あるきメデス

あちこちを歩いて、見たこと、聞いたこと、知ったこと、感じたことなどを…

四国遍路道ある記(前編)・徳島その2

2006-09-07 22:08:27 | 初めての四国遍路
 第2日 2004年2月21日(土) 晴  <6番安楽寺~11番藤井寺>
 =吉野川の沈下橋を渡る=
 
 朝食に合わせて携帯のアラームをセットしたが鳴らず、6時25分に
起床、6時30分朝食が10分遅れで食堂へ。間もなく朝日が上がった。

 7時28分出発。冷たくて吐く息が白く、気持ちが引き締まる。鍛冶
屋原の松島神社前の大ケヤキにヤドリギがたくさんあった。


 宿から2kmほどで6番安楽寺に着く。大きな宿坊があり、温泉付き
だという。

 本堂の木彫がみごと。立派な多宝塔もある。


 寺周辺の角田やその先の集落で、立派な鬼瓦が上がっている家が
多いことに気づく。

 古式ゆかしい熊野神社の先に、7番十楽寺があった。

 竜宮のような山門、寺は台地の中腹にあり、大きくて新しい戦没者
慰霊碑が立っていた。
 
 徳島自動車道の南を平行するへんろ道を進み、枯れアシがいっぱい
の宮川内谷川を越える。

 上藤原に、台座に「延命尊」と彫られた、屋根付きのりっぱなお地蔵
さんがあった。


 山分集落の小さな店で、昼食用にパンとサンドイッチを仕入れ、ビン
牛乳を飲んだ。

 自動車道の北に出て、山すその8番熊谷寺へ。四国最大という重厚
な仁王門をくぐる。

 県文化財で安永3年(1774)建立と記されていた。


 暑くなったので本堂への坂道を前に1枚脱ぐ。古い多宝塔横から
奉納石の並ぶ参道と石段を上がって本堂と大師堂に詣でる。

 大師堂からは展望が良く、吉野川流域が逆行に光り輝いて見える。
 自動車道の南はナノハナの花咲く田園の道、剣山だろうか、南西
はるかに高い山が見える。

 広々とした田んぼの中を進んで九番法輪寺へ。

 山門に大わらじが奉納されている。本堂と大師堂は並び、門前に
草餅を売る店があった。

 へんろ道は西に向かう。成当の円光寺前に番外霊場・小豆洗大師の
小さなお堂があったので参拝して通過する。

 秋月城跡付近で逆打ちの遍路と会った。逆打ちとは、88番から1番
に向けて逆コースを歩く遍路のこと。私は、順打ちである。
 今年はうるう年なので逆打ちの遍路が多いのだという。

 徳島自動車道切幡トンネルの西側を上がった山間の杉木立の奥に、
10番切幡寺があった。
 
 本堂へは長い急な石段を上がる。さらに奥に国重文の大塔がある。
徳川2代将軍秀忠が大阪・住吉大社に寄進したものを移築したのだ
という。

 大塔の前からは、吉野川流域の畑やビニールハウスなどがよく見
える。

 参拝を終え、本堂に上がる前にお茶の接待をしてもらった土産物
店の奥さんに聞き、そばの神社の草の広場で昼食をする。

 シートを敷いて靴と靴下を脱ぎ、食事後、足の裏などをストレッチ。
これは昨年と一昨年、中山道や熊野古道を歩いたとき、Nさんから
教わったもの。その後も、昼食時や入浴の時に続けた。

 切幡集落から吉野川に向かって田園地帯を南南東に進む。オオイヌ
ノフグリやナズナが咲き、菜の花がいっぱい。もうレンゲも咲き出して
いる。

 やや強まった南風にあおられて、菅笠の笠と中の輪をつなぐ糸3本
のうち1本が切れた。

 国道237号交差点近くの無人スタンドに、遍路用の11番~12番の
コース地図が置いてあった。

 カラーで見やすいのだが、普通の地図と同様、北を上にしたもの。
順打ちの遍路がほとんどなのだから、順路にあわせて北から南向けに
編集して欲しいものだ。

 四国三郎と呼ぶ四国一の大河、吉野川は、川筋が2本になっていて、
中間は広い畑作地帯。

 キャベツ畑の上でヒバリが鳴く。気温が上がり日陰が無いので暑い。
ご夫妻の歩き遍路を追い抜き、二つの流れをコンクリート製の冠水橋
で渡った。
 
 二つとも狭いので、車が来るとよけなければない。

 二つ目の橋、川島橋を渡った堤防上に、へんろ小屋があったので
小休止。

 狭いが、野宿の遍路さんが宿泊できるようになっている。

 近くの城山付近の流れには小魚がいっぱい。JR徳島線をくぐり国道
192号を越えてへんろ道を進む。

 背中のザックが重く感じるようになり、右肩がこってきた。

 敷地集落に入り、建物や庭のみごとな旧家・須見邸横を通過し、
11番藤井寺に着く。

 山門を入った右手に、寺の名の由来となった樹齢500年の藤棚が
あった。本堂はふところ深い山を背後に立ち、四国遍路第一の難所、
へんろころがしの入り口である。

 そばの旅館に泊まりたかったが、団体で満室。2.5kmほど北、
鴨島駅に近いさくら旅館に入る。

 旅館で荷を整理していたら、時計のベルトが切れた。近くに時計店
があると聞き、閉店間際に駆け込んで修理してもらう。

 夕食の食堂に集まったのはいずれも歩き遍路数人。同じテーブルは、
吉野川近くで追い抜いた静岡市清水のYご夫妻と、新潟県長岡市のK
さんだった。

 夕食後、洗濯機を借りて洗濯。明日のへんろころがしに備え、不要
荷物を家に返送することにしたが、減った荷物はたった1㎏。風に
あおられた菅笠の補修もする。

〈コースタイム〉寿食堂7:28ー6番安楽寺7:50~8:13ー7番十楽寺8:30
~55ー8番熊谷寺10:00~25ー9番法輪寺10:55~11:15ー10番切幡寺
(昼食)12:03~45ー川島橋南詰休憩所14:20~26ー11番藤井寺15:19~
45ーさくら旅館16:25

(距離 23km、歩行地 上板町、土成町、市場町、川島町、鴨島町、
 歩数 43,900)
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