春を詠う 短歌と俳句
日本海側や北日本の雪もどうやら終息に向かい、暖かい日が数日続いたと思っていたら
今日は又冷えた空気の寒い一日になりそうです。
しかし、障子の向こう側に見える陽の光は、明るく春の陽光を散りばめている。
庭の梅の古木も八分咲き。雀たちが餌場の餌を求めて飛び交う姿も春の訪れを感じます。
短歌・俳句の中から春を詠ったものを紹介します。
〇 廃屋の続く下北半島に雪の間(あわい)の蕗の薹(とう)見つ
……(秩父市) 畠山時子 朝日歌壇2018.03.05
日本最北端の半島。風の下北半島、雪も吹き飛ぶ。
天気の良い日には津軽半島のかなたに北海道が見える。
最果ての地にも遅い春が確実にやってくる。
〇 爛漫へ梅一輪の序曲かな
……(牧方市) 中嶋陽太 朝日俳壇2018.03.05
福寿草が咲き、クロッカスが咲く。やがて梅が咲く頃、春爛漫の幕が上がる。
「序曲」と言う表現に時の流れの中の自然の息遣いが聞こえてきそうな
「春、第一章」の歌です。
〇 春の雨野は沈黙を解き始む
……(神奈川県琴平町) 三宅久美子 朝日俳壇2018.03.05
しっとりと降る春雨に傘は不要です。「春雨じゃ、濡れていこう」。
差し出された傘を粋に手で押しやって一歩を踏み出す。
寒さに沈黙した柳の芽が、草むらの土筆(つくし)が顔を出す。
〇 ごめんねの言葉届かず春時雨
……(徳島県松茂町) 奥村 里 朝日俳壇2018.03.05
春時雨。日本語っていいな。「ごめんね」って呟く。
直接いえない意地と後悔。春時雨の中につぶやきが消えていく。
〇 あれからの重さこれからの長さふくしまの春かすんでゆれて
……… (福島市)美原凍子 朝日歌壇2015.4.6
2015年の作品です。原発事故。訳も解らずに放射能の恐怖から逃げた。
多くのものを失い不安に満ちた日々を送った。これから先どうなるんだろう。
先の見えない福島の春。
(2018.03.08記) (人生を謳う)
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