さて、祇王の執り成しで清盛公に逢った仏御前。
「祇王がたってと望むので、一目逢ってやる。今様でも歌ってみよ」とのことで、仏御前がうたいはじめました。
君を初めて見る時は 千代も経ぬべし 姫小松
御前の池なる亀岡に 鶴こそむれいて遊ぶめれ
と歌います。さすが都で名を馳せた白拍子、うたを聞いた人はその声の美しさに、只々驚いたそうです。
「今様は中々の腕前、ならば舞を舞ってみよ」との清盛の言葉で舞も披露しました。
仏御前は髪姿を始め、眉目形は世に優れ、声も舞いも素晴らしかったようです。
清盛は、すっかり仏に魅せられ、心までが移ってしまいました。お暇しようとする仏を帰そうとはしません。
仏の困った様子に清盛は 祇王に憚るのであればと、祇王を追い出してしまいます。
何時かは、こんな日がくるのを覚悟はしていた祇王ですが、こんなに早く、館を出されるとは・・・まして3年もの間、住み慣れた館です。涙が止めども無く流れますが、何時までもそうしている訳にも参りません。せめてもの形見にと障子に歌を書き付け、館を出ました。
もえいずるも 枯るるも同じ 野辺の草
何れか秋に あわではつべき
次の機会に続けます。
今様(いまよう)・・・当時庶民の間で流行っていた流行歌、
後白河法皇が大層好まれた事で有名との事です。(現代ふう) 平安時代から始まった七五調、四句からなる歌謡。
ツボサンゴ きれいに咲いてます。
花言葉 『きらめき』 だそうです。
決して逆らうことなく、風の吹くままに身を任せています。