雀の手箱

折々の記録と墨彩画

道すがら

2013年06月27日 | 雀の足跡

 現役で仕事を抱える若い人たちは、遅れて合流し、ご隠居組を残して一足先に帰りました。大学時代にスキーでたびたび訪れたという裏磐梯の景観を案内したいという誘いに乗ってレンタカーの仲間になりました。磐梯吾妻スカイラインの道のところどころに残る雪渓、荒涼とした砂礫の原、標高2000m級の山々に囲まれる殺伐とした浄土ヶ原は冥府を思わせました。

 五色沼の磐梯高原まで下ると、風景は一変して、夏木立の繁みでは、工事現場かと疑わせるほどのエゾハルゼミの大合唱でした。歩けるといいのだけどと残念がる湖畔の遊歩道も、ターコイズブルーの一色だけを眺めて、造化の妙に満足していました。山間を走る有料道路はレークラインもすべて解放されていました。

 磐梯吾妻スカイライン

 

 帰りの仙台空港出発は4時過ぎなので、時間があるからと、海岸近くまで走ってみました。予想はしていたのですが、潮をかぶった農地の土を入れ替える工事の車が行き交うだけ。一面に広がる荒涼の寒々しい風景は、海岸に近づくにつれ、かつての暮らしを示す基礎のコンクリートだけが不気味にむきだしになっていました。
 何にもない中で、そこここに、真新しの黒御影の墓石が林立する塊が目立ち、悲劇の現実をつきつけていました。荒浜海岸は堤防工事がおこなわれていましたが、広々とした平野では、逃げようにも遥かの高台までの手段はなかったと思われます。

 誰も無口で、身じろぎもせず、いまさらながら価値観が変わるという呟きが聞こえました。今回の旅の最後が一番強烈な印象で今も頭の中を占拠しています。

何も残さず

 

明日回線変更の工事がはいります。インターネットも設定をやり直さねばならないので4,5日はお休みになるかと思いますので、慌ててのUPです。


山寺と上の山温泉

2013年06月25日 | 雀の足跡

 四寺回廊の最後は立石寺、通称山寺です。慈覚大師が開山した比叡山延暦寺の別院で、 古くから人々の 信仰を集める東北を代表する霊場です。悪縁切りで有名。

 元気な人たちが登ってゆくのを山門のところで見送って、年寄り三人は根本中堂まで引き返し、茶店で休んでいました。前回も、私は仁王門までしか登れなかった実績があり、中尊寺と違って、ここは急な石段を1015段も上るので到底無理とはじめから諦めていました。

 今年は、4月末から一か月間は、50年に一度の立石寺ご本尊の薬師如来坐像御開帳の年で、大勢のお参りで賑わったようです。遥か山上の五大堂も下から眺めていました。

立石寺

 山寺行きのため宿泊した上の山温泉は、「古窯」でした。大きなホテルで、有名人たちの残した楽焼の大皿が目を惹きました。蔵王連山を望む高台にあり、朝焼けの山々を眺めながらの入浴はすがすがしいものでした。

 食事も手の掛かった上質のもので、地方色豊かな芋煮の椀は、満腹でも美味と賞味しました。朝のバイキングでは、オープンキッチンも数が多く、出来立ての料理を愉しめ、ずんだ餅のサービスまであって感激でした。

上の山、「古窯」


奥州藤原三代の栄耀のあと

2013年06月21日 | 雀の足跡

 40年近い歳月が経過していますので、再訪の平泉は、高速道の整備で近くなっていました。

 瑞巌寺から一気に走り、昼食前にはもう中尊寺です。

 

 先に毛越寺に参詣して、浄土庭園を回遊する若い人たちを見送って、ひとり、かっての南大門址の礎石の列を眺めていました。金堂円隆寺はじめ、堂塔40、僧坊500あまり、中尊寺を凌ぐ華麗さを誇っていたという、堂宇は打ち重なる兵火で何一つ残っていなくて、大泉ガ池を持つ広大な浄土庭園だけがその名残をとどめています。
 この池にかかる橋を渡って参詣したいにしえ人の眼には、金堂や堂塔は極楽浄土を思わせたことと想像を巡らせながら、池に揺らぐ波紋を追っていました。
 中尊寺と共に世界遺産に登録されて、その昔はひっそりと人の気配もないお寺でしたが今は見学者も増えていました。

毛越寺

 初めての平泉に、期待の大きい一行の中尊寺では、心配する弟を先にゆかせて、昔より道幅が少し広くなった気がする月見坂を休みながらゆっくり登りました。藤原三代の栄華のシンボル金色堂は、夏木立の中にどっしりとした姿で、人々を受け止めていました。芭蕉の見た旧鞘堂や経蔵を見落とさないように伝えて、見違えるほど立派になった宝物館 讃衡蔵で、寺内17ヶ院に伝わる文化財を拝観。一字金輪坐像、紺紙金字一切経や、泰衡の首桶などに、昭和25年の学術調査の折の三代のミイラ像の話題をつい最近のことのように思い出しました。下りは若い甥が従業員用の別の通路を車で迎えに来てくれて無事下山できました。

中尊寺

 金色堂に関しては、次のサイトに案内を譲ります。

岩手日報 金色堂 学術調査
尚、豊富な画像は、ユーチューブで。

毛越寺の歴史や、復元想像図はこちらから.

