内部告発 ① これはパワハラではないのか
こんな理不尽なことが許されていいわけがない
固定資産税の課税ミスを内部告発した40代職員を、
1人だけの部署に異動させた。(朝日新聞6/10)
移動させられた職場は、町役場とは別棟の公民館の和室の畳を取り除いて机が置かれている部
屋で、普段は公民館活動として住民に貸し出されていた一室です。
畳が数枚取り外され、机が一つ置かれている。
他に職員はおらず、公民館の和室の畳を取り除いて机が置かれている(朝日新聞6/10、11)。
(画像・NHKウェブニュースより)
部屋の両側には畳が引いたままになっており、パソコン画面の前面の椅子が置いてある側
には畳が立てかけてある。上げた畳が塞いでいるのは出入り口のように見えるのだが、
だとすれば、なぜドアが塞がれているのか不可解だ。
画面右側には、プリンターが、和式の長テーブルの上に置かれている。
左側には事務用品(?)が雑然と置いてある。
仕事部屋には程遠い部屋です。
約30年ぶりに設けられた「町史編纂室」というのが、町の説明です。
「約30年ぶり」ということは、30年前には「町史編纂」業務が存在し、
その復活ということなのか。あるいは、増補版か改訂版を作成するということなのか。
町史編纂というのは通常、学識有識者等をメンバーを加え「実行委員会」を立ち上げ、
予算を獲得し、年単位で取り組む事業で、とても一人でできるような安易なものではない。
事件の概要。
ことの始まりは、中国新聞5/14付報道は記者・堀晋也の署名記事で
「30年以上 税徴収ミス(山口県)田布施町、2万件調査へ 職員が指摘しても放置」を報じた。
これが事件の発端です。
これより2年前、税務課職員が相続時の手続きミスによる固定資産税の誤徴収を発見。
職員は上司に報告したが対応しなかったため町議たちに告発した。
その結果かどうかわからないが、その年の業務評価は最低の0点。(報復評価?)
職員はこの2年間で3回移動させられている。
税務課から→(おととし・2018年8月)には→建設課へ
→(去年・2019年4月)には→田布施・平生水道企業団へ→(今年・2020年4月)には→財政企画課町史編纂室
この町史編纂室が問題の、今にも朽ち果てて崩壊しそうな公民館の一室である。
告発した職員は
「急ごしらえでつくったような部屋に異動になり、孤立させられているような意図を感じる。
このような町の対応を見たほかの職員が間違いを正そうという気持ちをなくして、
組織として悪い方向に進んでしまうのではないか」と町の対応を危惧している。
町は8日夜、「想定問答集」まで作成していた。
異動の理由は職員が原因で「周りがノイローゼ気味になっており、(他の職員を)守る必要がある」
などと記し、パワハラや「隔離」でないことを説明する一方的な内容だ。
一般市民からの町の対応に対する不満が原因で、批判の電話が殺到していることが
大きな原因なのにそのことを棚に上げて、「守る必要がある」という感覚は、
本末転倒で、組織のリーダー失格。
こんな町長や上司のもとで働かざるを得ない職員こそ不幸であり、
町長を選んだ町民こそ最大の犠牲者だ。
人事についての報道で住民らから問い合わせが殺到し、主に対応する総務課員向けに作ったという。
亀田課長は「報復人事との指摘を否定するため」と理由を話した。
自分たちの 正当性を主張するためには、告発した職員のプライバシーを暴いてもいいのか。
40代職員は2018年4月に税務課に着任以降、3回異動して今年4月に町史編纂(へんさん)室に移った。問答集には、これらの異動歴のほか、人事について「隔離ではありません」と説明するよう書かれていた。(デジタル版朝日6/11)
なんともお粗末な市の対応だ。
誰が見ても、これらの処遇は、内部告発への報復人事といわれても仕方がない。
東浩二町長は、パワハラや隔離を否定しています。
2年間に3度の異動は、人事部の責任であり、町長の監督責任です。
たらい回し人事は、職員の見極めを怠り、
おそらくは異動についての説明もきちんと行われたのかどうか、
町長は当該人事についての説明責任をきちんと果たすべきだ。
人件費の無駄遣いと糾弾されても仕方のないことです。
姑息な「想定問答集」など作り、自分の正当性ばかり主張せずに
どんなことがあったのかを説明する義務があります。
もう一度事件の内容を振り返って、具体的に見てみましょう。
2018年5月 固定資産税を過大に徴収していることを発見。
気づいた職員は当時の課長に報告。
しかし、何の調査もされなかったため
町議らに内部告発。
同年8月 建設課へ異動
告発した職員はこの年の人事評価が0点
2019年4月 田布施・平生水道事業団へ異動
同年9月 税務課長 懲戒処分(減給)
東浩二町長 給与減額
2020年4月 財政企画課町史編纂室へ異動
6月 9日町議会で、(一連の異動は)「人事権の乱用ではないか」と指摘され、
町は「問題とはとらえていない」との認識を示した。
時系列に書き出してみると、町の対応の杜撰なことが明確になる。
人事権の乱用であり、報復人事であることは明白だ。
この問題に対し町長は「悪気があっての人事ではない」と答弁したようですが
答えになっていない答弁で、自己弁護の一言に尽きる。
中国新聞デジタル版 2020.5.14配信
2018年5月に固定資産税を過大に徴収していたことを、税務課の職員に指摘されたが
改善の措置がなされず、放置されたことに対し、堀川課長は、
「職員の減員などでほかの仕事が忙しく、対応できなかった」と釈明した。
課税ミスは直ちに原因を明確にし、再発防止の策をとり、謝罪と是正をしなけりばならない。
これは、町政を預かる組織としては、最優先事項であるはず。
これに勝る優先事項はないはずなのに、「他の仕事が忙しくて」と釈明。
町長を始め、自己保身に基づいた発言が目に付く。
「隠蔽」の匂いさえ立ちのぼってくる。
「正しいことをした人間に、こういう仕打ちをすれば、他の職員は何も言えなくなる」
告発した職員の痛哭の思いである。
この記事は NHKニュース 朝日新聞 中国新聞 山口新聞を参考にしました。
次回は「内部告発」その後の展開と問題点について記事にします。
(昨日の風 今日の風№109) (2020.6.19記)
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