雀の手箱

折々の記録と墨彩画

「中国王朝の至宝」展

2013年07月30日 | 雀の足跡

 

 昨29日は月曜日で九州国立博物館は休館日でした。時々企画される障碍者を招待する日で、友人のKさんが応募されたのに同行しました。二人とも入場料も、駐車料も無料でした。休館日のうえ、華やかな展覧会ではないので、人が少なくて、ゆっくり鑑賞できました。

 学生の頃、暗記した中国古代王朝の名は、私には我が国古代の場合同様、半ばお伽話の世界を彷彿させるものでしかありませんでした。

 目前に展示されている3000年の興亡の中ではぐくまれた美の文化は、我が国の弥生時代から、古墳時代に相当する創成期のものから、すべての文化の一つの頂点二到達した宋までのものです。ただただそのレベルの高さ,特異さに驚くばかりでした。
 夏、殷から宋までの王朝の中心だった地域を代表する文物を対比しながら、各王朝の相違を私たちのような素人にも理解できるように展示解説されていました。

 あるものは北の騎馬民族文化を、さらにはユーラシア大陸の西の国々の影響を思わせる文様など、目を驚かすものばかりです。志賀島出土の金印や、正倉院御物の鏡を想起させるものなどもありました。160点余の展示のうち110点ほどが中国第1級文物、つまり我が国の国宝にあたるものです。

 中国の故事を思い出す「完璧」の元になった玉壁や「矛盾」の矛、紀元前3世紀のころにベルトのバックルに用いられた猿のデザインの斬新さは、感動モノでした。
 唐の女性俑は、ふっくらとしていて、かの楊貴妃もぽっちゃり系だったとか。そういえば、鳥毛立屏風の樹下美人もこの手の顔立ちの豊満でした。「これからは8世紀系の美人」と言ってもらおうと二人笑いあったことでした。

 2008年に南京市の寺院跡から出土した阿育王塔が最後の部屋を飾っていました。釈迦の前世の物語が四面に細かく彫刻された銀板に鍍金をほどこし、宝玉をはめ込んだきらびやかな輝きが圧巻でした。

 日本の弥生時代に、すでにこのような文化を築いていた国。シルクロードの到着点ともいえる日本です。同じアジア圏の仲間として手を携えた文化交流のよすがにと、認識を新たにした展覧会でした。

 



 

会場風景や、展示品の映像は九州国立博物館の提供によるものです。
横幅がきれるようです。下の><をスライドしてご覧ください。
スライドは、右下の四角の拡大マークで少し大きな画像が見られます。


今年の団扇

2013年07月26日 | すずめの百踊り

 今年もこの季節は団扇で遊ばせていただいています。先日の例会にはカメラを忘れて行き記録できませんでした。団扇の交換で火がついて、描きこみ用の団扇を買ってきて、テーマを決めて次々と煽ぎたてています。

 そこで気が付いたことがいくつかあります。それは団扇を下に置いて描いたものと、手に持って奉書をしたためるときのように斜めに構えて描いた時とでは、団扇を使用して、動かす時に絵の感じが異なるということです。それとどんなに歪んでいても、一気に引いた線は勢いを持ち、生き生きしています。

 竹を描いて試してみました。素材そのものに細かい凹凸があり、繊細な表現は不可能なのですから、開き直って面白さを求めるべきだと悟りました。画きすぎは暑苦しくなりがちです。用のものには、それなりの極めをつけるべきだとやっと気づいた今年の団扇描きです。

  これ以上のエコはないでしょうから、団扇でささやかな涼をどうぞ。

暑中お見舞い申し上げます

今年の団扇


心のなかの棘

2013年07月23日 | すずめの百踊り

 

      どうしても取れない棘、抜けば、抜いたで傷が痛みだすかもしれません。長く生きてくれば、誰しも一本や2本の棘を抱えているはずとは思うのですが。

 齢を重ねて、人生に区切りをつける日もそんなに遠くはないのに、一向に悟れない自分を見つめています。開き直って、あるいは諦めてこのまま行くしかなさそうです。時々絵にしてみるのです。



