雀の手箱

折々の記録と墨彩画

引き継ぎ

2011年11月29日 | できごと
 今日は九州厚生年金病院に先日来の検査結果を聞きに出かけました。
手術から5年が経過しているので、検査結果次第では町のかかりつけ医に引き継ぎをするとのことでした。
 今後のこともあり、注意などがあればと思って一緒に出掛けました。
 担当の先生は、分厚い検査結果の数値が記入された書類と今後を見てくださるドクターへの手紙を渡しながら、簡単な説明で、要するに、転移やその他疑わしい病変は今のところ見られないことを淡々と告げられました。
 注意事項もただ食べ過ぎに注意をするようにとだけでした。

 つい先ごろのような気がしていますが、もう5年が過ぎているのです。40日近い入院の日々、毎日通った銀杏並木は今が黄葉の盛りです。5年前の退院の日、11月24日は大方葉を落としていましたから、今年は半月も遅れています。
 帰省中の娘と三人、とりあえずのお祝いの昼食を創作料理のお店でいただきました。
 何かほっとすると同時に、管理から離れた一種の緊張を感じています。






狂言を楽しむ

2011年11月24日 | 雀の足跡



 夏から楽しみにしていた狂言の会でした。
 北九州芸術劇場は二階席まで満席の盛況でした。私の切符は幸なことに3列目、16番で、中央シテ柱を正面に見る、演者の足袋の裏まで見える位置でした。
 期待は人間国宝、野村万作さんの萩大名でした。今年80歳「違いの分かる男」の軽妙な演技は健在で、声こそ張りが少し減ったかと思いますが、年齢を重ねたいぶし銀の洒脱は磨きがかかって、存在感がありました。
 解説の萬斎さんは、話馴れていて、観客を引き込む術も心得たものです。過不足のない演目の解説の最後は、”首引き“の終わりのところの掛け声「エイー サラサ、エイサラサ」を自分の発声に習って、観客にも発声させました。笑いに包まれて狂言への導入が終了しました。
 首引きは狂言には珍しく、登場人物は為朝のほかはみな面をつけていました。親鬼のユーモラスな面、姫鬼のおかめの愛らしい面と初々しいしぐさも楽しめました。

 記念のチケットと舞台(パンフレットより)










 

今月の作品から

2011年11月21日 | すずめの百踊り


剪定で引き落とされた枯れた零余子。



 このひと月、事が重なり、好きな墨彩に取り組む余裕もなく、慌ただしく過ごしてしまいました。
 雨の日を挟んで、予定が延びた庭木の剪定もやっと終わり、人の出入りもなくなって、気分転換にと道具を広げてはみたものの、気持ちが先に逸って思うように描けません。無理矢理にまとめた粗い作品ですが記念に記録することにしました。
 京の光景の幻想のつもりでしたが,まだ汚しが中途半端のようです。











山形のラ・フランス

2011年11月17日 | 日々好日
 



 「特秀」と刻印された大型のラ・フランスを例年のように送ってくださいました。
 老人二人の世帯に14個入りは手ごろなうれしい数です。
 今年は豊作とか。今から熟成する日を楽しみに眺めています。
 電話の向こうでストーブを焚いて寒さをしのいでいますと明るい声がしました。北の国では寒さがつのり早くも雪の季節となっているようです。

 独特の果実の形は絵心をそそります。もうすぐ柔らかな西欧の香りを漂わせて、目で、舌で楽しませていただきます。

京都での再会

2011年11月17日 | できごと
 新幹線“のぞみ”は昼少し前に京都に到着しました。宝ヶ池のグランドプリンスで4時の待ち合わせには時間があるので、気になりながら毎回パスしてきた「みやこメッセ」に立ち寄ることにしました。
 京都の伝統工芸の展示を一堂に集めたミュージアムがあるとは知っていましたが、京都伝統産業ふれあい館、みやこメッセを訪れるのは初めてでした。
 いつも訪ねる細身美術館からすぐのところで、平安神宮の参道の近くです。
 早くホテルにはいりたいという夫を、「京表具展」が催されているからと無理に誘いました。予想した通り、熱心に見てまわり、本日実演の表具師の方の屏風の下張の実演を長々と動かずにながめていて、図書館では表装関係の書物を購入していました。

