昨29日は月曜日で九州国立博物館は休館日でした。時々企画される障碍者を招待する日で、友人のKさんが応募されたのに同行しました。二人とも入場料も、駐車料も無料でした。休館日のうえ、華やかな展覧会ではないので、人が少なくて、ゆっくり鑑賞できました。
学生の頃、暗記した中国古代王朝の名は、私には我が国古代の場合同様、半ばお伽話の世界を彷彿させるものでしかありませんでした。
目前に展示されている3000年の興亡の中ではぐくまれた美の文化は、我が国の弥生時代から、古墳時代に相当する創成期のものから、すべての文化の一つの頂点二到達した宋までのものです。ただただそのレベルの高さ,特異さに驚くばかりでした。
夏、殷から宋までの王朝の中心だった地域を代表する文物を対比しながら、各王朝の相違を私たちのような素人にも理解できるように展示解説されていました。
あるものは北の騎馬民族文化を、さらにはユーラシア大陸の西の国々の影響を思わせる文様など、目を驚かすものばかりです。志賀島出土の金印や、正倉院御物の鏡を想起させるものなどもありました。160点余の展示のうち110点ほどが中国第1級文物、つまり我が国の国宝にあたるものです。
中国の故事を思い出す「完璧」の元になった玉壁や「矛盾」の矛、紀元前3世紀のころにベルトのバックルに用いられた猿のデザインの斬新さは、感動モノでした。
唐の女性俑は、ふっくらとしていて、かの楊貴妃もぽっちゃり系だったとか。そういえば、鳥毛立屏風の樹下美人もこの手の顔立ちの豊満でした。「これからは8世紀系の美人」と言ってもらおうと二人笑いあったことでした。
2008年に南京市の寺院跡から出土した阿育王塔が最後の部屋を飾っていました。釈迦の前世の物語が四面に細かく彫刻された銀板に鍍金をほどこし、宝玉をはめ込んだきらびやかな輝きが圧巻でした。
日本の弥生時代に、すでにこのような文化を築いていた国。シルクロードの到着点ともいえる日本です。同じアジア圏の仲間として手を携えた文化交流のよすがにと、認識を新たにした展覧会でした。
会場風景や、展示品の映像は九州国立博物館の提供によるものです。
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