新潟県知事選(5) どうなる柏崎刈羽原発(1)
4回にわたり泉田県知事立候補撤退と言う視点で、撤退の理由を探ってきた。
先月29日に告示され、4人が立候補し、今月16日投開票になる。
知事選の行方を追ってみたい。
「心が折れちゃった」と周囲に漏らす泉田知事。
前回までに地元紙・新潟日報紙とのトラブルの裏にひそんだ「原発問題」があるのではないかと推測してきた。
撤退を取り消すよう働きかけたこともあったが、泉田氏の姿勢は変わらなかった。
原発再稼働を推進する安倍政権にとつて泉田氏は厄介な存在だ。
知事の首をすげ替えるチャンスを今度の知事選に求めたのもうなずける。
こんな話がある。
陳情に来る新潟県内の首長や自民党県議に対して「まずは知事を代えてからだろう」と麻生太郎財務相などはかなり露骨な発言をしていたと複数の関係者は伝える。
「再稼働への環境は整った」と自民・公明両党は、新潟県長岡市長で市長会長だった森民夫氏を推薦する。
反泉田派で原発推進派の森候補の演説は
「原発は皆さんの安全が最優先。原子力規制委員会の結論が出ても、すぐ再稼働することはありません」と反原発とも推進ともどちらともとれる発言をする。
県民の原発不信感を意識し、このような発言をする。ずるいぞ森候補。得票のための戦術なのだろうが、あいまいな立ち位置は「再稼働争点」となるべき、大きな問題をあいまいにしてしまう。
仮に今回の選挙の結果、森氏が当選すれば、地元同意を得て再稼働への道は加速されるだろう。
原発1基が動けば、代替えで動かしてきた火力発電の燃料費を減らせるため、
東電は最大で月100億円の収支が改善されるという。東電の期待は大きい。
10.14朝日朝刊は次のように伝える。
新潟知事選の支援を安倍首相が泉田氏にお願いしたという。
自公両党が推薦する、原発推進派とみられる森氏の応援を要請したという。
反泉田派の森氏の応援要請である。
厚かましいことこの上ない。なりふり構わない安倍首相。
これに対する泉田氏の答えは明快である。
「後継指名はしない、と最初申し上げた事実がある」
泉田氏の立ち位置は少しもぶれていない。
泉田氏の撤退は非常に残念だが、退いてなお、「潔し」である。
国策として原発を推進する安倍首相としては、
泉田氏が敵対しないよう動きを封じる狙いがあると報道は伝えるが、
見事にこうした懸念をはねつけた泉田氏に軍配は上がる。
(昨日の風 今日の風 №50)
(2016.10.14記) (つづく)