読書案内
アウトブレイク-感染- ロビン・クック著
1988年ハヤカワ文庫から刊行。27年も前の小説で、「エボラ出血熱」を題材にしたミステリー。
近年西アフリカで流行し、このウイルスの恐ろしさは、致死率が25~90%と非常に高く、未だに治療法も確立されていない。
この「エボラ出血熱」患者が、ロサンゼルスで発生。そしてセントルイス、アリゾナ州、ペンシルヴェニアの地方都市、突然何の関連性もなく個人病院で発生する。
宿主さえわかっていない「エボラ出血熱」がどうして突然アメリカで発生し、地方都市を襲っていくのか。
疾病管理センターのウイルス学部の新米女医が、感染の謎を追いかける。
女医の奮闘に読者を引き込んでいく前半に対し、後半三分の一は、誰が敵で誰が味方なのか判然としないまま、必死に感染の謎を究明する女医に襲い掛かる殺し屋三人。
女医のマリッサは、殺し屋に追われながらも、感染原因の究明に奔走する。
このあたりから物語は、荒唐無稽の様相を呈してくる。そして、意外な結末が……。
日本では国民皆保険制度が実施され、保健医療は充実している。
しかし、アメリカでは、健康保険の加入義務はなく、民間の保険会社が設定する保険への加入を個人意志で加入する。
または、各病院が設定している会員制保険制度に加入する。
治療費には多額の金額がかかる。小説はこの保険制度をキーワードにして「エボラ出血熱」を題材にしている。
アメリカにも公的保険制度はあるが、65歳以上の国民、障害者、低所得者、米軍勤務者とその家族以外はこの制度を受けることができない。
(2015.1.29)