雨あがりのペイブメント

雨あがりのペイブメントに映る景色が好きです。四季折々に感じたことを、ジャンルにとらわれずに記録します。

それぞれの人生から生まれた言葉

2016-03-10 08:00:00 | ことの葉散歩道

それぞれの人生から生まれた言葉

ことの葉散歩道№24

(片隅に一輪咲くすみれが)どんなやまのなかでも、たにまでも、ちからいっぱいにさきつづけて、それから わたし かれたいの。それだけがわたしのいきているつとめです。

       ※ 北条民雄著 童話「すみれ」より

 命のかがやき

 小説家・北条民雄は、ハンセン病となり、当時の国の政策で隔離生活を余儀なくされた。

「いのちの初夜」は文学界賞を受賞。

1934(昭和12)年、23歳で早逝する。

 一輪のすみれに托して、人生を前向きに一生懸命生きる姿が感動的です。

命の儚さを知り、だからこそ一生懸命生きて、終わりたい。

それだけが私が生きている務めなのだと、

欲もなく、命への未練も持たず、ひたすら生きつづけたいと

隔離施設の高い壁の中で民雄は命の灯を燃やし続けたのだろう。

親や兄弟たちからも絶縁され、

ともすれば希望を失いそうな環境の中で、

北条は、命を見つめ、まっすぐに生きようとした。

 

野球はピンチになれば代打やリリーフがあるけど、人生にはそれがない。

           ※ 桑田真澄

 ピンチは自分で乗り越える

 元プロ野球の清原和博容疑者が覚せい剤で逮捕され、

旧友の桑田真澄が求められて言った。

さらに桑田は、「彼はそれがわかっていると思う」と続ける。

つまり、桑田が言いたかったのは、

人生に代打はないぞ、自分で歩いていく以外に解決の道は開けないのだと。

野球人生を共に歩いてきた、桑田にして言える励ましの一言だ。

名声におぼれ、こんなわけではなかったと振り返る自分自身の後ろ姿に、

清原は愕然とする。

栄光のざわめきも、スポットライトに映し出された輝かしい未来もない。

 清原よ!!

覚醒剤の呪縛から逃れるためには、

一生かけての辛い戦いが待っているのだ。

それを克服した時、

桑田の言葉がどんなに真実を語り、

温かさに満ちていたかを知るだろう。

    (それぞれの言葉は、朝日新聞天声人語2016.02.29より引用。)

                                                            (2016.03.08記)

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