雀の手箱

折々の記録と墨彩画

団扇の季節

2017年06月28日 | すずめの百踊り
 梅雨らしい雨が降り続いています。若いころはこの季節をこよなく嫌ったものですが、齢を重ねた今は、湿潤な穏やかさをどこか愛おしんでいる自分に気づきます。

 白地の団扇に描きこみをしてお中元のご挨拶と共にお渡しするための準備を愉しむ日々です。相手のお顔を思い浮かべては図柄を思案しています。
この仕事も今年あたりで打ち止めかもしれません。自分でも驚くほどの根気の無さです。
 思えば朝顔、蟹、瓢箪と時にはシリーズ風に描いていたものですが、昨年あたりからは波濤が加わりました。
 そして、時々、無性に他のものを描きたくなって横道の遊びです。

 今年も後二日で水無月祓い。一年の折り返しで、矢のように過ぎてゆく日数を悔い多く送るのを悲しみます。せめて後半の日々を心豊かに平穏に過ごせたらと祈念するばかりです。















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今年の梅仕事

2017年06月19日 | 日々好日


 完熟して落ちる梅を痛ましいと思いながら拾っています。毎朝たっぷり1キロはあります。
 老木の梢のあたりにはまだ黄緑の色をうっすらと残した梅も見えています。

 もう梅干しを作ることは無理と判断して止めにしました。かくて完熟の梅は梅ジャムと梅味噌に姿を変えています。お世話になる方たちに小さな瓶詰にして、プレゼント用にし、喜ばれるとまた元気も出て、せっせと毎日1キロづつ、気長に梅を煮ています。甘ずっぱい梅の香りは、私にとっての今年の初夏の薫りです。料理の隠し味のほかに、毎朝のヨーグルトソースにも仲間入りさせて楽しんでいます。



さくら館のラッキョウ漬け

2017年06月10日 | できごと
 夫が週2回お世話になっている「さくら館」は、さまざまな企画で変化のある毎日のようです。
 母の日には、「お母さんいつもありがとう」と書かれたメッセージカードを挿し、12本のカーネーションとスターチスやカスミソウが上手にアレジメントされたコンポートが届きました。今回は、開所以来続いているイベントとかで、200キロのラッキョウを、月曜日から金曜日まで五日間かけて、入所者や、デイサービスに通う人の希望者を募って下ごしらえをするという企画でした。「ご家族との交流も兼ねていますので、時間のある方はお手伝いを」というお誘いが届きました。
 いままで、館で収穫したものですという、大きな玉ねぎや、お漬物、みんなでこしらえたという少し焦げたのも混じるクッキーなど、いただいてばかりなので、見学を兼ねてお手伝いに1日だけ出かけることにしました。

 なかなかの味が評判で、バザーなどの折に出品されるのを待っている方もあるというラッキョウ漬のようです。完成すると全員に分配されるそうです。
 私には初めての行事でしたが、皆さんは毎年の事で慣れていて、次々と見事な手さばきで広げられた山が見る間に減っていきます。冗談が飛び交い、頻繁な休憩で飲み物が配られ、和気あいあいの雰囲気で、看護師さんが時間を見計らっていて交替を告げても、立ち上がらない方もいて、笑いを誘っていました。

 夫は横になって休んだり、軽い運動をするグループに参加したりで、かなりな人数の見守りの中で気ままに過ごしているようでした。
 立派な設備の施設でも3か月は続かなかったのに、2回の利用で止めた所も含めると、五度目の今回は、私の休息日のためを考慮しての事だけではない何かがあるのでしょう、出かけるのを嫌がりません。

 入所棟の2階の吹きぬけの天井になった食堂で昼食をご馳走になり、お土産のお菓子までいただいて帰宅しました。ラッキョウは、今から出来上がりが楽しみです。




 一棟と二棟との間の通路での作業風景です。左奥は厨房のある工房です。

北九州市から山口にかけての一帯では、年配者には、ラッキョウというよりはランキョウ、(当て字で乱京とも)という方言が現存しています

入梅

2017年06月07日 | 日々好日

五日の暦に芒種と記されているのを見て、麦から稲の季節への移りかわりを思ひ、田んぼでは蛙の合唱が始まるなと、季節の移ろいの速さにせかされる思いです。

 晴天が続いた五月後半から、待っていた雨が遠慮がちに降りはじめ、梅雨入り宣言が早々と昨六日には出されました。

 荒れたわが古家でも、薄暗い広い座敷にいて、庭に静かに降り注ぐ細かな雨をしみじみと眺めている時間は決していやなものではありません。
 青梅が重い音をして落ちる、その音に一種の哀愁を感じます。それは秋の木の葉の落ちる、凋落の冷たい寂しさを伴う哀愁とは違ったぬくもりのある柔らかなものです。














   上の写真は、何の花の花盛りかお判りでしょうか。秋にはイガイガの針で実をつつむ果実です。