あるきメデス

あちこちを歩いて、見たこと、聞いたこと、知ったこと、感じたことなどを…

四国遍路道ある記(前編)・高知その8

2006-09-27 21:51:01 | 初めての四国遍路
 昼過ぎまで雷雨もあり、かなりの雨でしたが、午後急速に天気
が回復して快晴となり、気温も25℃を超えました。

 距離の長い高知での遍路記も、そろそろ中盤にかかりました。


 第15日 2004年3月5日(金) 快晴後晴
                <34番種間寺~36番青龍寺>
 =仁淀川を越える=
 
 隣の人は5時に起きた。私は5時20分起床、6時朝食、北海道の
女性は朝食後すぐに出る。私は、おかみさんに見送られて6時32分
に出発した。

 県道278号を西に向かう。間もなく後方から朝日が上がった。
今朝は初めて朝から快晴である。風はないが空気は冷たい。

 高知市から春野町に入る。わが所沢を本拠とする西武ライオンズ
が毎年キャンプ地としていたのだが、今年は宮崎県に変わった。

 唐戸で、へんろ道は県道に分かれて直進する。うっかりそのまま
左カーブの県道に向かおうとしたら、犬の散歩をしていた男性に
「まっすぐ行った方が近いよ」と教えられた。
 
 この辺りの地形図を用意して無く、へんろ地図だけが頼りだが、
標識の見落としだった。ここで後発の2人に抜かれる。

 低い峠を越えてY字路を右に入り、山すその灘集落へ。休耕田の
田んぼはビニールハウスが多い。

 再び県道に出て、芳原川のおちやま橋で左折、西諸木地蔵と記
された大きな地蔵さんのそばで新川橋を渡った。

 流れの豊富な用水沿いの集落を進む。今朝の冷え込みで田んぼ
は霜で白く、水たまりは凍っている。

 さらに用水に沿って進み、34番種間寺(たねまじ)に着いた。
境内は樹木が少なく開放的だ。

 本堂は新しく、歩く姿の修行大師像がある。


 そのまま用水沿いに西へ。北側は広々とした田んぼとゆるやかな
山並みが広がる。風もなく穏やかな日より。民家の庭先でジンチョ
ウゲがよい香りを放ち、白スイセンも花盛り。

 新川の狭い集落から、めがね橋と呼ぶ明治の頃の古い石橋を渡
ると広い道路となり、仁淀川大橋のたもとに出た。

 橋に上ろうとしたら、傍らのワゴン車の男性から、「休んでいきま
せんか」と声をかけられた。高知市のINさん(72歳)で、すぐ上で釣
具店を経営していたのだが今はお子さんに任せ、お接待で恩返し
をしているという。

 血圧が高く、昨年は脳梗塞で入院したが、回復して今はほとんど
後遺症も無いという。コーヒーをごちそうになりながら、高知の造船
業の衰退、政治、教育、こどものことなど、先を見ずに走る日本の
現状を憂い、その再生には仏教が必要なのだといったことなど、
いろいろと伺った。


