雀の手箱

折々の記録と墨彩画

またしても

2019年01月30日 | 塵界茫々
 朝刊を開いて、またしてもの訃報に驚きました。橋本治さんが享年70才での旅立ちです。
 平成の時代と共に他界されるとは・・・

 おもえば、あの驚きの東大在学中の駒場祭のポスター「とめてくれるな おっかさん 背中のいちょうが泣いている 男東大どこへゆく」に惹きつけられて以来、次々に世に出る作品に目のくもりを吹き飛ばされ、驚くるばかりで、自分の古臭い固定観念に喝を入れられる著作を喜んでいました。「草薙の剣」に戦後の思いを反芻し、「桃尻語訳枕草子」の斬新な現代語訳に、これぞと強く共感したものです。
 時代を見つめる独特の視点は貴重な存在と尊敬していました。まだまだ多彩な発言を期待していましたが残念な早逝です。合掌









去りゆく方たち

2019年01月25日 | 塵界茫々
 このところ、好ましく思って敬愛していた方たちが相次いで亡くなります。昨年の秋、独特の死生観を貫いて凛として生き抜いた樹木希林さんに始まり、平成最後の今年になって、14日には「隠された十字架」「水底の歌」の梅原 猛さん、市原 悦子さん。少し前には、「世界の旅」で、旅への憧れを誘ってくださった兼高かおるさんも永遠の旅立ちでした。

 ひるがえって、いたずらに齢を重ね、今年はもう90歳を迎える恥多い自分の生き様を省みる機会が多すぎます。遠くないその時を思い煩っても致し方ないとばかり、今日も外出せずに枯れ芙蓉に向かいました。
 枯れようも各様、一つとして同じ姿はない実芙蓉ですが、中にはうっすらと紅をさすものもあり、綿毛に包んだ種に未来を託して、風と共に飛翔する日を待っているようです。
 庭の片隅ではクリスマスローズが花を開き始めました。どこかまがまがしさを持つ葉の広がりと、花の妖艶さの不思議な姿です。










今日の習作

2019年01月19日 | すずめの百踊り
 しばらく休んでいた道具を出し、冬の景物を写して一日をゆったりと過ごしました。
 1周忌法要を終え、やっと気持ちの上の重しが取れたような安堵感はどこから来るのでしょう。すっきり片付けてくれた座敷に座り、線香を焚き、今は蕾もすべて開いてしまった百合の香につつまれて合掌するひと時が落ち着きをもたらします。
 白菜と蕪、そして好きな画題の芙蓉の実がはじけてきたので、楽しみです。以前画友たちと互いに競作を愉しんだ日を思い出し、調べてみると「芙蓉のかたち」は、もう7年も前のことでした。






1周忌法要

2019年01月15日 | できごと
昨日、夫の一周忌法要を無事営むことができました。自宅での近親者だけの法要ですが、15名ともなると、久しぶりに座敷二部屋を使っての会合で、菩提寺の僧侶のよく通る鍛えられた読経をなぞって、神妙に経本を手に1時間のお勤めを皆さん謹んで行ってくださいました。
 ただ、私はこうした催しの処理能力がすっかり衰えてしまっているのに愕然とすることばかりでした。この分では今後の法要は、もう家族のみの小さなものにせざるを得ないと悟ったことです。
 法要の後は、岡垣の野々庵に料亭の送迎バスで出かけ、タイミングよく次々に提供される12品の美味しい食事に昔話も弾み、ゆったりとした時間を持つことができました。一つだけ残念だったのは、明日からの仕事を持つ孫娘が、途中退席で空港へ向かわねばならなかった私の不手際でした。





野々庵玄関


法要の後の会食と知って用意されていた心づくしの陰膳

「光の王国」

2019年01月05日 | 雀の足跡
 年越しの8000発の花火は部屋のガラス越しで私にはうまくとることができませんでしたが、その雰囲気を挙げました。
 元日は、ふるまい酒と獅子舞がロビーであり、クラブラウンジではおせちとお雑煮も供されていました。
 大晦日は、年越しで遅くまで起きていたので、おせちの朝食の後は、かつて夫と訪れた目の前のガラスの美術館に散策がてら立ち寄りました。宿泊者には開園1時間前から解放されていて、誰もいない美術館で、ガレをはじめ古いヨーロッパのコレクションをゆっくり観て回りました。あとは夜の観光に備え、ホテルでゆっくり過ごしました。
 午後5時半からは、宣伝しているだけあって驚くほどの数の電飾で彩られたスポットをホテルのツアーバスで回りました。いくらLED電球が使用されているとはいえ、大変な消費電力と気になりました。せめて十分に楽しんでリフレッシュしなくてはと、重い足を引き摺っての休みやすみのそぞろ歩きでしたが、十分に楽しめました。

 一番奥の厳かなハウステンボスのイギリス風庭園の庭木に、クラシック音楽に合わせて点滅するショーを見た後、バスは跳ね橋近くへまわり、噴水の見事なウオーターマジックショウです。
 最後が、光の滝のブルーウエーブを中心に展開するイルミネーションを見て2時間のツアーが終了。 この日の夕食はホテルヨーロッパでした。お刺身と、必要な分だけ切りとって供されるローストビーフを堪能しました。カクテルが少し過ぎたみたいでしたが、アムステルダムまで3分の電飾された道のりを歩くうちに、すっかり治まりました。幸い天気にも恵まれ、無事に2泊3日の年越しの小旅行を感謝のうちに終えることができました。























年越し 

2019年01月04日 | できごと
 平成最後の年があけました。皆様には佳い年をお迎えのことと存じます。
 今年の私の年越しは、思いがけないものとなりました。
 通院とリハビリ以外の外出がほとんどないのを気遣った娘の企画は、ハウステンボスでの新しい年を迎えるという意外なものでした。思い立ちが9月で既に旅行社では予約が取れずホテルと直接交渉だったようです。1室だけ空きがあったホテルアムステルダムの最上階のローラーアシュレイのデザイナールームは、45㎡のゆったりとした美しい部屋で、目の下に広がるヨットハーバーを外海と隔てる堤防から、新年のカウントダウンに合わせて打ち上げられる花火の競演を部屋から眺めることができる豪華版でした。
 クラブラウンジでのアフタヌーンティーや、夕食後のホテルロビーでの年越しのハンガリアン アンサンブルのコンサートも、曲目が耳に馴染みのある懐かしいものばかりで、次の花火大会へと時間的にもゆったりと繋がる愉しいものでした。

 ホテルの前のアムステルダム広場では、80メートルのツリーの電飾のもと、ライブコンサートのステージのダンスに合わせた仮面舞踏会が繰り広げられて、次々にアーティストたちの歌が披露されていて、若い人たちの歓声が上がっていました。仮面は手にしても参加はせずに、私は周辺の建物の佇まいからも、かつて過ごしたリオのレヴェイヨンのAnoNovoの新年を祝う祝日を思い出していました。
 コパカバーナのレヴェイヨンの花火はブラジル10大花火の一つで年越しの正12時に始まりました。クラブでは誰もかれもがすぐ隣の人と頬にキスを交わし踊り始めたものでした。ハウステンボスの年越しで久しぶりに思い出しました。
 クラブラウンジに戻って、私はシャンパンを、娘は年越しそばをいただきました。ここでの花火もあの世へのよいお土産になります。