脳卒中をやっつけろ!

脳卒中に関する専門医の本音トーク
 最新情報をやさしく解説します 

Kobe ACVS

2011年06月04日 | 学会/研究会
昨日は神戸で開催された「第1回急性脳血管症候群コンセンサスミーティング」で講演をさせて頂きました。
急性再開通療法の経験についてお話させて頂きましたが、今回は私の講演の前に『発症48時間以内の脳梗塞急性期診療レジメンについて』というディスカッションがあり、近隣の施設の先生方が各病態の治療法をプレゼンし、それについて討議するという試みがされていました。
それをお聞きしていると、それぞれの施設が微妙に違った方法で治療を行っておられること、それは施設なりの事情や考え方の違いによることが分かりました。
脳卒中診療ガイドラインがあっても、現場の治療にはいくつものパターンがあります。このため医師や施設により治療法に違いが出るのです。

私たちの急性期治療は、かなり血管内手術や外科的手術を積極的に行っているんだなあと実感しました。
もちろん内科的治療で治療してきて、それぞれの疾患できっかけがあったため、数年前から徐々に前に踏み出しているという状況ですが、一部の領域では極めて前進していると感じました。
これらについては、きっちりと治療成績を解析し、世に出して行きたいと思っています。

今回は私自身が大変勉強になりました。お招きいただいた山上宏先生に心より御礼申し上げます。
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梅雨

2011年06月03日 | 閑話休題
毎日雨ですねー。
いつも行くお店の入り口に、あじさいがありました。
ほっとしますねー。

でも今日は晴れて暑くなるみたいですよ!
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静岡血管内治療講演会

2011年06月01日 | 学会/研究会
紹介が遅れてしまいましたが、先日静岡で血管内治療の講演会がありました。
メルシーリトリーバーをある程度使ってから来てほしいということでしたので、我々のこれまでの使用経験を中心にお話しました。
お招きいただいた先生方に、御礼申し上げます。

さて、すでに全国で500例以上に使われたこのメルシーですが、当施設で使ううちにいくつかのことが分かってきました。
1)開通能力が高い
 これまでの薬で溶かす方法や、風船でつぶす方法ではどうにも開通できない閉塞が、メルシーで劇的に開通する症例が何例もありました。やはり、このデバイスは有効です。
2)しかし、デバイス自体はかなり堅い
 使いはじめた当初から感じていましたが、局所麻酔下の治療でメルシーを挿入して行くとそれだけで痛みがあるようで、患者さんの体動があります。オーバーサイズの選択は絶対に避けるべきです。
3)回収に抵抗がある
 血栓回収のために引き戻すときに、かなり血管が引き延ばされます。このため中大脳動脈の末梢に挿入するのはかなり怖いと思います。最近ではなるべく直線部に挿入し、まずは2ループぐらいだけ先端を出して感触をみる方法などを試しています。
4)クモ膜下出血を合併しやすい
 堅くて抵抗があるためか、治療部付近にクモ膜下出血を認めることが結構あります。特に末梢の血管を治療した時、回収に抵抗があった時に多い印象があります。術後には必ずCTが必要です。出血があると術後の抗血栓療法が行いにくくなるため、抵抗が強い時には再開通を優先すべきかどうか、他のデバイスに変更すべきか、よく考える必要があります。
5)吸引が大切
 メルシーに何も引っかかっていなくても、吸引で大きな血栓が回収できることが良くあります。回収した方に気を取られずに、吸引することが大切です。

米国で行われたメルシーレジストリーでは、全体(872例)で再開通率は80.1%、8時間以上経過した症例においても(112例)、再開通率は81.3%と極めて高かったとのことです。
堅いけれどもうまく使えば非常に有効ということです。

近々、2ミリのソフトタイプが使えるようになるそうです。また米国で評判のいいDACというサポーティングカテーテルが日本には導入されないとのことでがっかりしていましたが、それに近いものが日本で開発中です。
どちらもメルシーの安全性を高めてくれそうで、待ち遠しいです。
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