イルミネーションとケーキのクリスマス
寂しい……
街はクリスマスを迎え、葉を落とした街路樹に、化粧を施し、
イルミネーションの瞬きで 急速に賑やかさを増してゆく。
若い世代、恋人同士、幼児を連れた家族ずれたちが
イルミネーションのトンネルや飾り立てたモミの木のツリーに集う
人それぞれに、幸せの概念は異なるけれど、
メディアはこの時期、一斉にこうした街の風景を報道する。
クリスマスの賑やかな風景も悪くはないが、
どこかに違和感があって 素直に喜べない自分がいることに気づく
賑やかさの裏に潜んでいるある種の寂しさを
敏感に感じとり、
街路樹だって決して歓迎しているわけではないと思う
夏には日陰をつくり 秋には木々の葉を落とし
眠りに着こうとするこの時期、
木々たちは安眠を妨げられ、
かりそめの華やかさにうんざりしながらも
黙って耐えている
町の喧騒を離れ ひっそりと迎えるクリスマスがあってもいいはずだ
高価なデコレーションケーキではなく
ショートケーキのイチゴを食べながら、
電気を消し、ろうそくの明かりに揺らぐ互いの存在が、
かけがいのない存在だと思えれば
これは極上のクリスマスだ。
その時、
シャンパングラスの中で揺れている灯りが
どんなイルミネーションよりも輝いて見える
(2015.12.25記)
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