 そもそも、チカコを捜しにやってきて、こんなこと思うこと自体が変なんだけどね。

「チカコさんも、そうだったんですよ。ほら、天守台の上の方から、そういう戸惑いがこぼれてきています」

「え、この上にいるの!?」

「さっきみたいな残像かもしれませんが……行ってみましょう」

 

 えっちらおっちら、石段を上がる。

 居た。

 

 鉄漿(おはぐろ)に点眉さえしてなかったら、かわいいお雛様って感じのチカコ。その横には、葵の御紋の羽織着た小柄なイケメンさん。

「十四代将軍の家茂さんです」

 家茂さん、後姿で分かるよ。

「ですよね……望まない輿入れで、元気のないチカコさんを慰めていらっしゃるんですね」

 手を伸ばしたら届きそうな距離。

 新婚さんとしては離れすぎ、でも、ふんわり寄り添ってますって、そんな距離。

「お二人とも、やっと十六歳ですからね」

 十六歳……やっと高校一年生だ。

 

『……初めて見た時には驚いたものです』

 やっと家茂さんが口を開いたよ。

 え、チカコがギクってしたよ?

 

「自分の事を言われたんだと思ったんですね……」

「今のは違うよね、家茂さんは、目の前の江戸の街のことを言ったんだ」

「そうですね……」

 

『途方もない大きさです、江戸の街は。百万人以上が住んでいます。仏蘭西の公使が言っていました、百万を超える都市は世界に幾つも無いそうです。巴里や倫敦よりも多いんだそうです』

『あ……そうなんですね……えと……子どものころに嵐山から見た都よりも……大きいと思います』

『わたしは、この江戸の街と京の都と、それよりも広くて大きい日の本の国を護ってまいります。そして、親子さんと、親子さんの兄君である帝を安んじ奉ります……』

 なんか、カチコチだけど心は伝わるよ。

『…………………』

『その……ですから、どうぞ、心安らかにお暮しください……』

 チカコ焦ってる、好き好んでやってきたわけじゃないけど、この家茂さんの気持ちには応えなくちゃと焦ってるんだ。

『『あの……』』

『あ、どうぞ』

『いえ、上様から』

『いや、親子さんから』

『はい、えと……えと……』

『…………………』

『上様は将軍職に就かれる前は紀州藩の太守であられたのですね?』

『はい、紀州は良いところです!』

『はい、きっと良いところなのでしょうね(;'∀')!』

『緑が豊かな国で、物なりもよく、蜜柑などは紀伊国屋文左衛門のころからの名産で、江戸や坂東の人たちからも好まれております』

『そうなのですね』

『はい、江戸家老に聞いたのですが「千両蜜柑」という落語があるそうです』

『千両蜜柑?』

『病に臥せった大店の若旦那が苦しい息の下で「蜜柑が食べたい」と父に言うのです。大旦那である父は番頭に命じて、蜜柑を探させます。あいにく、蜜柑の季節は終わってしまって、どこに行ってもありません。そこで八方手を尽くした末に、さる青物問屋の蔵に一つだけ残っておりまして、なんと千両の値が付くというお話です。蜜柑は十房、若旦那が口に入れた一房が百両。それを見ていた番頭は……そこからの展開が……あ、落語と申すのは、噺家が、寄席という小屋で大勢を相手に噺を聞かせる芸だそうです』

『まあ』

『そこからの話が面白いのですが……世の中が落ち着いたら、噺家を城に呼んで聴かせてもらいましょう』

『それは……いっそ、しのびで寄席というところに参りましょう。噺家と申す者も人間、皆が裃を着たような殿中ではあがってしまって、芸の発揮のしようもございませんでしょう』

『そ、そうですね、良いところに気付かれた』

 

「あ、今のは……」

「優しい人ですね家茂さんは、チカコさんの気を引き立てようと必死です。連日公武合体とか攘夷の実行とか忙しい毎日、その間に無理くり時間を作って、チカコさんを慰めようとしておいでなのですね」

「チカコも、それを分かっていても、うまく応えられないし……」

 

『その蜜柑を作っているのが海辺の段々畑です、そこから見る紀州の海はなかなかのものです。紀州は山がちで田んぼの少ない国です。他国の者は秋の実りの田畑を見て豊かな平穏を感じるのですが、紀州は、木材と蜜柑です。そこに青い海と空が広がっていたら、もう、そのまま成仏してもいいと思うんだそうです』

