開館十周年を迎えた門司出光美術館の企画展です。幕開けが出光コレクションの「古唐津」(4月)で、2回が「中国陶磁器名品展」(6月)でした。
今回が3回目で9月3日から開催中です。次回は「日本陶磁名品展」(11月)です。
私達の身の回りには少し気をつけて見回すと吉祥を意図した品物で溢れています。年賀状はじめ、お正月の道具類は勿論のこと、婚礼などの祝い事の場では特に目につきます。
松竹梅、鶴亀、鳳凰、宝尽くし、七宝つなぎ、波に兎と、「ことほぎ」の祝意の文様が次々に生み出されています。そして七福神に代表される吉祥の神々がいらっしゃいます。
これらはもとは中国伝来のデザインが多いのでしょうが、時の経過の中でかなり日本的に変貌を遂げているようです。
長寿の象徴の壽老神や布袋の姿も中国のものとは違っていかにも福々しい楽しい姿です。恵比寿、大黒に象徴される豊饒をもたらす神々は、日本独自のもののようです。
日本でも、龍や鳳凰は寺院などでよく目にしますが、そのほかにも、吉祥文様として蝙蝠や蝦蟇が中国では頻繁に登場するところは日本とはかなり様変わりです。今回の展示の中にもチラシの清朝の大壺はじめ何点か見られました。
展示は中国日本の書画、陶磁器、屏風や浮世絵に描かれた吉祥文を纏う美女など多様でしたが、観終わって何かいま一つ物足りなさを感じました。出光美術館所蔵のコレクションに限られていたからでしょうか。
何時ものように1点をと選ぶなら、私は日本のもので、古伊万里の三多文皿でした。延宝年製と底に記されていましたが、新鮮な構図でした。
三多とは桃、石榴、仏手柑です。三果文ともいいますが、これらの果物は豊饒や多福、多子の意味をもつ吉祥のようです。
中国では、夜行性で不気味なコウモリが吉祥とされるのは、蝙蝠の蝠が、福と音が同じという単純のようです。蟾蜍(ヒキガエル)は、日月星辰の月輪に住むとされ、ウサギとともに吉祥です。
画像は出光美術館のチラシからお借りしました。ただいま複合機のスキャナが故障中です。
左・豆彩蝙蝠文龍耳瓶 清 景徳鎮窯 下・色絵周茂叔愛蓮文大皿 江戸前期 柿右衛門
右・職人尽図巻 江戸 岩佐又兵衛 恵比寿と福禄寿
門司からの帰り、夫の誕生日のリクエストは、今年も「フク料理」でした。九州では河豚をフグと呼ばずにフクといいます。今日の「吉祥」の続きでした。
年に一度の贅沢は許されていいだろうと、フク料理専門店の「竹なか」で、とらふくのフルコースでした。(勿論養殖ものです)
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