英知の矢
深遠な道理をさとりうるすぐれた才知……広辞苑より
不安な社会的事象がたくさん起きている。
例えば、阪神神戸大震災、雲仙普賢岳土砂災害、広島土砂災害、3.11東日本大震災の大津波と追い打ちをかけるように発生した福島第一原発事故による放射能被害、御岳山噴火等々枚挙にいとまがない。
こうしたことが起きるたびに、「絆」、「人の心の温かさ・優しさ」などが報道され、
私たちは「私も何かしなければ」、「微力な私にできることは」などと考える。
考えてそれを実践する人、考えてはみたけれど結果として何もしなかった人、何もできなかった人。
時間だけが確実に流れていき、風化と忘却の中で、私たちは自分自身の日常の中に埋没していってしまう。
何かが起きるたびに、動揺し、不安におびえ、感動し、人の温かさにほろりとする。
人間っていいなぁ そして人間って弱い生き物なんだと思う。
小さな幸せや家族の幸せを願うのは、人としてごく普通の欲求です。
しかし、これだけで終わってしまったのでは、ちょっと残念です。
先人が築いてきた知恵や文化を私たちは大切に受け継ぎ、次の世代に受け継いできました。
過去の過ちは反省し、同じ過ちを繰り返さない努力を続けてきました。
政治のなりいきも、経済の流れも、私たちにとっては決して他人事ではなく、
私たち一人一人にも小さな責任がかかっている。
このことをしっかりと自覚したい。
少しでも生きやすい世の中を実現するために、私たちの先人は努力を重ねてきました。
こうした先人の築いてきた歴史や文化を受け継ぎ、
次の世代へ引き継いでいく責任を私たちは担っている。
一人一人に託された英知の矢を放ち、
次の世代へバトンタッチしていく責任を私たちは忘れてはいけない。
(昨日の風 今日の風№16)