脳卒中をやっつけろ!

脳卒中に関する専門医の本音トーク
 最新情報をやさしく解説します 

ステントとは? その2

2008年05月18日 | 血管内手術
前に「ステントとは?」で、ステントの原理を紹介しましたね。
「留置したステントが再度縮んでしまうことはないのか」とコメントを頂きました。
上の図に示すように、バルーンだけで動脈硬化による狭窄を拡張すると直後にelastic recoilという現象(血管の弾力でもとにもどろうとすること)がおきて広げたバルーンよりも狭い状態になってしまいます。
また一旦は広がっても2-3ヶ月経過すると、再狭窄が起きてしまいます。

ステントはこれを防止することが出来ます。
ステントはバルーンで広げた形でそのまま残りますので、elastic recoilが少なくなり、結果として再狭窄が少なくなるのです。
最近ではさらに再狭窄を減らすために薬剤をコーティングしたステントもあります。
これについてはいずれまた詳しく解説しますね!

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未破裂動脈瘤の治療法選択ー血管内手術(近未来編)その4

2008年05月18日 | 動脈瘤
上の図はアメリカで開発され臨床応用が始まった新しいマイクロカテーテルです。その名はENZO!
マイクラス社が取り扱っています。
フェラーリの創設者のENZO Ferrariにちなんだとか!
名前負けしないその斬新なカテーテルは、手元の操作でマイクロカテーテルの先端を曲げられる(!)というスグレモノです。
え?そんなことも出来なかったのかって?
そうなんです。実はマイクロカテーテルの誘導は脳だけでなく心臓や末梢血管でも先端に角度のついたワイヤーを先行させてそれに沿わせるだけ...という職人芸なのです。
それでも相当入りますけどね。
脳では血流に乗って流すタイプのフローガイドマイクロカテーテルもあります。
これもうまく使うと脳動静脈奇形などでは威力を発揮します。

でもこういったものを駆使しても挿入に時間がかかることがあって、そういう時は「先端が自由に遠隔操作できるカテがあったらなー」と思っていました。
つまり以前からだれもがこのENZOみたいなカテーテルを頭の中で想像してはいました。
しかし実際に作るのは別のこと。
アメリカで実際に見てきて写真を撮ってきました。
細いマイクロカテーテルです。技術的困難が相当あったものと考えます。
まずは賞賛を送りたいと思います。
今後も改良が必要とは思いますが、新たな時代を切り開く可能性のあるカテーテルです。

こうして見ると血管内治療はまだまだ新しい機材が開発中で、今後も発展する可能性が高そうですね!
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国立循環器病センター脳血管内科

2008年05月18日 | 閑話休題
お久しぶりです。
このところ学会での講演が多く、やっと時間が出来ました。
先週末は日本病理学会のワークショップ、日本神経学会のランチョンセミナーで話をさせて頂きました。
テーマは頸動脈狭窄症の治療です。
自分は手術も血管内治療もどちらもやっており、詳細な術前診断により使い分けています。
だから治療結果はすごくいいのですよ!
得意な領域の一つなんです。

今回の日本神経学会では九州医療センターの矢坂正弘先生とお話しさせて頂きました。
実は矢坂先生とは国立循環器病センターで一緒に仕事をさせて頂いたことがあるのです。
自分が国循の脳外科レジデントだった頃、2ヶ月間、脳血管内科にローテートさせて頂いたのです。
当時の脳血管内科の部長は山口武典先生(現日本脳卒中協会理事長)でした。
研修中、山口先生とお話しさせて頂く機会があり、「俺は患者が治れば内科的でも外科的でもどちらでもいいと思っているんだ」といわれてました。私は「こんな内科医がいるんだ!」と深い感銘を受けました。温厚で、度量の広い、素晴らしい先生です。
当時の研修で習得した診断法、薬の使い方、頸動脈超音波など今も大変役に立っており心から感謝しています。

さてその頃、脳血管内科スタッフとしてバリバリ論文を書いておられたのが矢坂先生なのです。
普通超音波検査は、胸のところにプローブを当てて検査するのですが、これでは脳梗塞の原因を見落としてしまうことが多いのです。
これを解決するため、胃カメラのように細いプローブを食道に入れて検査すると、心臓の中や大動脈に脳梗塞の原因の血栓が見つかることが多いのです。そんな検査法は正直、国循に行くまで知りませんでした。
あんなすごい先生と一緒に講演させてもらえるなんて、なんかの間違い(?)と思ってしまいます。

現在このブログは動脈瘤一色ですが、徐々に頸動脈狭窄症などの脳梗塞関連や特殊な血管異常(もやもや病や動静脈奇形)についても話を展開していきますよ。
乞うご期待!
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