 会場には京都が誇る多方面の伝統工芸の品々が並んでいて、この日は、そのほかにも、錺師と蒔絵師の仕事が公開されていました。人が殆どいないので質問にも丁寧に答えてくださり、写真も許可してくださいました。ショップでお土産にするのに手ごろの日本的な品々を選んで3時すぎに、国際会館へと車で向いました。
 十数年ぶりに会う人々は、すっかり貫禄が出て、落ち着いた対応に驚きと喜びが混じって涙ぐみそうになりました。同じホテルに宿泊するので気持にもゆとりがあり、先斗町で夕食を予約してあるからという誘いに、車に分乗して賑やかに繰り出しました。
 10月末からの会議期間中、夜の京都を散策したと見えて、四条界隈は馴れているようでした。
 箸も上手に使って、時間を見計らって個別に出される小さな器と、「芸術的」な盛り付けを盛んにカメラに収めていました。ホテルに教えてもらったというお店は一昨年葵祭の時、床で食事をした豆屋源蔵からほど近いいづもやという京懐石の店でした。
 閉店間際まで懐旧のおしゃべりは絶えることなく続き、再会を喜んだことです。

 写真はたくさんありますが、それぞれの現在の社会的環境や地位を考慮して割愛します。



参考  京都市勧業館「みやこめっせ」伝統的工芸品品目
京石工芸品、京瓦、造園、庭園用竹工芸、京友禅、型紙、京小紋、京鹿の子絞、京無地染(浸染)、京黒紋付染、旗印染、房・よりひも、京くみひも、手織関連用具、西陣織、京繍、足袋、京袋物、花かんざし、黄楊櫛、銘木・北山丸太、京銘竹、和傘、提灯、張籠、きせる、釣竿、竹工芸、京すだれ、京扇子、京うちわ、京陶人形、京人形、京焼・清水焼、京漆器、京表具・表装、京版画、和本、色紙・短冊、かるた、京唐紙、京印章(印刻)、張り子、水引細工(結納飾り)、工芸菓子、菓子型、日本酒、京刃物(利器工具)、金網細工、金属工芸・七宝、象嵌、截金、数寄屋金具、京指物、真田紐、念珠(珠数)、京仏壇、京仏具、和ろうそく、薫香、能面、調べ、邦楽器弦、京弓、矢、神祇調度 装束 工芸

戻ってきた日常

2011年11月14日 | できごと
 3日の京都行き以来、慌ただしい日が続いていました。パソコンを開かない日もあって、昨晩は溜まったままだったメールの処理に2時間近くかかりました。
 庭では常緑のもちの木の落葉がはじまって大量の木の葉が丈の低い植込みの上を覆っています。楓の紅葉はまだですが、山形から届いたラ・フランスの見事なふくらみにも秋の季節の深まりを感じています。

 昨日午後、成田を発って帰国の途に就いたので、やっと静かな日常が戻ってきます。今夜は無事到着の電話があることでしょう。私はまだ脱力感のなかで、眠い毎日です。
 彼らがイメージするJAPANの華やかな色彩にとまどいながら、円高を嘆く買い物に付き合っていました。
 花嫁衣装の打掛を買って帰った夫婦が圧巻でした。何にするのと尋ねると部屋に飾り、パーティーで着るのだと答えが返ってきました。清水焼の花柄に目が留まり、足が止まっていました。大阪のヨドバシカメラでは3時間もフロアをさまよっての買い物でした。

 京都も洛北、宝ヶ池あたりは、観光シーズンでもいつも静かなたたずまいです。国際会議場に隣接するグランドプリンスホテルも穏やかな時間に包まれていました。
 今回は待ち合わせ時間までを、みやこメッセを中心に工芸の展示を見学し、職人さんたちの実演を見て、質問にも気軽に相手をしてくださるので、表具師や、彫金の錺職人さん、蒔絵の伝統工芸の方などの話を伺って時間が経ちました。
 もう少し休養をとって公開するつもりです。



中庭からのホテル



朝食の京料理”花水木”より



出発の朝

しばらくお休みに

2011年11月01日 | できごと

 春の来日の予定を、東日本の災害で延期していたブラジルからのお客様が、来日しました。京都での学術会議に出席するご主人に同伴して先月末から京都に滞在中です。

 明日から私たちも京都まで出かけて合流します。4日夜に帰国する多忙な仕事を持つ人たちを関西空港に見送った後、我が家へ同伴する人もあって、これから賑やかな日が続くことになります。
 紅葉にはまだ早い京都ですが、お定まりの観光コースを観光タクシーで案内して、日本食の文化に歓声を上げてもらわねばなりません。
 準備も大体終わりましたが、この過程で、自分の物事の処理能力がひどく落ちていて、こんなはずではなかったと、老耄を身に沁みて自覚させられたことです。
 どんな珍道中になりますか、おおらかなラテンの人たちと過ごす1週間が自分にとっても良い刺激と、元気をもらえることを期待しています。
 50歳を超えて、生活して行く必然から学んだ即席のポルトゲスは、ほとんど忘れ去っているのですが、単語だけはどうやらまだ記憶の片隅に切れ端が残っているようです。
 このような事情で、10日、帰国に向け我が家を発つまでのしばらくをお休みにします。