新型コロナウイルス ② またしてもトイレットペーパーがなくなった
新型コロナウイルスが私たちの社会を侵食し始めたころ、の時だった。
またしても、トイレットペーパーが店頭から姿を消した。
パニック。買占め。
買えないとなると、どうしても欲しくなるのが人の常。
一つよりも二つ、二つよりも三つ。
買占めが始まり、パニックに拍車がかかり、
新聞もテレビも同じニュースを連日流すから
煽られた人たちの心に火が付き、トイレットペーパーの争奪戦が展開する。
そういえば以前にも同じようなことが……
オイルショック 1973(昭和48)年のときだった。
第4次中東戦争をきっかけに石油価格が急に上がり、
世界経済が大きな打撃を受けました。
日本でも物価が上がり、モノ不足に。
特にトイレットペーパーの買い占めが社会問題となりました。
1973年12月20日朝刊には
「石油危機 倒産・失業救済へ特別法 助成資金を拡充」の記事が1面を飾っていました。
低迷する経済を何とか立て直そうという政府の大きな課題だったような気がします。
特に、自営業者や商工業者の倒産などが多かったようです。
ガソリンが高騰し、
スタンドによっては過去の販売実績による割当制を実施するところもありました。
主婦にとって、生活必需品がなくなるということは、
とても大変な出来事で、家族のためになんとかこれを確保しようとする努力はよくわかります。
なりふり構わず、人を押しのけ、早い者勝ちの争奪戦が繰り広げられたのも
ある面いたし方のないことだったのでしょう。
ここには人格とか、品位とか、譲り合いなどという感情は胡散霧散し、
争奪戦の渦に巻き込まれてしまえば、戸惑いや遠慮や他人への配慮などを考えていては、
獲物を獲得できない敗者になってしまうのです。
良識をかなぐり捨てての争奪戦です。
不幸にして獲物を獲得できなければ、
明日の敗者復活戦に挑むということになります。
ここに、当時の写真があります。
(トイレットペーパーがなくなる)
「争奪戦」と私は書きましたが、写真を見る限りそういう雰囲気はありません。
この特設会場の人混みの中で、なぜか笑顔さえ浮かべています。
でも、両手にしっかりと獲物をゲットしています。
極めつけは、両手に抱え更にあごの下に一個を確保する人もいたと聞いています。
子連れのお母さんもいて、穏やかで、少しばかり気恥ずかしいのか
はにかみわらいをしている人の集まりです。
掲載写真の日付から連想するに、
「どうやらトイレットペーパーが値上がりし、不足するらしい」
という話が巷でささやかれ始まった初期のころの写真なのです。
だから、購入者の顔にはまだ余裕すら浮かんでいたのではないでしょうか。
当時の朝日新聞の世論調査から、
人々はどんなことを思っていたか考えてみましょう。
「世の中、間違ってると思うこと」ではという問いで、
「買い占め、モノ不足」は4%ちょっと予想外のパーセンテージでした。
この項目、1番多かったのは「人の心と風俗の乱れ」17%でした。
さらに、「これからの世の中で一番大切なもの」では、
「人の和、友情、信頼」が25%で最も多く、
これに「心、道徳」を上げた人を加えると、35%に達しています。
物不足や物価の高騰は将来の家庭生活にどのように影響していくのか、
という不安は当然あるのでしょうが、
こうした社会不安よりも人の心の在り方を危惧している答えが多くあったことに、
私は安堵しました。
「業者の買い占めや、不安にかられた人々の買いだめによって、当時のモノ不足は加速し、
パニックが拡大しまいました。そんな時だからこそ、人の和や信頼を求めていたのかもしれません」。
と記者は記事を結んでいます。
(この項つづき)
昨日・今日のニュースから
新型コロナウイルス感染者 全国1万5261人(プリンセス号除く)
東京 4654人(新たな感染者87人)
大阪 1682人( 〃 13人)
神奈川1109人( 〃 10人)
4日 午後9時現在
人口10万人当たりの感染者
全国平均 11.7人
東京 32.8人 石川23.2人 大阪18.9人
岩手 0人 鳥取 0.5人 鹿児島0.6人 岡山 1.2人
3日時点、朝日新聞の集計
○ 緊急事態宣言31日まで延長
14日をめどに感染状況などを分析し、解除の前倒しを検討する。
○ 感染の広がりを長期的に防ぐための「新しい生活様式」が提示される。
○ アヒガン治療薬の薬事承認「月内めざす」。
○ 大相撲 夏場所中止、名古屋場所は国技館で。
○ 安倍首相会見(冒頭発言)
緊急事態宣言から間もなく1か月。一時は一日当たり700人近くまで増加した全国の感染者
数は、3分の1まで減少した。収束に向けた道を着実に前進している。欧米のような感染爆
発が起きるのではという悲観的な予想もあったが、感染拡大を回避し、減少へと転じさせ
ることができた。国民一人一人が強い意志を持って可能な限りの努力を重ねてくれた成果
だ。
(つれづれに……心もよう№102) (2020.05.05記)
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