雨あがりのペイブメント

雨あがりのペイブメントに映る景色が好きです。四季折々に感じたことを、ジャンルにとらわれずに記録します。

映画「さまよう刃」を観て② 被害者遺族の感情

2010-08-06 22:46:33 | 映画
 犯人の所在を知らせる一本の電話が長峰重樹に復讐という殺意を抱かせる契機となる。

 ……忍び込んだ犯人の留守宅で長峰は見てはならないものを見てしまった。
 最愛の娘が二人の若者に凌辱されているビデオテープ。

 この時、失意の日々を送る長峰に犯人への殺意が芽生えたとしても、
 それを責めることは誰にもできない。

 帰宅した犯人の腹に刃物をつきたてる長峰の憎しみと悲しみの慟哭を、抑制された演技で
 俳優寺尾聡は演じてみせる。

 被害者遺族が殺人犯となった一瞬である。
 
 殺人犯となりながら、もう一人の犯人を追う長峰。

 その長峰を追う警察。

 舞台は犯人の逃げた冬の長野。
 残雪の残るペンションが散在する山林へと移る。

 娘を愛した父親が
 殺された娘にしてやれることは
 犯人を殺すことだと
 そのことがいかに虚しい行為であるかを知りながら
 娘を殺した犯人を追いつめる長峰の悲しみがせつない
                          (つづく)

(友人・知人へのはがきを、ブログ用に編集して記載しました)
      

 

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