  時にはいやこのままでと肯定してしまうのですが。

 大好きな謡曲「山姥」のクセより

 「邪正一如と見るときは、色則是空そのままに、仏法あれば世法あり、煩悩あれば菩提あり、仏あれば衆生あり、衆生あれば山姥もあり、柳は緑、花は紅の色々。」

 まさしくシテの山姥と同様の姿形に、その思いまでも同化して、最後は自己肯定です。


施餓鬼法要の季節

2013年07月19日 | 雀の足跡

  今日は菩提寺のお施餓鬼に行ってきました。毎年の夏の行事ながら、格別の思いがあります。

 三悪趣(さんあくしゅ 地獄・餓鬼・畜生)の一つで、飢えと渇きに苦しむのが餓鬼です。この地球上には今、現実にこの餓鬼さながらの苦しみの中に生きるのを余儀なくされている人たちがいます。遠いアフリカならずとも、程度に差はあるにせよ、私の世代は、戦中戦後の一時期、食べる物に苦しみを味わった経験を持つ世代です。
 南方で戦場をさまよった兵士、シベリア抑留を経験した人たちも同様です。
 ほしいままの贅沢が可能な、飽食の時代を生きる若い人たちには想像することすら難しいでしょう。

 やがて終戦記念日が来るだけに、お寺の行事には参加しないことが多くなってきた私ですが、お施餓鬼だけは欠かさずに参加し、この日ばかりはしみじみと「いただきます」と手を合わせて食べ物に感謝しています。

 布施の心で、人だけでなく動物にも布施をし、食べ物を分かち合うという考え方から、お詣りには数々のお供えの食べ物を持参します。 施餓鬼の日の大願寺表門 今日は六角堂も扉はすべて開かれてお供えがしてありました。 開会前の祭壇に向かって永代経を上げるご住職 施餓鬼なので菓子果物野菜、もろもろの食べ物が供えられた供物棚  補注 お施餓鬼の由来は、『仏説救抜焔口餓鬼陀羅尼経(ぶっせつぐばつえんくがきだらにきょう)』に説かれる物語に基づくものと聞きました。
 この物語の主人公は、お釈迦さまの身近に奉仕し、お釈迦さまに一番多くの教えを聞いたので「多聞(たもん)第一」といわれる、「十大弟子」の一人、阿難(あなん)尊者です。 <


今年の追い山

2013年07月15日 | できごと

今年の追い山

 毎年のことながら、今月初めから続いていた博多祇園山笠の行事に、弾む気持ちも、出かけてゆく元気もなく、また今年も早朝の追い山の神事をテレビで見物していました。NHKの放映を想い出の記録として留めました。来年の大河ドラマは博多ゆかりの軍師黒田官兵衛とあって、博多人形師たちはこのテーマで腕を競っているものが多かったようです。

 追い山ならしを桟敷席で見た日や、山見せで、舁き手の足もとを狙ってかけられる勢い水のはねををかぶった想い出も、もう3年前のことになります。上川端通りの和紙の店によって、上質の描きこみ用の団扇や、画仙紙を祝儀のつもりで買って帰るのが習いでした。この商店街通りに飾られている飾山が毎年八番山として櫛田入り奉納が行われるのです。電線をよけるため最上部が中へ収納される仕組みを珍しがったものです。最近は煙を吐く仕掛けも追加されて華やかになっています。
 誰が考え出したものか、暗闇から次第に夜が白み、あけてゆく頃、街中を海の方へ向かって1トンを超す舁き山を肩に、5キロのコースを集団で走り抜けてゆくのは、爽快、勇壮な夏の祭りにふさわしい舞台です。

 祭りのハイライトの、この追い山行事で博多祇園は終わりとなりますが、神事とはいえタイムに一喜一憂するのも、夏祭りらしいものです。この後、山は各町内に戻って一本締めののち、すぐ山解きとなり、直会(なおらい)でお開きとなります。
 また、もう一つ、博多っ子たちはこの舁き山行事を通して社会に生きてゆく上の躾を身に着けていくとも言われています。


例会

2013年07月10日 | すずめの百踊り

 今日は例会でした。お盆を控えて何かと用を抱えている人もあって、変則で早い設定でした。

 私はデイケア関係と病院通いで時間をとられて、提出作品は少なく、庭の青柿を描いたものを提出し、持参した山形のさくらんぼを皆さんでスケッチしました。例年のことで団扇に即興の絵を入れて、お互いに交換です。

