人生の扉 幾つもの扉をくぐり抜けて……
「人生には扉がある。 |
仏教の教えの中では、人生には「生老病死」という四つの「苦」があると説いています。
人生における免れない四つの苦悩です。
「生きる」ことそのものが「苦」に繋がり、やがて「老い」という避けられぬ衰えを経験して、
或いは「病(やまい)」に侵されて「死」を迎える。
人生が本当にこんな形で進んで行くとすれば、とても辛い修行の連続になってしまいます。
だが人間には「希望」という最も大切な感性があります。
希望の扉を一つ開ける。
扉の前に現れた現実が不幸な現実であっても、人間には「闘う力」がある。
闘いながら次の希望に向かって進んで行くことができる。
しばしば、「夢」は現実から乖離する場合があるが、
「希望」には、次の扉を開いて前に進んで行く力が備わっている。
働き、努力して地位を得、妻をめとり、子を授かり、家庭を築く。
老いて仕事の終わりの扉を出て、悠々自適、余生を楽しむ。
人生行路はそれ程単純で、思い通りに展開するものではないけれど、
「夢」や「希望」を乗せ、社会という荒波にもまれながら、
たどり着く浜辺が、穏やかで波静かな浜辺であったら
それが人生の幸せというものではないか。
※ 池宮彰一郎(1923年-2007年) 脚本家、作家。
代表作「最後の忠臣蔵」
「義、我を美しく」は新潮社、1997年、新潮文庫 2000年)
(ことの葉散歩道№45)
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