皆さん、大変ご無沙汰しておりました。
脳卒中予防に関する動画を配信する準備をしていて、長いブランクとなってしまいました。
こちらについては準備ができ次第、アップしていきますので楽しみにして下さいね。
さて今回以降は、未破裂脳動脈瘤と診断された方からよく受ける質問についてお答えしていきたいと思います。
質問1: 未破裂脳動脈瘤はしばらく経過観察したいと思いますが、今後日常生活で気をつけるべきことがあったら教えてください。
よく外来でこのような質問を受けます。そこで、参考となる論文を一つ示し、その中の表を紹介します。(松田ら, 脳卒中19: 257-263, 1997)。
この論文は、日本人の脳動脈瘤破裂に関して、1)発症月、2)時間帯、3)身体活動状況などが脳動脈瘤破裂の危険因子となりうるかどうかを検討した論文です。脳動脈瘤破裂によるくも膜下出血が確認された567症例を対象としています。
1)発症月:月別発症数については、12月が最も多く、9月が最も少ないという結果でした。季節としては冬(12月 ~2月)が最多でした(P<0.02)。
2)発症時間帯:深夜帯には少なく、身体活動の伴う時間帯に多く発症していました。
3)身体活動状況:談笑中・テレビ観賞中・自宅でくつろいでいた時が最多で、排便・排尿に関連したものが次に多く、勤務中、家事中、食事・飲酒、入浴の順でした。
著者らは、他の多くの報告でも、約半数においては睡眠中やたいした身体活動を伴わない時にくも膜下出血が最も多く生じていたことから、「身体活動そのものが大きな危険因子となっているとは考えられない」と述べています。また、「仕事や家事中の破裂も多いが、従事する時間を考慮すると多いとは言えない」、「費やす時間を考慮にいれると排便・排尿に関連しての発症率が最も高くなる」と報告しています。
個人的見解としては、この報告は私達日本人を対象としていることから大変貴重な論文と考えます。もっとも破裂が多かったのはくつろいでいる時や、仕事中や家事中、食事、入浴、買い物中などで、いずれも避けがたい状況です。
患者さんが最も心配するのは「運動・スポーツをしてよいか?」ということですが、それらの発症は少なく、制限を設ける必要はないと考えます。
一方で、排便・排尿に関連しての発症率が高いことを考えると、便秘などのある方は食事や内服薬などで対処したほうが良いかもしれません。
別の機会に紹介しますが、高血圧は有意に破裂に関連しますので、その管理は極めて重要なことを強調しておきたいと思います。
以上、未破裂脳動脈瘤を有する方が日常生活で気をつけるべきことについて紹介しました。なにか質問などあれば、ぜひコメントして下さいね。
"いつも素晴らしい情報をありがとうございます。"
先生のブログに、色々教わり、時に励まされ、時に感動し。こうしてお心もお時間も砕いて惜しみなくご教授くださる事に感謝しております。これからは動画でメッセージをお届けくださるのでしょうか?ますます楽しみにしております。
動画は、ある程度溜まってきたら公開をはじめていきます。
よろしくお願いします。
教えてください。
12年前の脳梗塞(頸動脈狭窄症)の後遺症
右手右足にたまに麻痺がでま。
毎回、麻痺が出ますと一過性の脳梗塞かと
不安になります。
先日も不安になり脳の検査をしましたが異常はありませんでした、ほっとしました。
先生に質問ですが、後遺症の麻痺と新たな一過性の麻痺の区別は出来るのでしょうか?
73歳の男性です。
猛烈に暑い日が続きます。
先生もお体をご自愛してください。