簾 満月「バスの助手席」

歩き旅や鉄道旅行のこと
そして遊び、生活のこと
見たまま、聞いたまま、
食べたまま、書いてます。

外様潰し(JR乗り潰しの旅・関西本線)

2017-01-09 | Weblog
 その話は、中学生時代まで遡る。
当時の社会科の担任教諭が聞かせてくれた、ある話が興味を引いた。
勿論その当時の話の内容を今に覚えているわけではないが、強く胸を打たれた出
来事を、その後もずーっと忘れることは無かった。



 「薩摩藩士による宝暦の治水」の話である。
それから何年か過ぎたある時、偶然この有名な「宝暦の治水」の様子を描いた、
直木賞受賞の長編小説と出会った。
「弧愁の岸(杉本苑子・昭和38年 講談社)」である。



 江戸時代この「輪中」地帯の尾張藩側には、「お囲い堤」が聳え建っていたが、
美濃側はそれよりは一段と低い堤しか築く事を許されていなかった。
木曽三川は、それぞれの水面の高さが違うため、ひとたび豪雨に見舞われると
水難は深刻な事態となった。



 幸か不幸か、巨大な河川がもたらすのは災害だけではない。
度重なる氾濫は、尾張・美濃を広大な沃地にし、豊かな農産物をもたらすものでも
あった。
しかし幕府はそれでも大水害を見捨ててもおけず、川普請に着手することになる。



 とは言え幕府が直接金を出し工事を行うのでは無く、当時の有力な大名、薩摩藩
77万石にその工事を下命する。
薩摩藩の勢力を衰えさせるための、外様潰しの方策で有る。



 剣術では後れを取らないと自負する薩摩隼人でも、土木工事は全くの素人集団
に過ぎず、彼らが立ち向かうには自然の猛威は余りにも大きなものでその工事は
凄惨を極めることになる。(続)





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