雀の手箱

折々の記録と墨彩画

春の庭で

2019年03月29日 | 日々好日
ゆすらうめ

いろはもみじ

つるききょう

 気付かずにいましたら、突然gooのブログがリニューアルになって、編集画面が開けず、コメントの入力をしてもどこから開くのかもわからないので、お休みにしていました。やっと再開できましたが、戸惑うばかりです。
 遠くに暮らす近親者や友人たちへの生存証明のつもりもあり、細々と続けてきましたが、そろそろ幕引きの頃合いかもしれません。
 荒れている最近の我が庭にも、春は世間並みに訪れ、素朴な花たちが存問してくれています。枯れたと思っていた山桜桃梅(ゆすらうめ)が今年は花をつけました。亡きあるじがこよなく愛していた花です。近頃ほとんど見かけることのない連翹も垣根で黄色の星をちりばめて健在です。桜はまだ四分咲きですが、その名もボケの花が多用な色使いで愉しませてくれます。いろはもみじの小さな花が咲く今ごろから、赤い小さなプロペラに乗って種を飛ばすころ、そして若楓(夏の季語)の季節までの変化を、紅葉の季節以上に私は愛でています。
 絵筆はこのところ友人の他界以来気が進まなくてお休みにしています。


連翹

花蘇芳

金柑

シャガの花

ボケの花


春の訪れ

2019年03月15日 | 塵界茫々






このところ、古い友人の訃報が続いて気持ちも沈みがちで絵筆を執る気にもなりません。それでも、季節は確実な歩みを辿っていて、梅が散ってしまった庭で、櫻の蕾がそれとわかる気配を見せています。
 毎年の事ですが我が家では3月3日の雛祭りを月遅れで行います。内裏様もあえて関西風に右に男雛、左が女雛で飾ります。このころになってやっと春らしい花が咲きそろうのも楽しみです。
 今年は、早々と2月に薄紅の馬酔木が咲き、今は白の馬酔木が花盛りです。
 好きな貝母百合も咲き揃い、土佐水木は特色のある姿で揺れています。気の早い射干もちらほらと咲きはじめていますし、櫻の開花も早くなると予報されています。すべてのことが急ぎ足のようで落ち着けません。自分の老いの自覚を突きつけられるようなしくじりがかなり増えてきました。
 春秋左氏伝の諺に、老将知而耄及之 「老いて将(まさ)に知ならんとして耄これに及ぶ。」というのがあります。齢を重ねれば、経験がその人を知恵者にしかける。ところがちょうどそのころ、耄碌もまたその人に追いつくという意味の諺です。大した経験も智慧も乏しいままに、老耄が追い越してゆきます。せめて庭を彩る花々をめで、愁いを掃うとします。





今年の文楽

2019年03月09日 | 雀の足跡


 今年の文楽は、夜の部の演目が「義経千本桜」の道行初音旅と、「新版歌祭文」の野崎村の段という懐かしいもので、若手の熱演も春らしく華やいだものでした。
 初めて「文楽」を知ったのが学生の頃で、吉田文五郎の遣う静御前でした。古本屋で求めた写真集があった筈と古い書物の本棚で探して、文五郎の抱く静御前と狐忠信。若き日の桐竹紋十郎の遣うお染に再会しました。
 昭和17年に筑摩書房から出版されたA4版の年代ものです。
 奥付には 定價 金拾圓 とあります。勿論、写真はモノクロで、解説文や評論、随想も旧仮名遣いですし、文字も旧漢字です。促音も大きいままの表記ですから、戦後に義務教育を受けた方たちには読みづらいものかもしれません。気づいてもっと驚いたのは、目次に並ぶ解説のメンバーが、いまや日本文化の基盤を築いた歴史上の人物として知られる錚々たる方々でした。熟読して、気持ちも新たに鑑賞に臨んだことでした。
 遠からず姿を消すことになる古書と思うので、記念に写真集からスキャンして留めます。




 註
 
 旧仮名遣いと旧漢字  「大變有り難い催ほしであつたと思ふ。」「これに聯關して考へることに異存の人が多いやうであるが自分はさうは思はない」といった表記です。

 吉田文五郎 四代目 明治2年(1869年)生まれ昭和37年(1962年)没 
 桐竹紋十郎 二代目 1920年生れ 1986年没 人間国宝









尺八コンサート

2019年03月04日 | 日々好日
 家に引きこもりがちの私に、切符があるからと弟から誘いの電話が入っていました。
 前にも聞いたことがある橋本邦洸さんと、山城 徹さんのピアノ伴奏によるコラボレーションが絶妙のコンサートです。曲目もポピュラーな若い日に口ずさんだ歌曲が中心の肩の凝らないものばかりで、楽しめました。
 柔らかな篠笛の演奏と津軽三味線の太い音色といった変化も楽しいものでした。
 送迎してもらった上に、雛祭りだからと夕食の接待まで付いた好日でした。

 今週は例年の戸畑文化ホールでの「文楽」鑑賞も控えています。少しずつ気持ちも復調するかとひそかに期待しています。夜の部の演目は「義経千本桜 初音の旅」と「新版歌祭文」です。



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