 桔梗はもう終わりかけています。このところのゲリラ豪雨で、たたきつけられた枝があはれです。出番が近いとばかり、ホオズキは次第に色を増してきています。

 梅雨明け宣言が出ました。まだ名古屋場所が始まったばかりなのに例年より14日も早い梅雨明けです。このところ、強い日差しと思っていると、いきなり曇って、雷と共に、目の前のものが見えないくらいに激しく降り出します。樋から雨水を溢れさせて、暴れ放題にしばらく降ると、気が済むのか、何事もなかったかのようにまた青空がのぞきます。低地は2度も浸水して、立往生で動けなくなった車の映像が流れていました。 まだ途中で、仮縁のままですが調子を見るために落款を押してみました。


初めてのデイケア―

2013年07月08日 | できごと

  初めてデイケア―に出かける夫に同行しました。

 オープンからまだ3か月という、設備の整った新しい施設です。ここは、有料のサービス付高齢者向け住宅4階建ての1階部分です。入所者のための入り口エントランスホールには、グランドピアノが置かれ、ホテルのロビーと見まがいます。

 1階には、1番から10番まで並んだ各種の機具の置かれたリハビリルームのほかに、懐かしの映画を中心にDVDを選択できるシアタールームや、カラオケルーム、大浴場も設けられています。そのほかでは消毒を中心にした大きな洗面台が随所に設置されて快適です。

 リハビリ用の機器も、整形外科とは違う高齢者のための緩やかなものです。リラクジェーションという意味では文句なしの快適さです。お茶やコーヒーのサービス、介護士の補助も適切で行き届いていました。

 デイケア―を嫌って気乗りしないのを無理に説得し、都合5か所を見学して、最後にこの施設でリハビリを中心に週1回だけ通所することを納得しました。何分にも極度の運動不足で、筋力も落ちていますので、何とか続けて通ってくれるといいのですが。

 昼食は、おりしも七夕とあって、ちらし寿司が出ました。9時から3時まで充実したスケジュールの初日でした。人数も11名、清潔な広々とした部屋でゆったり過ごせました。

 

つくしの杜 陣原

  

 


介護のお世話に

2013年07月06日 | できごと

 手首の骨折以来動きが急速に不安定になった夫に、整形外科医から介護保険の申請が勧められました。転倒を繰り返すので油断ができません。

 ひと月が経過して出た申請の査定結果は「要介護1」でした。夫は申請を躊躇っていたのですが、ベッドに取り付ける手すりのレンタルや、門から玄関までの延路にも手すりが設置され私の方が便利に利用しています。雨の日の門までの新聞とりにも敷石で滑る不安が無くなりました。20万の枠の中で超過分と合わせて自己負担は4万円余りで済みました。

 高齢者が増える一方と喧伝される中で、気持ちの上にも負担がありますが、今まで二人とも少なからず税金を支払ってきたことだし、残り少ない時間を自宅でどうにか二人助け合って過ごしていくには仕方がないかと考えています。

 リハビリ中心の介護施設に週1回通うことになりました。送迎と昼食(自己負担600円)も提供されます

 


今年の佐藤錦

2013年07月04日 | 日々好日

 山形から今年もLサイズの佐藤錦の秀品が届きました。500gが2個入った航空便は、開くとつやつやと輝いて踊っています。早速弟に半分をお福わけして、喜ばれました。

 ほのかな酸味が甘い上品な味わいを引き立てています。スケッチしても片端から口に運ぶので、はかどりません。

 老い二人の暮らしを気遣う優しいメッセージが胸を熱くしました。


梅雨をいろどる

2013年07月01日 | すずめの百踊り

 様々な出来事がありましたが、早いもので一年の折り返しで、今日から文月です。

 やっと回線変更の後始末も終わり、快適になりました。3個並んでいたモデムも1個だけに集約され、心なしか接続も早くなったようです。
 セキュリティー、インターネットとメールを再設定しました。リモートサービスを予約していましたが、「超簡単設定」というCDの指示に従ってどうやら無事お世話にならずに終了できました。

  溜まっていた墨彩画を少しずつ記録のためUPしていきます。