新潟知事選(7) 野党の勝利 柏崎刈羽原発再稼働の行方は?
各社社説を読む。
16日投開票。結果、共産、社民、生活の党が推す米山氏が当選した。
米山氏は「泉田氏の路線を継承する」表明している。
総出力821万キロワットの柏崎刈羽原発の再稼働が問われる知事選の結果だ。
新聞各社の社説
当選の結果が判明した17日の新聞各社の社説は、この結果をどのように見ているか探ってみたい。
朝日社説見出し:県発への不安を示した。
選挙で浮き彫りになったのは、県民の原発への強い不安だ。
米山氏は「東電福島第一原発の事故や、その影響・課題が検証されない限り再稼働の議論は始められない」と公約した。
有言実行を肝に銘じ、再稼働を目指す国や東電に毅然と向き合うことが責務である。
……原発の安全を国に任せず、知事が様々な役割を果たせることを泉田とは行動で示してきたと言える。
選挙結果は、そうした姿勢の継続を望む県民が多いことを示した。
概ね原発再稼働に慎重な朝日のこれまでの論調を踏まえ、
米山氏の勝利を、民意の反映として歓迎する内容だ。さらに、一歩進めて、
この夏には鹿児島県知事選でも原発の一時停止を揚げた候補者が当選した。住民の声に耳を傾けることは、国政の責任者の責務である。
として、安倍政権の原発に対する舵取りの方向変換を促す社説になっていて、私は歓迎できる。
これに対して、読売新聞の同日社説は次のようだ。
読売社説見出し:柏崎再稼働は冷静に議論せよ
見出しからして、再稼働慎重派に牽制球を投げるような命令口調だ。
さらに、この見出しを受けて、第一行は次のような文章で始まる。
安全性が確認された原子力発電所は、再稼働する必要がある。新知事には、冷静な検討を求めたい。
剛速球の牽制球だ。
もともと読売は、原子力委員会の初代委員長を務め、
日本の原子力発電に大きな足跡を残した正力松太郎が「中興の祖」と言われる読売新聞の社主を務めた新聞社だ。
終始原発推進の論調を展開している。
更に、犬の遠吠えのようにも思える問題すり替えの文言も続く。
本来、再稼働に知事の法的権限は及ばない。
しかし、再稼働問題が知事選の最大の争点となり、人口減対策や地域活性化などの政策論争が乏しかったのは残念だ。
県の政策を担う県知事としては、原子力のみが政策の主なるものではないことは言うまでもない。
だが、新潟知事選の社説で原発推進派の読売が言ってしまえば、
ない物ねだりの負け惜しみと取られてしまっても仕方がない。
更に次のような発言はいかがなものでしょう。
経済活動や国民生活を支える電力を安定的に供給するには、原発の再稼働が欠かせない。
エネルギー問題は国の重要な課題だ。だが、その解決策を原発のみに求める姿勢はいかがなものでしょう。
(2016.10.18記) (つづく)
次回も各新聞社の社説を検証していきます。
(昨日の風今日の風№51)