雨あがりのペイブメント

雨あがりのペイブメントに映る景色が好きです。四季折々に感じたことを、ジャンルにとらわれずに記録します。

暑中お見舞い申し上げます

2011-07-25 22:26:12 | つれづれに……

海も山も川も泣いている

 

 暑中お見舞い申し上げます

 最愛の人を失い、家を失い、

真面目にコツコツと築き上げてきたかけがいのないものを、一瞬にして奪われ、

途方に暮れる人々。

 

 六〇歳を過ぎて漁場を奪われ、

船や漁網を奪われてなお、

「海さえあれば、魚を捕りたい」と、

赤銅色に日焼けした顔の深いシワに埋まった眼が、

意思の強さを物語っている。

 重い口が開いて、「海で魚捕る以外に、何もできねぇもんな」

とつぶやく男の言葉が胸を撃ちます。

 

 放射能で汚染された家々が、整然と続いている。

人さえ住んでいれば、平和で静かな町だったはずだ。

郊外に出れば、

樹々の緑が真夏の光を受けて風に揺らぎ、

田圃を渡ってくる風が、今年も豊作を約束してくれる。

だが、見えない「死の灰」の不安に、

田も畑も捨てて、故郷を捨てざるを得ない人々。

「何も悪いことしてねぇのに、どうしてこんなことに……」。

言葉が重い。

 

 つらく、やりきれない試練の夏が、

ゆっくりと何事もなかったように、通過していこうとしています。

 

 健康に留意し、御身ご自愛ください。

         2011年 蝉しぐれの夏に。

 

 

 

 

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