『そんな景色、一度は上様といっしょに観てみたいものです』

『そ、そうですね。そうできるように努めます……ふふふ』

『どうかなさいました?』

『いえ、親子さんが蜜柑畑に立っているところを想像してしまいました』

『え、どんな?』

『段々畑の親子さんは、海から見ると、きっと雛人形のようでしょうねえ』

『まあ、わたしが雛人形だなんて』

『いけませんか?』

『女雛だけでは雛人形にはなりません、男雛が横に居なくては』

『いや、そうですね。これは一本取られました』

『そうでございましょ?』

『しかし、こまった』

『なにがですか?』

『わたしは、段々畑の親子さんが見たいのです。いっしょに雛壇に並んでしまっては、親子さんが見られません』

『フフ、そうですね( *´艸`)』

『ならば、こうしましょう。わたしは海から現れて、しばし親子さんを眺めて、そう、亜米利加公使からもらったフォトガラフで親子さんを撮って、それから段々畑に上がって親子さんの横に並びましょう』

『う~ん……フォトガラフは、上様が段々畑に上がってからにいたしましょう。どうせなら二人並んで撮りたいものです』

『そうですね……そうですね、それがいい。ぜひ、そうしましょう!』

 その時、近習の若侍が天守台に上がってきて、静かに蹲踞したよ。蹲踞したまま「上様」と一言。

 それだけで分かるのね、家茂さんはクルリとチカコの方を向いた。

『これから白書院で会議です。みんな揃っているようですから、これから参ります』

『はい、行ってらっしゃいませ』

『はい、行ってまいります』

 

 石段まではゆっくりと、石段を数段下りたところからは足早に駆け下りていく家茂さん。

 ギリギリまでチカコとの時間を大切にしたんだ。

 そして、そっと右手を左手に重ねるチカコ。家茂さんの背中に挨拶しているようにも、置いてきた左手をなだめているようにも、愛しんでいるようにも見えたよ。

 

☆ 主な登場人物

  • やくも       一丁目に越してきて三丁目の学校に通う中学二年生
  • お母さん      やくもとは血の繋がりは無い 陽子
  • お爺ちゃん     やくもともお母さんとも血の繋がりは無い 昭介
  • お婆ちゃん     やくもともお母さんとも血の繋がりは無い
  • 教頭先生
  • 小出先生      図書部の先生
  • 杉野君        図書委員仲間 やくものことが好き
  • 小桜さん       図書委員仲間
  • あやかしたち    交換手さん メイドお化け ペコリお化け えりかちゃん 四毛猫 愛さん(愛の銅像) 染井さん(校門脇の桜) お守り石 光ファイバーのお化け 土の道のお化け 満開梅 春一番お化け 二丁目断層 親子(チカコ) 俊徳丸 鬼の孫の手 六条の御息所 里見八犬伝 滝夜叉姫 将門 アカアオメイド アキバ子 青龍 メイド王 伏姫(里見伏)

 

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

漆黒のブリュンヒルデQ・073『利根4号機・2』

2022-08-01 06:18:05 | 時かける少女

漆黒ブリュンヒルデQ 

073『利根4号機・2』 

 

 

  艦橋には艦長をはじめ副長、航海長、砲術長、飛行長が居並び、その周囲には空と海を警戒する対空・対水上見張り員が控え、ほとんど戦闘配置と変わらない。中央の小机でデバイスを構えて鉛筆を走らせているのは当直の航海士だろう。

 ポキ

 小さな音がして、三人ほどが半身だけ振り返る。

 海図に書き込みをしていた航海士が鉛筆を折ってしまったのだ。手元にスペアが無いのか、航海士の目は小机の上を彷徨う。

「肩の力を抜け」

 大尉の階級章を付けた航海士が、自分の鉛筆を渡してやっている。

「ありがとうございます」

 それだけのやり取りがあって、艦橋の中は平時に穏やかな海を行く客船のブリッジのような落ち着きを取り戻した。

 艦長が落ち着いているのだ。

 ゆったりと腕を組み、腰を柔軟にして揺れをいなしている。

 予想される大海戦を目前にして艦隊の大方が気負っている。特に利根は、ついさっきカタパルトが故障して、予定していた索敵機が飛ばせなくなってしまって、いら立ちが他の艦よりも大きい。

