雀の手箱

折々の記録と墨彩画

迎春の準備

2011年12月29日 | 塵界茫々






 今年は初めておせちを外から購入することにし、博多の老舗料亭「久松」に注文していました。もう来客も減り、年が明けると義母の7回忌を控えて親族も年始は遠慮というので、手指の不調もあることなので、どんなものが届くのか一抹の不安をもちながらのことでした。28センチ角の二段重は手の込んだ豪華版の料理がたっぷりで、「おまけ」に博多雑煮の焼アゴの出し汁と祝箸もついてきました。

 例年になくゆっくりした気分で、リビングの額の絵(上の2枚)を入れ替えたり、仕舞扇を飾り付けたりとゆとりの年越しができそうです。

 車を洗って、玄関の土間を拭き上げるのも、好天に恵まれ、少し気温も上がってきたのではかどりました。

 来る年はどうか災厄をタツて、人々が元気になれる閏う歳であることを祈念します。
 雪の中で越年なさるはるかな被災地の方々に安らぎの日が一日も早く訪れますように。

 


消えた住所録

2011年12月23日 | できごと
 八年近く馴染んでいたXPからこの新しいパソコンに乗り換えるとき、前の年賀状ソフトのファイルをバックアップしたつもりでした。
 ところがなるほどファイルはコピーが残っているのですが、中身が空白になっています。 うっかり普通のドキュメントと同じ扱いをしたのです。「このファイルを開けません。」と断り書きが出て、いろいろと面倒な手順がかかれています。

 年賀状を作成する段になって、まだよく呑み込めない7と新しいプリンターですから、今年まではXPで印刷までしようと思っていたので、大慌てです。メーカーに問い合わせても、需要の多い時期、なかなか繋がらないし、やっと繋がっても、ソフトは各ソフトのメカーに問い合わせるようにというのです。はじめからパソコンに組み込まれていたソフトなのにと腹が立ちますが、調べてみると結構面倒なようなので、もう対応していないのならウイルス感染の危険もあるだろうからと諦めて住所録を新しく作成することにしました。
 恩師はほとんど鬼籍に入られて、周辺も死去で空白にした虫食い状の住所録になっていましたから、作り直しの時機だったのだと諦めも早くつきました。
 ただ、あと何回使用することができるのかと思うと、作業も身が入らず滞りがちです。

 家事の合間に136枚のカードを入力するのに2日かかってしまいました。年に一度の賀状ぐらいは古い友人たちと消息を交換したいものと思っています。その気持ちがあっても、そう長い時間ではないでしょうが。
 寒さが堪える変形の拇指をいたわっての今年の年賀状は元日に間に合いますかどうか。







 


探し物

2011年12月18日 | できごと
 弓道に励む姪に使ってもらおうと、愛用した袴を探しました。
 何分にも半世紀も前のこと、使用しなくなって以来どこにしまいこんだか分からず、礼装用のカシミアの袴は果たして虫食いを免れているかどうか、年末の片付けを兼ねて心当たりをあちこちと探すこと1週間。
 開かずの間の茶櫃の底にそれは眠っていました。空になった防虫剤が果たしてくれた効果か、幸い虫食いは見当たりませんでした。再び役に立つとしたら物の冥利に尽きるというものです。

 副産物で出てきたのは、すでに記憶の底からも消えていた“トンビ”とかインバネスと呼ばれていた、カシミアの和服用男性コートです。あるじは大喜びで、今年の初詣に着用するつもりのようですが、園 子温監督なら何とか様になるとしても、想像するだけでもおぞましく、幼い子たちに警戒されそうです。
 そのほか、取り外して捨てずにいた古い羽裏など、懐かしさと古いものの持つ魅力にとらわれて、お陰様でしばらく楽しい郷愁の時間を過ごしました。



冬ごもりの日

2011年12月11日 | 日々好日
 冬休みを待ちかねて大山の雪を追って、山陰まで夜行列車で出かけてはスキーに熱中した若い日は、冬の寒さを凛として好ましいと、高村光太郎を真似てたたえたものでしたが、今は、何をするにも億劫が先に立つ体たらくです。
 この冬一番の寒さと報道されると、もうそれを免罪符に、差し迫っている年末の家事もさぼり、部屋に籠って画集を繰っています。
 今日は冬籠りの詩人画家、与謝蕪村と遊びました。やはり「夜色楼台雪万家図」に目がいきます。



 何枚も書いてみるのですが、どこからこの雰囲気が生まれるのかまだてがかりすらつかめません。
 ついでに蕪村の句をたどって、天明の冬籠りに共感したことです。


   桃源の路次の細さよ冬ごもり

   屋根ひくき宿うれしさよ冬ごもり

   細道を埋みもやらぬ落葉哉

   葱買うて枯木の中を帰りけり

   鍋敷に山家集あり冬ごもり

   うづみ火や我かくれ家も雪の中

 これらの句はやはり、齢を重ねないとしみじみと実感することはできないように思います。山形から届いたリンゴのにおいに包まれて、リビングの椅子の回転に寄り添いながらの怠け者の冬籠りです。

 芭蕉の元禄の冬も、冬籠りまたよりそはん此はしら でした。

今年の紅葉

2011年12月07日 | 日々好日



 今年は楓の紅葉が十日ほども遅れました。紅葉せずに散っていくのではないかと気をもんでいましたが、例年よりも発色がさえないながら、それでも十分の存在感で廻りを圧倒しています。
 柏葉紫陽花とリョウブはみごとな彩りです。
 例年よりもずいぶん早いように思えるのは水仙の開花です。土佐水木もそれとわかるつぼみを膨らませ、蝋梅は青々と茂る葉の根元に角ぐむ花芽を見ることができます。
 気候のせいでしょうか、庭の植物の生育がいつもの年とは異なるようです。南天の実のつきは今年は格別に多いようです。



師走の庭のいろどり

お祝い

2011年12月03日 | できごと

 師走に入り河豚の季節の到来です。
 胃の全摘手術から、一応無事に5年が経過したので、手術を受けた病院からホームドクターに託されることになりました。
 データーと手紙を届けに行くと、看護婦さんや先生から、満面の笑みで「おめでとうございました。」と声をかけられてみると、これでよかったのだと、なんとなく喜ばしい気分になりました。

 今日はお祝いをしようと小倉の行きつけの店で河豚のフルコースを予約しました。忙しい日程を割いて帰省しては、何くれと心遣いしてくれる娘への感謝の意味もありました。
 当地では「フグ」と濁らずに、「ふく」と呼びます。もちろん「福」「福来」への縁起をかついでの語呂合わせです。鰭酒は口当たりがよく、香りも味を引き立てるのですが、後で酔いが募ります。から揚げ、白子の茶碗蒸し、ちり鍋で、最後の雑炊は食べきれずに心も残して、余りました。
 親子水入らずの円居のひと時、ささやかな幸せをかみしめてのほろ酔いの帰宅でした。