 幅広い仁淀川の河床には田んぼや竹林もある。南側のゆうよう
迫らぬ流れを見ながら橋を渡り、右岸堤防を1km近く進んで土佐
市内の旧道に下りた。

 喜久屋旅館の先で表示に従い右折、高岡中のところを左折、三嶋
神社の西側を進んだが、国道56号バイパスを越えてから、どうも
へんろ道らしくないと気づく。

 川筋に出て工事中の人に聞き、車道を北に進み、東谷でへんろ
道に合した。この辺りも地形図が無く、へんろ地図だけだったので、
現地確認に手間取った。

 八十八か所の石仏が並ぶへんろ道、上り坂もかなり斜度があり、
右膝に利いてくる。がまんして上って35番清滝寺(きよたきじ)に
着いた。

 仁王門の天井に蛇龍図がある。本堂と大師堂は並んでいて、本堂
の横に寺の名ゆかりの滝が落ちているが、古くからのは枯れてしまい、
現在のは人工のものとか。

 山の中腹にあるので、南側の展望がよい。大師堂を囲んで紅梅白
梅が見頃。納経所近くの4本のカンヒザクラも濃い彩りを見せる。

 あい変わらずの膝痛のため車道を下ることにしたが、こちらもかな
りの傾斜があり痛い。文旦畑の間をゆっくりと下る。

 無人販売にて文旦を500円で売っていた。かなり時間をかけて
平地に下りた。

 帰りのへんろ道は分かったので、田んぼの中を抜けて三嶋神社の
鳥居の東側に出た。西側に進んだのが間違いのもとだったと知る。

 昼食の調達を考え商店街を南に進んだら、コンビニ・スパーがあり、
都合よく東側が公園。トイレもあり、シートを敷いて食べる。

 さて、この足できょう青龍寺(しょうりゅうじ)を打てるかなと、ちょっと
気にしながら南へ向かう。


 地形図から車の少なそうな道を選び、波介川の川沿いに出たらナノ
ハナが花盛り。

 初田橋を渡り、初田集落をバイパスして宇佐へ向かう。堂尻の塚地
峠越えへんろ道入口に、塚地休憩所があり、東屋、トイレ、水車など
がある。

 休もうかと思ったら、ワゴン車で来ていた奥様から「休んでいきませ
んか」と声をかけられた。

 そばの石に座布団を敷いて下さり、お茶と団子、ラッキョウづけの
お接待を頂く。

 さらに自作のすてきな絵はがきも下さった。この方も高知市にお住
まいのSMさん。今日は2人もお接待を頂き、膝の痛みも和らぎそう。

 塚地峠越えのへんろ道は止め、県道39号の塚地トンネル(837m)
を抜ける。長いが、手すりの付いた歩道があり、今までのトンネルで
一番安全だった。

 宇佐町の湾に沿った町並みに入り、車の少なそうな細道を進んで、
宇佐大橋のそばに出た。

 橋は海面からかなり高く、手すりが腰くらいなので落ちそうな感じ。
マリンブルーの海面が逆光にきらめく。

 渡り終えて海沿いを南東へ。白波も立たず静かな海面である。疲れ
が出てきたので、竜の浜と呼ぶ岬の休憩所で小休止した。

 まもなく竜集落、湿性植物の多い蟹ケ池の縁を回り、36番青龍寺に
向かう。たくさんの石仏が、並んで迎えて下さっている。


 急な石段の上りは右膝にきつい。両側の石垣沿いのジンチョウゲが
よい匂いを漂わせる。


 山門前に小さめの三重塔が立つ。弘法堂は改築して新しい。納経所
への下りは石段をやめ、アスファルト道を下る。


 今日の宿、国民宿舎土佐へは奥の院経由が近いというので、その
山道を上がる。広葉樹林に覆われた奥の院に着いたが国民宿舎へ
の標識はない。少し戻ったら宿舎への小道があった。

 16時35分、国民宿舎土佐に着いた。山上にあり、東と北の海を
見下ろす展望が絶景。

 さっそく洗濯をして、大展望風呂(といっても数人で一杯)に入る。
ここからも東側の海原の大展望が楽しめる。

 部屋も食堂も暖かく、きのうとは大違い。部屋近くの廊下に公衆
電話もあったので、久しぶりに自宅に電話して近況報告をした。

〈コースタイム〉民宿高知屋6:32ー34番種間寺7:54~8:17ー仁淀川
大橋東詰(お接待)9:09~27ー35番清滝寺10:50~11:25ー東谷の平
地11:42ーコンビニスパー東の小公園(昼食)12:18~42ー塚地休憩所
(お接待)13:36~56ー宇佐大橋西詰14:44ー竜ノ浜休憩所15:10~16
ー36番青龍寺15:33~16:00ー奥の院16:20ー国民宿舎土佐16:35

(距離 31km、歩行地 高知市、春野町、土佐市、歩数 52,500)
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