 艦橋が動揺すれば艦全体に広がってしまって、さらに失敗を重ねるかもしれず、艦長は自分が悠然と構えることで収めようとしている。

 副長以下の幹部もそれに倣って悠然としているが、若い士官たちは程度の差はあるがあがっている。

 
「旗艦赤城より発光信号、『索敵機発艦ノ見通シハイカナルヤ』」

 
 左舷の見張り員が旗艦の苛立ちを伝える。

「飛行長、見通しは?」

「は、三十分ほどと思われます」

「よし、四十分と答えておけ」

「艦長」

「そう言って三十分であがれば士気も上がるだろう、ほかに十機以上索敵に上がっているんだ、どっしりと構えればいいさ」

「は、四十分と返答します」

 飛行長は左舷の通信士に指令して赤城に送らせた。

 なかなかの艦長だ。兵の緊張をほぐしてやるのは指揮官の大事な務め。状況は違うが、わたしも開戦の前には気を配ったものだ。

「副長、戦闘配食を早くするように言ってくれんか、こういう時は飯を食ったほうがいい」

「は」

「航海長、ちょっと腰を揉んでくれんか。真珠湾からこっち、腰の具合がいまいちでな」

「ここらへんですか……」

「もう少し取り舵……よーそろ……おお、効くぅ……」

 プウ~~~

「お、すまん」

「艦長、今朝はラッキョウを食いましたなあ」

 まともに喰らった副長が真面目に言うので、艦橋はドッと笑いに包まれた。

 わたしもいろいろやったが、兵たちの前で放屁するアイデアは無かった。

 よし、艦橋は大丈夫だろう。

 カタパルトを直してやろうと、後部の飛行甲板に向かった。

 

☆彡 主な登場人物

  • 武笠ひるで(高校二年生)      こっちの世界のブリュンヒルデ
  • 福田芳子(高校一年生)       ひるでの後輩 生徒会役員
  • 福田るり子             福田芳子の妹
  • 小栗結衣(高校二年生)       ひるでの同輩 生徒会長
  • 猫田ねね子             怪しい白猫の猫又 54回から啓介の妹門脇寧々子として向かいに住みつく
  • 門脇 啓介             引きこもりの幼なじみ
  • おきながさん            気長足姫(おきながたらしひめ) 世田谷八幡の神さま
  • スクネ老人             武内宿禰 気長足姫のじい
  • 玉代(玉依姫)           ひるでの従姉として54回から同居することになった鹿児島荒田神社の神さま
  • お祖父ちゃん  
  • お祖母ちゃん            武笠民子
  • レイア(ニンフ)          ブリュンヒルデの侍女
  • 主神オーディン           ブァルハラに住むブリュンヒルデの父
  •  

 

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

泣いてもωオメガ 笑ってもΣシグマ・21『あたし神楽坂ウカルかな?』

2022-08-01 05:57:48 | 青春高校

泣いてもω(オメガ) 笑ってもΣ(シグマ)

21『あたし神楽坂ウカルかな? 




 賞金受け取りの締め切りは三月十七日だ。

 つまり明後日の午後五時までに申し出なければ、一等賞金の一億円はいただけないのだ。

 当選の宝くじは、ただの紙切れになってしまう。

 持ち主は、薄い壁一枚向こうでマンガでも読んでいるんだろう、ケタケタ笑いながらベッドの上でドタバタ身悶えている。

「一等の一億円が当たってんぞ!」

 

 隣りへ行って、そう言ってやれば、この悶々とした気持ちは解消される。

 あとは「落ち着け小菊! あとは兄ちゃんが全部やってやっから!」と宣言し、小菊の代わりに一億円を受け取ってやればいい。

 小菊は内弁慶なやつだから、一億円が当たったなんて知れたら間違いなく気絶する。なんとか覚醒させても、賞金の受け取りで、また気絶する。気絶しないまでも興奮のあまり失禁する。つまりオシッコをちびってしまう。

 小学校の入学式では粗相してたもんな。

 それ以来、ここ一番という時には朝から水分を摂らないようにしてやがる。入試は無事に終えたようだけど、一億円の受け取りってことになれば絶対ちびる。憎ったらしいツンデレのクソビッチだけど、血を分けた妹をそんな目に遭わせるわけにはいかない。

 で、代わりに受け取ってやれば、こうなる。

「ありがとうお兄ちゃん、忘れてた宝くじを思い出させてくれただけじゃなくって、代わりに賞金を受け取ってくれて、やっぱりあたしのお兄ちゃんだ!」

 そう言って、ここ何年かの無礼を泣きながら詫びて抱き付いてくるんだ。

「よせよ、姉弟の仲で水臭い。それより顔を拭きな、涙と涎で、せっかくの可愛い顔が台無しだぜ」

「グス、可愛いだなんて、お兄ちゃんに初めて言われた~嬉しいよ~、小菊、チョー嬉しいよ~(゚´Д`゚)」

「おまえが素直になれば、お兄ちゃんだって、素直に褒めてやるさ」

「お兄ちゃん、お礼に賞金の半分受け取って!」

 は、半分!?

