あるきメデス

あちこちを歩いて、見たこと、聞いたこと、知ったこと、感じたことなどを…

四国遍路道ある記(前編)・徳島その3

2006-09-08 22:12:08 | 初めての四国遍路
 第3日 2004年2月22日(日) 晴後雨 <11番藤井寺~12番焼山寺> 
 =最初のへんろ転がし=
 
 5時半起床、6時朝食。弁当とウーロン茶のお接待をいただく。
そのうえ、弁当包みには、おかみさんが一人ひとりにメッセージを
書いて下さった。ありがたくいただいてさくら旅館を出る。

 天気予報は「午前から前線の接近で雨」と告げていたが、まだ青空
がいっぱい。11番藤井寺までは昨日通ったコース、山すそで今年
初めてウグイスの声を聞く。

 藤井寺門前のトイレを借り、いよいよへんろ転がしに挑戦である。

 昨年、一昨年と中山道をご一緒させてもらったEさんが、5日前に
出発して遍路中なので、へんろ転がしにの様子を、昨夜、電話して
聞いたら、「熊野古道を歩いた人なら大丈夫」といわれ、ひと安心する。

 四国八十八ヶ所の小さなご本尊を刻んだ石仏群が終わると、山道に
かかる。


 疑木の階段を上がるうちに東の山から朝日が差し込んできた。
ウグイス鳴く林を抜けると、眼下に吉野川沿いの展望が広がる。


 気温も上がり早くも大汗。東屋があるあたりも絶景である。落ち葉が
たっぷり積もる上り道で白衣なしの遍路2人を追い越す。

 右手谷筋の展望を見ながら右回りにトラバースして番外霊場長戸庵
に着き、小休止で通過する。


 さらに疑木の階段を上がると展望が開け、しばらくは快適な尾根
道が続く。


 同宿?の2人を追い越し、タクシーで藤井寺まで来たというY夫妻も
追い抜いた。

 幅広い尾根道でウグイスがしきりに鳴く。ヒノキ林を下って次の番外
霊場柳水庵に着いた。

 少し下ったところで、野宿のお遍路さんが無料宿泊できる小屋を
建築していた。間もなく完成するという。

 尾根筋の緩やかな車道を上がると西側の山上集落がよく見えた。
林道を離れ左手の山道に入る。

 杉木立下のジグザグの上りが続き、道幅こそ狭いが、昨年秋歩いた
熊野古道・大雲取道を思い出す。

 次の番外霊場は一本杉庵。県天然記念物になっている大杉の下に
大和永乗師像が立つ。


 松風騒ぐ緩やかな林道を上がり、杉木立の下を下る。


 さらに急坂を下って梅の咲き始めた左右内集落に下りた。


 集落の西に回り、左右内川のきれいな流れを前に休む。いよいよ
焼山寺への最後の上りである。

 心配していた雲が一面に広がってきた。杉木立の下の上りが続き、
心臓の鼓動が聞こえてきたので、ペースを落とす。

 やがてマンサクの咲く林道に出た。林道の石垣から冷水が流れていた
のでのどを潤す。あと500mの標識のあたりでシジュウカラが鳴いた。

 12時過ぎ、大杉の林立する山の霊場、12番焼山寺に着いた。

歩き遍路の必携書「四国遍路ひとり歩き同行二人」別冊には、11番~
12番の所要時間は、健脚4~5時間、並足6時間、ゆる足8時間と
あるが、4時間40分ほどで歩くことができた。

 車で来た団体の遍路さんが20人ほど、カートに荷を積んだ歩き
遍路もいた。

 今日の宿泊は、山道と天候を考え、3kmあまり下の鍋岩の民宿を
予約してあったが、焼山寺に予想外に早く着いたので、境内の公衆
電話でキャンセルして、10kmあまり先の旅館を予約する。

 寺の下の梅林のかたわらで、咲き出した梅を眺めながら昼食を
して鍋岩に向かう。太い杉木立下のへんろ道を下ってゆくうちに、
天気雨になった。

 車道に出て間もなく、番外霊場の杖杉庵がある。弘法大師の姿を
求めて歩いた衛門三郎が大師と出会った場所とか。

 大師と三郎の像、そして立派なイチョウがある。

 すぐ先の梅林からへんろ道へ。杉林の下りで、焼山寺へ向かう若い
女性遍路2人と行き違う。

 車道へ出て鍋岩集落を通過、玉ヶ峠への遍路道を聞いて山道に入る。
山すその林をトラバースして2ヶ所ほど民家の前を通過、簡易舗装の
林道をしばらく進んで峠にかかる。

 峠への上りは思いのほかあり、再び汗をかいて玉ヶ峠に出た。無人
の店で休んでいるうちに雨が降り出した。軒下でザックカバーをして
ポンチョを被る。

 予約し直した旅館まではあと約5km。鮎喰川を右下に見下ろしなが
ら、車道をどんどん下る。

 府中、宮分、川平、長代と下るにつれ、上の方ではちらほらだった
梅が満開となり、長代では斜面一面が梅の花に包まれていた。


 はるか下だった川もだんだん近づき、北側からの流れと合流した
本名にある植村旅館に着いた。

 濡れたポンチョを干してもらい入浴。夕食は17時過ぎから。宿泊客
は、あとから着いた狛江市のMさんとの2人。お年は40歳というが、
そうは見えず若い。

 会社をリストラで退社し、次の仕事の合間に歩き遍路を思い立った
とのこと。介護士の資格を取っているので就職の心配はないという。
18時半ころまでいろいろ話しながらゆっくりと食べる。

 洗濯は、おかみさんが食事中にして下さった。白衣も初めて洗って
もらう。8畳間にロープが張ってあるので空調を「送風」にして乾かす。

 予報より遅れて夜半に前線が通過、風雨が強まり激しい雷鳴もした。
遍路ころがしをでは雨にあわず、たいして濡れずに宿に入れたのは、
お大師様の加護と感謝した。
 
〈コースタイム〉さくら旅館6:37ー藤井寺7:10~25ー長戸庵8:40~44
ー尾根分岐点9:12ー柳水庵9:38~50ー一本杉庵10:30~37ー左右内
川橋際11:12~16ー焼山寺12:06~35ー(昼食)12:40~58ーおへんろ駅
(鍋岩の公民館下)13:44ー玉ヶ峠14:34~45ー植村旅館15:55

(距離 25km、歩行地 鴨島町、美郷村、神山町、歩数 44,200)
コメント (2)
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