勤務マニュアル
職場にマニュアルは必要だが、あまりに細かいマニュアルは、融通性を欠き、
職場の規範をややこしくしてしまい、自発性を奪ってしまう。
最悪の場合は、マニュアルがなければ何もできなくなってしまう。
マニュアルは職場で働く人が、気持ちよく働くための指針になような内容でなければならない。
「防火マニュアル」、「地震などによる避難マニュアル」、「接客マニュアル」、
「苦情処理マニュアル」等々たくさんの種類がある。
肝心なことは、誰が作ったマニュアルかということである。
実行委員会(現場)で作成されたマニュアルは、職場を管轄する上司に提出され、承認を得る。
作れと行政指導があったから、監査で指摘されたからなど、同業他社のマニュアルをそのまま
引用したものは、マニュアルのためのマニュアルで、実務に即していない場合が多い。
マニュアルは実務者の共通認識として、
働きやすい職場づくりの一環であることを忘れてはいけない。
最悪の場合は、事務所に保管され実務者がその存在すら知らない場合もある。
作成したマニュアルは、年に一度実務に合わせ検討し実務との乖離を避けなければならない。
雇用する側が一方的に作成し、上意下達的に雇用者に与えるやり方は好ましくない。
どうしても、経営する側の要求が強すぎ、実務者に負担かかりすぎる場合が多いからだ。
前述したように実行委員会を作成し、関係各部の構成メンバーにより検討作成することが望ましい。
最近、園児置き去り死亡事故を起こしてしまった川崎幼稚園の場合、同業者が作成した送迎時の
マニュアルをコピーし、一部の職員に配布しただけで、検討会議をしたこともないという。
また、理事長と園長を兼務していた増田氏は、
代行運転をした際、
運転者の業務である車内消毒や忘れ物の有無の確認など行わなかったと報道される。
経営者だから、マニュアルを守らなくてもいいということでは、
マニュアルの存在価値がなくなってしまう。
この幼稚園では、 多くのルールが形骸化し緊張感を欠いた業務が展開されていたのだろう。
いくつものミスが重なり合って、尊い命が失われてしまった責任は重い。
西村経産相の「出張随行用マニュアル」
随行職員が作成した勤務マニュアル。
大臣は土産購入が多いので荷物持ち要因を置くこと。
帰路の駅では弁当購入者とサラダ購入者の二手で対応すること。
(大臣は健康維持のためにジムに通っており、
できるだけ炭水化物を控えるようにしている)
お土産店では事務方が代金を立替払いする。
(大臣が払おうとするが、時間がかかり時間のロスにもなるので立替える)
保冷剤の購入は必須。(サラダの保冷用)
等々、箇条書きにすると、これはちょっと問題なんじゃないと思える節もあるが、
事務方は、大臣の出張目的を円滑にサポートするための業務の一環として、
作成したのだろう。随行職員の職務は「お土産購入サポート」が目的ではないことを
記事は伝えて欲しい。
こうした批判に対し、西村大臣は
「過度に気を使うことはない」と事務方に伝えた、という。
最後に、城山三郎の小説『官僚たちの夏』から、
箴言(しんげん)を一つ紹介します。
ベテラン官僚が若手官僚に言い聞かせる場面。
《おれたちは国家に雇われている。大臣に雇われているわけではない。》
(ことの葉散歩道№48) (2022.9.16記)
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