 一億円の半分って……ご、五千万円だぜ!

「そんなの受け取れないよ、小菊が掴んだ幸運だ、自分のいいように使えばいいさ」

「じゃ、せめて一割でも……」

 う~ん……それでも受け取れない。

 中坊のころ、酔っぱらった祖父ちゃん介抱したら「小遣いだ、とっとけ」と差し出したのが一万円。祖父ちゃんの懐具合から千円札と間違ったのは明らかで、それでも押し付けられた諭吉に足が震えた。

 俺は分というものをわきまえている。

 え、気が小さいだけだろ?

 いや、違う。説明できないけど違う。

 小菊が部屋から出る気配、俺は反射的に部屋を飛び出した。

「なんか用? キモイんですけど」

 階段の下まで行くと睨まれた。

「あ、えと……」

 宝くじのことは言えない、言えば、小菊の荷物から茶封筒を抜いたことがバレてしまう。むろん茶封筒は戻してあるけど宝くじは手許に置いてある。受け取りの締め切りを忘れたり捨てたりしちゃいけないからな!

 言葉に詰まったが、小菊のトレーナーが裏がえしなのに気づいた。

「トレーナー裏返しだぞ」

「え、あ、ほんとだ」

 こういう場合、小菊は悪態ついて部屋に戻って着替える……はずが、その場でトレーナーを脱いでしまった。

 で、あろうことかトレーナーの下は裸だ。パジャマを脱いだ後、そのまま着てしまったんだろう。

 こういう時の反応はむつかしい。

 でも、焦っているうちに小菊はトレーナーを正しく着直した。ほんの数秒間だったけど、汗をかいてしまった。

「ね、あたし神楽坂ウカルかな?」

 靴を履く手を停めて、小菊が呟く。たぶん呟きなんだろうけど、疑問形なので返事をしたものか戸惑ってしまう。

「あたし後期選抜じゃん、もう後が無いんだよね」

「あ、ああ……」

「ここ一番て時に力出ないからさ……入試の日も不安でさ、休み時間とかは、みんな賢く見えちゃって、カッコつけてさ、進学とか就職とかの色々集めたりしたんだけど、どっかいっちゃった。ちょっとは読んだり観たりしよーと思ったんだけどね……今日もマンガとかで気を紛らわせよって、笑ってみても……なんだかね……」

 小菊は顔でも洗うような仕草をして停まってしまった。

 ひょっとしたら泣いているのかも……こんな妹は何年かぶりだ。

「あ、なんか寒い……って、トレーナーの下着てないじゃん!」

 ドタドタと階段を上がると、部屋で着替えている様子だ。

 いつもがいつもだから、ちょっと不憫になる。

 

 これ以上関わっては逆効果と思い靴を履く。

 

 そこへ着替え終わった小菊が下りてきて、期せずしていっしょに外に出ることになる。

「散歩か?」

「うん……」

 後が続かない。

 宝くじを切りだそうとするんだけど、なぜ、俺が小菊の宝くじを持っているのかの説明ができないためのためらってしまう。

「大丈夫、小菊は受かってるさ。だって、この俺が受かって三年生になろうってんだから」

「うん……」

 返事が冴えない、子どものころやったみたいに小菊の髪をワシャワシャしてやりたくなったが手が出せない。

「あたし、最後のテスト、受験番号書き忘れたような気がするんだ……書いてなかったら零点だもんね」

「それは……」

 続けようとした言葉が出てこない。

「あたし、公園の方行くから」

「あ、ああ」

 駅の方に行こうかとしていたので、そこで別れた。

 やっぱ、小菊と接点を持つのはむつかしい(;´д`)。

 駅前まで来ると、信号の向こうにシグマがいた。

 シグマなりに邂逅を喜んでいるんだろうけど、パッと見不貞腐れているように見える。損な奴だ。

 信号が変わるとシグマの方から駆けてきた。

「先輩、ゲームどこまで進みましたか!?」

 う、思い出した。

 家に帰ってゲームをやろうと決心した。

 

☆彡 主な登場人物

  • 妻鹿雄一 (オメガ)     高校二年  
  • 百地美子 (シグマ)     高校一年
  • 妻鹿小菊           中三 オメガの妹 
  • 妻鹿由紀夫          父
  • 鈴木典亮 (ノリスケ)    高校二年 雄一の数少ない友だち
  • 柊木小松(ひいらぎこまつ)  大学生 オメガの一歳上の従姉
  • ヨッチャン(田島芳子)    雄一の担任

 

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする