大橋むつおのブログ

思いつくままに、日々の思いを。出来た作品のテスト配信などをやっています。

巡(めぐり)・型落ち魔法少女の通学日記・043『不発弾』

2023-07-31 09:29:56 | 小説

(めぐり)・型落ち魔法少女の通学日記

043『不発弾   

 

 

 最初はフェイクだと思った。

 

 あるでしょ、SNSって、時どきウソが混じってる。

 地震で動物園のライオンが逃げ出したとか、コロナのころのあれこれとか、スーパーからトイレットペーパーが消えたとか。

 質の悪いのは、発信者が突き止められて逮捕されたりしている。これも、そうだと思った。

 

 名古屋で不発弾発見!

 

 もう、戦争から何年たってるって言いたいよ。

 ……78年だよ! ちょっと計算に時間がかかるくらいたってる。

 でも、本当だった!

 先月の22日に発見されて、昨日の30日に撤去作業が行われた。

 道路工事やってる歩道と車道の境目辺りに錆びだらけのガスボンベみたいなのが顔を覗かせている。

 250キロ爆弾だって!

 こんな錆々のが爆発すんのかなあと思ったけど、カメラが切り替わると、家の高さほどに土嚢が積まれて、半径300メートル以内にいる人たちが避難してた。

『はやく取り除いて日常の生活にもどしてほしいですねぇ』

 マイクを向けられた小母さんが、意外に穏やかな表情で言ってる。

 外国で戦争が起こって感想を求められたみたいな穏やかさ。

 自衛隊とかの処理を信頼しているからなんだろうけど、なんか他人事。

「日本人はね、目の前で身内が亡くなっても、こんな感じのことが多いのよ。生の感情をぶつけたりしないのよ」

 お祖母ちゃんが言う。

 こないだ、希望が丘で出会った小母さんもそうだった。

 旦那さんが亡くなって、結婚式を挙げた思い出の公民館にやってきて。その手に旦那さんの写真が無かったら、ちょっとトイレ休憩に車を停めましたって感じだった。

 お年だから、病気で亡くなられたのかと思ったら、先月不慮の事故で亡くなられたんだった。

 

 バン

 

「ちょ、なにすんの、お祖母ちゃん!」

 いきなり背中をどやされて、ムカっとする。

「しみじみしてると、伝染っちゃうわよ」

「え、お祖母ちゃんが死ぬとか?」

「勝手に殺すな」

「イテ」

 トドメの空手チョップをもらうと、スマホが鳴った。

 ピピピ ピピピ

 防犯アラームだ。

「え……ほんとうになった!?」

 アラームは――寿町三丁目で不発弾が発見されました――というものだった。

 

 自転車に乗って、春以来足を向けていない学校の方に走る。

 高校じゃないよ、中学。

 正確には中学と小学校の間の、通称学校道。ここいらが寿町三丁目。

 

 現場に着くと、すでにパトカーと消防が来ていて規制線が張られている。

――校内に居る人は、ただちに学校の外に出てください――

――校内の生徒、教職員の人はすぐに校外に退避してください――

 小学校と中学から同じ内容の校内放送が流れている。

『申し訳ありません、不発弾の確認作業をやっていますので、交通規制をやっています。路線バスも通れません。警察官の指示に従って迂回してください』

 パトカーから丁寧な案内がされる。

 べつに警察のせいじゃないのに、日本というのは、みんな腰が低い。

 わけが分かってない後輩たちが正門から出てくるが、お巡りさんに注意されてる。

 バカな中学生にも、ちゃんと対応するお巡りさんはえらい。

 見覚えのある先生が出てきて「裏門から出ろ!」と追い返している。小学校の二階からは、これまた、わたしのころから居る教頭先生が両手で大きな○を作って、お巡りさんに示している。お巡りさんは敬礼しながらお辞儀。

 他には騒ぐ者も居なくて、アラームの割には穏やかだ。

 ピピピ ピピピ

 また、アラームが鳴る。

 

――不発弾は、○○○○爆弾と判明。爆発の危険はありませんが、処理が終わるまでは規制が続きます――

 

 読み飛ばしたので、もう一度○○○○爆弾に目を戻す。

 

 ゲゲ!!

 

 読み返したそれは、模擬原子爆弾とあった( ゚Д゚)!

 

☆彡 主な登場人物

  • 時司 巡(ときつかさ めぐり)   高校一年生
  • 時司 応(こたえ)         巡の祖母 定年退職後の再任用も終わった魔法少女
  • 滝川                志忠屋のマスター
  • ペコさん              志忠屋のバイト
  • 猫又たち              アイ(MS銀行) マイ(つくも屋) ミー(寿書房)
  • 宮田 博子(ロコ)         1年5組 クラスメート
  • 辻本 たみ子            1年5組 副委員長
  • 高峰 秀夫             1年5組 委員長
  • 吉本 佳奈子            1年5組 保健委員 バレー部
  • 横田 真知子            1年5組 リベラル系女子
  • 加藤 高明(10円男)       留年してる同級生
  • 藤田 勲              1年5組の担任
  • 先生たち              花園先生:4組担任 グラマー:妹尾 現国:杉野 若杉:生指部長 体育:伊藤 水泳:宇賀
  • 須之内直美             証明写真を撮ってもらった写真館のおねえさん。

 

 

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RE・かの世界この世界:174『目覚めた男女神』

2023-07-31 06:28:37 | 時かける少女

RE・

174『目覚めた男女神』テル(光子) 

 

 

「あの二人はテルが起こせ」

「え?」

 
 霞の向こうにイザナギ・イザナミの姿が見えてくると、急にホバリングしてヒルデが言う。

 勢いで追い越してしまったわたしは、大きくUターンしてヒルデと並ぶ。

 ヴァルキリアの姫騎士は腕組みして考えている。

「どうした、ヒルデ?」

「いや……な、ここは日本神話の世界だ。なにかの因縁で出てきてしまったが、ここは日本人のテルが声をかけるべきだ。このアメノヌホコは、この神話を……どこまで続いているかは分からないが、偉大な出発点だろ。異民族のわたしがしゃしゃり出るべきではないと思うぞ」

「それは気にしなくてもいいよ」

「神話とは神聖なものだろう」

「そうなのか?」

「そうだ」

「日本は、あまり、そういうことにはこだわらないと思う」

 そもそもの始まりは、冴子と神楽舞の巫女をやったこと。

 神楽舞の巫女は十三歳の女の子が一生に一回だけやるものと定められているけど、わたしも冴子も十七歳になってもやっていた。神主も氏子の人たちも、同じ校区のご近所同士、地域の運動会に歳をごまかして参加してるくらいの認識だった。

「そうか、それなら……」

 再び前に進もうとしたら、わたしたちの騒ぎで目覚めたのだろう、イザナギ・イザナミが飛んできた。

「いやあ、あなたたちが取り返してくれたんですか!」

「はい、これが無ければ始まりませんから」

「どうも、生まれたばかりで、わたしもイザナミも血圧が低くて。イザナミ、おまえからもお礼を言いなさい」

「どうも、ありがとうございます。謹んでお礼申し上げます」

 丁寧に頭を下げる男女神。

「本来なら、わたしどもが取り返さなければならないところでしたが……そちらは異国の神でいらっしゃいますか?」

「あ、ああ。北欧の主神オーディンの娘でブリュンヒルデと言う。ヴァルキリアの戦士の束ねをしている。ヒルデと呼んでくれればいい。よろしくな」

「それはそれはお勇ましいことで、そのように戎装(武装)されていなければ、さぞや美しい姫様であられましょうに……」

「あ、ああ」

 ちょっと上から目線?

「イザナミ、まずは、国生みをしなければならない、時間が無いぞ」

「では、わたしたちは、これで」

「お二人は雲の上でおくつろぎになってください。国生みが終わったら、お礼の宴を持ちたいと思います。ぜひ加わってください」

「え、国生みをお見せするんですか!?」

「ああ、目出度いことだ。目出度いことは、みんなで祝うのがいいだろ」

「え、ええ、あなたがおっしゃるなら(#'∀'#)」

 ちょっと、この夫婦には温度差があるような気がするけど、好奇心が――見ていけ――と言っているので付き合うことにする。

 ヒルデはポーカーフェイスだけども、イザナミの物言いに、ちょっとカチンときている。そのカチンから見届けてやろうという気になっているようだ。

 アメノヌホコは、ほとんど脊髄反射で取り返したんだけど、この異世界に放り出されたのは意味があるはずだ。

 ヒルデといっしょに国生みがよく見える雲の上に落ち着いた。

 

「それでは始めます」

 

 折り目正しくお辞儀をしたイザナギはイザナミを促して、二人で矛の柄を握った。

「お、結婚式のウェディングケーキ入刀に似ているなあ、『初めての共同作業』とか言うんだろ。そうか、これが起源だったのか!」

「ちょ、写真なんか撮っちゃダメよ」

 いつの間にかスマホを構えているし(^_^;)

「そうか、ならば、キャンドルサービスの時にでも」

「いや、だから、結婚式じゃないから(^▽^;)」

 バカを言っていると、二人が手にしたアメノヌホコはヌルヌルと伸びていき、はるか下方で割りたての玉子のようにドロドロしているところに下りて行った……。

 

☆ ステータス

 HP:10000 MP:400 属性:テル=剣士 ケイト=弓兵・ヒーラー
 持ち物:ポーション・0 マップ:14 金の針:0 福袋 所持金:450000ギル(リボ払い残高0ギル)
 装備:剣士の装備レベル55(トールソード) 弓兵の装備レベル55(トールボウ)
 技: ブリュンヒルデ(ツイントルネード) ケイト(カイナティックアロー) テル(マジックサイト)
 白魔法: ケアル ケイト(ケアルラ) 空蝉の術 
 オーバードライブ: ブロンズスプラッシュ(テル) ブロンズヒール(ケイト)  思念爆弾

☆ 主な登場人物

―― かの世界 ――

    テル(寺井光子)    二年生 今度の世界では小早川照姫
 ケイト(小山内健人)  小早川照姫の幼なじみ 異世界のペギーにケイトに変えられる
 ブリュンヒルデ     主神オーディンの娘の姫騎士
 タングリス       トール元帥の副官  ブリの世話係
 タングニョースト    トール元帥の副官  ノルデン鉄橋で辺境警備隊に転属 
 ロキ          ヴァイゼンハオスの孤児
 ポチ          シリンダーの幼体 82回目で1/12サイズの人形に擬態
 ペギー         異世界の万屋
 ユーリア        ヘルム島の少女
 ナフタリン       ユグドラシルのメッセンジャー族ラタトスクの生き残り
 その他         フギンとムニン(デミゴッドブルグのホテルのオーナー夫婦)

―― この世界 ――

 二宮冴子  二年生   不幸な事故で光子に殺される 回避しようとすれば光子の命が無い
 中臣美空  三年生   セミロングで『かの世部』部長
 志村時美  三年生   ポニテの『かの世部』副部長 

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