 おまけの記録

 この日の宿は秋保(あきう)温泉で、政宗はじめ伊達家代々の藩主の休憩所だった、かの「佐勘」が予約されていました。「伝承千年の宿」といううたい文句通り、格式のある宿で、川沿いの風呂の中には、バラが浮かべてあるのもありました。

[佐勘」に泊まる


瑞巌寺詣で

2013年06月18日 | 雀の足跡

 次の朝は、早朝から五大堂にお詣りしたのち、出発前から期待していた瑞巌寺の開門を待って参詣。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 平成の大修理中の本堂はすっぽり覆われていましたが、国宝の庫裡殿と、大書院は特別公開されており、修理中、大書院に移管された秘仏、襖絵などを明るい光の中で間近に拝観することができました。おまけに撮影も許可されていて、修理中ならではの、降三世明王(国宝)を青竜殿で拝む幸運にも出会えました。
 私にとっては、念願の瑞巌寺参詣で、今回の挙式参加の目的外の観光はこれで達成でした。

五大堂
 

 あとは東北は初めてという一行のため、一番足ののろい頼りない先達?案内の役で、平泉、中尊寺や毛越寺、山寺などを車での「四寺回廊」をすることになりました。

瑞巌寺

 

公開の至宝


みちのくの旅

2013年06月18日 | 雀の足跡

 挙式の前に、初めて東北を訪れる弟たちと一緒に少しだけ「みちのく」の旅をすることになっていました。私にも今回が最後の東北になると思うので、気兼ねなく助けが求められる機会に便乗することにしました。

松島へ
 仙台空港到着後、レンターカー2台に分乗して出発です。津波の爪痕は際立ったものはもう見られませんでしたが、車を借りるとき、この辺りは4mの水没で、信号機も使って新しくなっていると聞きました。、市内を走り、青葉城跡にあがりました。政宗公に敬意を表し市内を一望したのち、東北大学の構内を抜けて、政宗公霊屋随鳳殿に回りました。ひっそりとした境内に驚きの標識「熊目撃情報があり、立ち入り禁止」が出ていて、御子様御廟への道は立ち入り禁止でした。1週間ほど前のことだそうです。

 仙台 政宗公のゆかり

 

 夕刻松島入りです。弟が予約した宿は、「松島一の坊」でした。松島湾に面した新しいホテルで、設備も整っていて、島々を一望する9階の部屋も、展望の浴室、料理、地酒のもてなしもいうことなしで寛ぎました。殊に活け花は趣向を凝らした見応えのある花が各所に展開されていました。

松島一の坊

 

  300余の大小の島々は「負(おえ)るあり抱(いだけ)るあり、児孫愛すがごとし。松の緑こまやかに、枝葉(しよう)汐風に吹たはめて、屈曲おのづからためたるがごとし。その気色(けしき)えん然として美人の顔(かんばせ)を粧(よそお)ふ。」と記した芭蕉も、ついに句は断念。写真でもその雰囲気を表現するのはむつかしいようです。

 九州にも長崎の九十九島などこうした多島海はあるものの、やはり日本三景の貫禄はゆったりとした気品と変化に富み、津波の災害も島々が防波堤となってほとんどなかったようです。


幸せを願って

2013年06月13日 | できごと

  姪の結婚式に参列するための旅は、好天に恵まれました。福岡空港から1時間半で仙台到着です。

 結婚式も親族と、家族同様のごく親しい友人のみ40人余で、終始和やかで、心のこもった挙式でした。

 今まで出席したどの式よりも創作フレンチのご馳走が次々で、会話も弾み、時に涙も交えて、企画した二人の人柄をしのばせる温もりのあるものでした。
 最終場面での、新婦からの感謝のフルート演奏も見事なもので、色直しの淡いブルーのドレスがよく似合っていました。お定まりの花束贈呈はなく、代わりに両親へは感謝の旅行券が贈呈されたのもほほえましく、父の日間近だからと別に贈られたプレセントに照れる義弟の笑顔もいいものでした。

披露宴

 ただいま、みちのく土産の風邪をこじらせて、200枚近くの写真の整理もできずにいます。後日編集しなおすつもりです。


しばらくのお休み

2013年06月05日 | 雀の足跡

 東北は仙台まで出かけるので、明日からしばらくお休みにします。

 夫の骨折の経過は遅々としてはいますが、医師は順調とおっしゃっていますので、留守中の世話のために帰省してくれた娘に任せて、親族一同一行10名での仙台入りです。末の妹の娘が奈良から嫁ぎます。最後の姪の結婚式ですし、もう東北までの旅は今回が最後と思うので、キャンセルせずに出かけることにしました。
 私には三十数年ぶりの東北です。大災害の後の東北に、どういう感慨が訪れるか、そして前回ゆきそびれた松島だけはと、芭蕉に倣って足の治療をしての旅立ちです。

花菖蒲  

                         その1

                        

 


                         その2


 

                                

                                その3