インフルエンザの流行というので、日程を1日短縮して帰宅すると言い出し、3日目は奈良国立博物館で開催中の
鑑真和上展を見て、そのまま帰ることにして、近鉄の駅のロッカーに荷物を入れ、奈良博まで送ってもらい妹夫婦に別れを告げました。
12年に始まった唐招提寺金堂の、10年にわたって続けられていた平成の大修理が完成して、天平の金堂が再びその姿を見せ落慶法要が営まれるのは今年秋。それを記念しての企画展です。
鑑真和上坐像(わが国最古の肖像彫刻、国宝)はじめ、お堂の仏像の殆ど。屋根の「天平の甍」左右の鴟尾、舎利容器といった国宝が12件、重要文化財36件そして、あの東山魁夷生涯の大作の襖絵までもが展示されています。
久しぶりに四天王立像、頭部と手の欠けた如来形立像にも逢うことができました。
歴史で教わったように、鑑真和上は、12年間、6回も日本を目指し、海を渡ろうとし、盲目となってもなお渡海の目的を果たした信念の人です。
この国で聖武、孝謙天皇はじめ高僧たちに受戒を授け、仏教国家としての形を完成させたその想いが、重く立ち篭めるなかで、仏像群は1200年を超える時を経てなお天平の香りを豊かに放っていました。
展示は照明にも工夫が見られ、古代への幻想を誘いました。豊富なパネル展示も理解を助けてくれました。
東山魁夷の襖絵は、画伯が渾身の想いを篭めて描いた迫力で見るものに訴えかけてきます。これらの襖絵を、仲秋の明月のさすなか、あるべき場所で、開かれた仏殿で拝したらどんなに幸せかと切に思いました。
19日には唐招提寺で”うちわ撒き”が行われたと新聞が報じていました。
若葉して御目の雫拭はばや 芭蕉
おおてらの まろきはしらのつきかげを つちにふみつつものをこそおもへ 会津八一
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画像は展覧会チラシよりお借りしました。
上2枚は四天王立像。左から多聞天。広目天。増長天。持国天。いずれも国宝。
襖絵は東山魁夷奉納の御影堂襖絵 「濤声」。マウス・オンでどうぞ。
下の2枚は鴟尾「天平の甍」と海を渡って齎された金亀舎利塔。2件とも国宝。