簾 満月「バスの助手席」

歩き旅や鉄道旅行のこと
そして遊び、生活のこと
見たまま、聞いたまま、
食べたまま、書いてます。

四国遍路 太龍寺道

2009-12-01 | Weblog
途中県道を横切ると、今までの遍路道からは考えられないような夏草の生い茂った道に入る。

 【写真:太龍寺道】

これまでは、どんな山道でも、厳しい登り道でも、急な下り坂でも、何処も良く手入れされ、
整備された遍路道が多かった。
何方かが、人知れず何時も手を入れてくれるから遍路道が維持されていると思うと、ありがた
いものだと多少なりとも感謝の念を持って歩いてきた。
しかし、この道だけはどうやら様子が違う。
「ボランテアで、道を整備する人も居なくなってしまったのだろうか」などと、話しながら暫く歩く。

1時間半ほど下ると人家が現れ、大井の集落に近づく。
ここの墓地で、墓参りの一団と出会う。

 【写真:太龍寺道】

お墓の先から良い匂いが漂ってくるので、てっきりこの一団が墓参りの後、焼肉パーテーでもする
のかと、中の一人に「この後は焼肉ですか?」と問うと、「いやあれは他のグループだ」「我々はこ
れからお弁当を食べる」
その中に混じり、そんな会話をしながら、狭い道を一列になって下るとやがて広い県道に合流する。
あの匂いに触発され、お昼には少し早いが、道脇の休憩所で昼食を摂る。

 【写真:太龍寺道】  

県道の先に“水井橋”の標識が見えた。
歩いていると橋の手前で土地のお婆さんが声を掛けてくれた。
土地訛りの強い言葉で、「今日は天気が良いから、歩くのには良いだろう」と言うようなことを言ったが、
文章には書き表せない。
確かに天気は良いし、風も強くないが歩いているとこの天気はかなり暑い。
幸いなことに湿度が低そうな事と、時折吹く風の爽やかさにだけ救われる。

橋の無い昔は、渡しが遍路を運んでいたと言う清流を見ながら橋を渡る。
初めのうちはのんびりとした、緩やかな農道或は林道と言う感じの道で厳しくは無い。

 【写真:太龍寺道】

舗装された道を1時間ほど歩くと、右に取る石段の遍路道が現れる。
ここからいよいよ最後の登りが始まる。
山道はその傾斜も次第にきつくなり、足元も悪くなる。
息も切れ、荒くなるが、多少山道に慣れてきたのか、まだまだ元気だ。

 【写真:太龍寺道】

鶴林寺から6キロ余りで平等寺への分岐道に到着する。
寺まであと0.4Kmの標識が立つ。
寺はもう直ぐそこだと思ったのに、この僅かな距離に苦しめられるとは思ってもいなかった。(続)
コメント
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