ニュースの声(10) ロシア軍キーウから撤退、後に残ったものは…
ウクライナ当局は2日、首都キーウ州全域を解放したと発表。
だが、平和への道筋は遠く、主権も人権も不安定なままだ。
(1) ウクライナ「キーウ州解放」
ロシア、首都包囲撤退 (朝日新聞朝刊4/4)
ウクライナ側から見ると『解放』だが、ロシア側から見れば、3月29日の停戦協議で
キーウ攻撃の「劇的な縮小」だと主張し、前線の舞台は隣国ベラルーシに後退している。
ロシア軍は今後、ウクライナ東部のマリウポリや南部の都市制圧に作戦変更をする模様。
ロシアはキーウ制圧は短期間で制圧できると作戦を展開したが、
ウクライナ軍の抵抗は激しく、戦果は思うように上げられない。
侵略行為が長引けば、長引くほど国際世論は経済制裁という武器で、
ロシアの社会的評価はさがっていく。
一日2兆円もの戦費を費やすロシア。
戦争が何ももたらさないことを、現実が教えている。
戦争が長引くことを望んでいる国はいない。
戦争を始めることは、狂気と非人間性がそなわれば簡単なことだが、
いかに収束するかが難しい。
互いの主張にどう納得のいく折り合いをつけるかが大きなカギである。
(2) 軍撤退した街 見渡す限り遺体 (朝日新聞朝刊4/4)
ロシア軍が去ったあとに残ったものは。
「民家や装備、殺された人々の遺体にまで地雷が仕掛けられていた」
(ゼレンスキー大統領2日の演説)
「静かな並木道には、見渡す限り遺体が散乱していた」(AFP通信の記者)
(共同通信3日 ウクライナ・ブチャで破壊されたロシア軍の戦車などの間を歩く女性。4/5日朝日新聞朝刊掲載)
「見渡す限り…」というのは誇張かもしれないが、通りでは少なくても20人の
遺体がみつかり、全員が民間人の服装をしていたという。配信された現場写真には、
両手を白い布で後ろに縛られていたり、自転車に乗ったまま倒れていたりする遺体
が写されていた、と記事は伝える。
「これらの人たちは後頭部を撃たれて殺された」(地元の市長)
ゼレンスキー大統領
民間人の殺害が意図的だったとして、
ウクライナ各地で繰り広げられたロシア軍の犯罪を告発する。(3日夜のビデオ演説)
「(これらロシア軍の行為は)ジェノサイド(集団殺害)だ」 (米CBSインタビュー)
欧州連合(EU)
「ロシア軍による残虐行為を可能な限りの言葉で避難する」
林芳正外相
「無辜(むこ)の民間人の殺害は重大な国際人道法違反であり、断じて許されず、厳しく非難する」
(談話)
フランス・マクロン大統領
「ブチャで起きたことを見れば、新たな制裁を取らざるを得ない」(4日 ラジオ番組にて)
戦争には膨大な負のエネルギーの消費がともなう。
勝者にも、敗者にも得るものは何もない。
『 戦争犯罪』という言葉が飛び交っているが、
戦争そのものが犯罪であることを私たちは認識しなければならない。
戦争のあとに残るものは、
互に傷つけあい、かけがいのない多くの物を失った悲しみと、相手への憎悪だけだ。
「停戦協議の条件がそろわない」と、ロシア大統領は考えているようだが、
そろわぬ条件を待ち、相手の腹を探り続ければ、傷はますます深くなる。
狂気に走ったプーチンのロシアは今、重大な岐路に立っている。
国際社会から孤立無援になり、国が亡びるか、
戦争を終結し平和への道筋を立てるか、二つに一つだ。
その大統領の責任を全うして欲しい。
決して、自分の保身を考えてはいけない。
まずは、『停戦』、それが難しけれは『休戦』を幾度か繰り返しながら
平和への道を探ることが必要だと思う。
(ニュースの声№10) (2022.04.05記)
この戦争 誰のための
そして
何のための戦争なんでしょう
悲しすぎます
「戦争」、とても難しい問題ですね。
合意のうえの戦争などあるはずもない。
どちらかが話し合いの臨界点を乗り越え、一方的に武力をもって、他方を制圧し、
強引に意思を通そうとする、人間の傲慢さが戦争を起こしてしまうのでしょうね。
元ウクライナ大統領補佐官は、
「人々が自由や価値観のために命を捧げて(戦っている)ことを(プーチン)は理解できないのだ」と。
独裁者の論理はいつの世も、
独断と独裁者が掲げた戦争の旗を無言で見上げる民衆の無関心から起こります。
あの馬鹿々々しい、第一次大戦、第二次大戦を経て、
世界は戦争の悲惨さと無益さを十分に味わったはずなのに、内戦や戦争は絶えることがない。
力の均衡が崩れた時、往々にして「力の論理」が、姿をあらわしてくる。
「人間の業」というにはあまりにも哀しい「業」ですね。